ミクニ Research Memo(2):1923年創業の独立系二輪・四輪車用部品メーカー、電動車対応を積極化
■ミクニ<7247>の会社概要
1. 会社概要
1923年に創業した独立系の二輪・四輪車用部品メーカーであり、2026年3月末時点で傘下に子会社20社、関連会社2社を持つ。主力のモビリティ事業では、吸気・燃料噴射関連製品を中心に、二輪車・四輪車に加え、パワースポーツ、建設機械、農業機械向けに製品を供給している。東南アジア、中国、北米、インドなどでグローバルに事業を展開するほか、ガス制御機器類等の製造・販売を行うガステクノ事業、航空機部品および芝管理機械等の輸入販売を行う商社事業、福祉介護機器類の製造・販売等を中心とするその他事業と幅広い事業をグループで展開する。
事業・顧客・地域において多様なポートフォリオを有し、特定の事業・顧客・地域に依存しない安定した収益基盤と、各市場における成長機会を取り込む中長期的な成長ポテンシャルを併せ持つ点が特長である。
自動車電動化の流れを受けて、エンジン部品は中長期的に減少が避けられない見通しである。こうしたなか、同社は電動車への対応を積極的に進め、2031年3月期には四輪車用製品の売上高のうち70%以上を電動車(ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車を含む)向けとすることを目標としている。また、モビリティ事業以外の事業の強化を進めている。「私たちは地球的に視野にたち、人と技術を活かし豊かな社会づくりに貢献します。」という企業理念に基づき、「将来の一定時点でなりたい姿」として長期経営ビジョンを策定している。
なお、同社は2026年5月、連結子会社元従業員による不正行為が判明したことを公表した。その後の社内調査チームの調査結果を受けて再発防止策を講じるとともに、グループガバナンスの強化を進めている。再発防止策として「経理手続きを主体とした内部統制制度の再点検及び運用の厳格化」「人員体制及び業務運営形態の見直し」に取り組むとともに、親会社の関与を強める形でグループガバナンス強化の施策を実施している。一連の取り組みにより、不正防止の強化につながることが期待できる。
2. 沿革
同社は1923年10月に(資)三國商店として創立し自動車・自転車及びその部品の輸入事業を開始した後、1933年12月に(株)三國商店を設立し、1936年12月に蒲田工場が生産を開始した。戦後は1949年2月に小型自動車用気化器とメカニカルポンプの生産を再開後、国内で複数の工場を順次開設して国内基盤を強化した。1968年4月の米国拠点への資本参加を皮切りに海外展開を加速し、1979年8月に台湾、1990年9月に欧州、1991年5月にタイ、1994年11月に中国、2006年4月にインドネシアに現地法人を設立した。また、同社の強みの一つであるインド事業においては、1985年の合弁会社設立に始まり、2008年には合弁解消とともに現地法人を設立するなど、40年以上にわたる事業展開の実績を有する。
1961年10月に東京証券取引所(以下、東証)の市場第二部に上場後、2015年3月に市場第一部に指定された。2022年4月には東証の市場区分見直しにより、市場第一部からプライム市場へ移行した後、2023年10月にプライム市場からスタンダード市場に移行した。
3. 事業内容
同社グループの報告セグメントとしては、モビリティ事業、ガステクノ事業、商社事業の3事業があり、このほか報告セグメントに含まれない事業として、福祉介護機器類の製造販売がある。2026年3月期の事業別売上高の構成比は、モビリティ事業82.9%、ガステクノ事業4.8%、商社事業9.9%、その他2.4%となっている。
なお、商社事業は収益認識に関する会計基準の適用による純額計上の影響が大きく、取扱高ベースでは約30%を占める。
(1) モビリティ事業
二輪車・四輪車・汎用エンジン用燃料供給装置類及びエンジン関連機能品類の製造販売を主力とする。主な製品は、スロットルボデー(スロットルバルブの開閉によりエンジンに吸入する空気量を調節する装置)や樹脂インテークマニホールド(エンジンに供給される空気を各気筒へ分配する樹脂製吸気管)等を中心とする吸気・燃料制御関連品、オイルポンプやバキュームポンプ等のポンプ類、冷却水制御バルブや可変バルブタイミングシステム等の補器類、二輪車用気化器類等である。2026年3月期の製品別売上高構成比を見ると、吸気・燃料制御関連品53%と過半を占め、ポンプ類14%、補器類18%、気化器類6%、その他9%と続いている。
また、2026年3月期売上高の用途別構成比を見ると、2輪・特機・マリン向けが62%と、4輪向けの38%を上回っている。さらに、主要販売先別では、ヤマハ発動機グループ26%と最大であり、スズキグループが24%、インド二輪ブランドが9%、三菱自動車グループが6%、欧米二輪ブランドが6%、日産グループが5%と続く。なお、インド二輪ブランドにはバジャジ、TVS、ロイヤルエンフィールド、欧米二輪ブランドにはハーレーダビッドソン、ポラリス、ドゥカティが含まれる。
(2) ガステクノ事業
自動車部品で培った流体制御技術を応用し、ガス機器用制御機器類及び水制御機器類等の製造販売を行う。主な製品には、立ち消え安全装置(ガスによる事故を防止する安全装置)、ガス比例弁、ガス遮断弁、モーターバルブなどのガス制御製品のほか、小型電磁弁やモーター式水制御弁などの水制御製品がある。カーボンニュートラルの実現に向け、水素混焼を含む要素技術の開発も進めている。
(3) 商社事業
航空機部品類、芝管理機械類の輸入販売事業を中心とする事業である。いずれも子会社が事業を行っており、航空機部品類を扱う(株)ミクニエアロスペースでは、航空宇宙用材料・機器・部品及び付属品、ドローン、ドローン対策機器を主要取扱品とし、国内重工メーカーや防衛省等を主要顧客としている。一方、芝管理機械類を扱う(株)ミクニグリーンサービスでは、ゴルフ場及びスポーツフィールド向け芝管理機械、ゴルフカーの販売及びアフターサービスのほか、土木・造園・散水設備工事を行っている。
(4) その他事業
子会社の(株)ミクニ ライフ&オートが行う福祉介護機器類の製造販売を中心とする。障害者の運転を支援する手動運転装置や天井走行式リフトなどの介護機器の製造販売、乗降リフト付き送迎車両などの福祉車両の架装のほか、車いすの販売を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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