スタートライン Research Memo(6):強みの「支援力」「豊富なサービスラインナップ」で同業他社と差別化(4)
■スタートライン<477A>の事業概要
2. 市場環境、同社の強み・特徴と競合、及び事業等のリスクの続き
(4) 事業等のリスク
同社が抱える事業等のリスクのうち、業績に影響を与える可能性のあるものは、以下の3点であると弊社では考える。
1) 大規模自然災害について
関東・関西などの都市圏を中心に事業拠点を有しているが、コロナ禍を経て、リモートによる事業運営を取り入れている。しかし、同社のビジネスモデル上、全業務をリモートへ移行することは難しく、今後大規模災害が発生した場合、業績に多大な影響を与える可能性がある。
2) 有利子負債への依存について
新規出店に伴い有利子負債が増加傾向にある(2026年3月末時点の有利子負債残高は4,542百万円、D/Eレシオは2.41倍)。このため、金利上昇局面における金利負担増のリスクがある。
3) 法改正について
同社は事業の性格上、障害者雇用促進法及び障害者総合支援法など、様々な法規制の適用を受ける。障害者雇用促進法が規定する法定雇用率の引き上げはプラスとして働くものの、法定雇用率制度自体が見直される場合は、主力サービスの解約につながる可能性がある。
■業績動向
順調な顧客企業数の拡大と積極的な新規出店で業績の拡大が続く
1. 過去の業績推移(2021年3月期~2026年3月期)
2025年12月の上場時に開示された過去(2021年3月期から)の業績動向を見ると、障害者数の増加や法定雇用率の引き上げといった外部環境の追い風と、積極的な拠点拡大(2021年3月期~2025年3月期は年3~5拠点、2026年3月期は7拠点)を背景に、売上高は一貫して増収基調で推移している。
利益面では新規出店に伴う先行投資(2022年3月期、2024年3月期)による一時的な足踏み時期があったものの、中長期的には売上成長に連動する拡大トレンドを維持している。
2. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期業績は売上高5,599百万円(前期比25.2%増)、営業利益450百万円(同71.3%増)、経常利益374百万円(同63.5%増)、当期純利益433百万円(同200.8%増)となった。売上高は期初予想(売上高5,640百万円、営業利益400百万円、経常利益319百万円、当期純利益184百万円)に対して若干未達であったものの、各段階利益は予想を上回り、売上高・各段階利益ともに過去最高を更新した。なお、当期純利益の予想比大幅超過は、税効果会計における企業分類変更の影響(209百万円)によるものである。
前期比25.2%増収となったのは、既存サービスの支援力向上や出店エリア拡大により、利用企業数の拡大と積極的な新規出店による拠点数増大が主要因である。なお、期末時点のストック売上比率※1は64.4%、アップセル比率※2は35.6%、クロスセル比率※3は15.0%、解約率※4は2.1%と安定したストック型ビジネスモデルの強みを示している。
※1 2026年3月期における障害者雇用支援サービス事業全売上に対する「一定の期間にわたり移転される財及びサービス」と「その他の収益」の合計の割合。
※2 「BYSN」「IBUKI」「INCLU」の2025年3月時点のサービス別稼働顧客数を分母とし、そのうち2026年3月時点で売上が増加した顧客数の割合。
※3 2026年3月時点の稼働顧客数を分母とし、そのうち2サービス以上を利用している顧客数の割合。
※4 「BYSN」「IBUKI」「INCLU」の2025年3月時点の月次経常収益を分母とし、当該顧客のうち2026年3月期中に解約となり減少した月次経常収益の合計の割合。
売上総利益は、増収や拠点運営効率化の効果により2,107百万円(前期比28.4%増)へ増加、売上総利益率は37.6%と前期比で0.9ポイント上昇した。一方、販管費は1,656百万円(同20.2%増)となったが、スケールメリットにより販管費比率が29.6%へ低下した。これにより、営業利益は前期比71.3%増と売上高の伸びを大きく上回ったほか、営業利益率も8.0%と前期比で2.1ポイント上昇した。
期末のサテライト型拠点数は48拠点(当期新規出店7拠点)※、顧客企業数は373社(前期末比39社増)、支援障害者数は2,514名(同377名増)となった。
※ 新規出店7拠点(障害者就業予定者数510名)は、関東5拠点(埼玉県飯能市、神奈川県伊勢原市、東京都八王子市、茨城県牛久市、埼玉県戸田市)及び関西2拠点(大阪府東大阪市、大阪府摂津市)で、牛久(「Diverse Village」)を除き、残りはすべて「BYSN」である。
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期末の資産合計は、前期末比2,580百万円増加の8,217百万円となった。主な増加要因を見ると、上場に伴う資金調達などにより現金及び預金が1,110百万円増加したこと、新規出店に伴い有形固定資産が1,127百万円増加したこと、及び繰延税金資産が159百万円増加したことなどによる。
負債合計は6,335百万円となり、前期末比1,431百万円増加した。主に新規出店のために、長期借入金が938百万円、1年内返済予定の長期借入金が101百万円、短期借入金が223百万円増加したことが要因である。純資産は1,881百万円となり、前期末比1,148百万円増加した。上場による資金調達等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ357百万円増加したことに加えて、当期純利益の計上により利益剰余金が433百万円増加したことによる。
経営指標については、経営の安全性を示す自己資本比率が前期末の13.0%から22.9%へ上昇したほか、流動比率も前期末の100.4%から133.1%へ上昇しており、財務体質は大幅に強化された。
収益性について見ると、営業利益率は前期の5.9%から8.0%へ上昇した。一方、ROEは当期純利益が税効果の一時的な要因により増加し、前期の21.8%から33.2%へ上昇した。
4. キャッシュ・フローの状況
2026年3月期末における現金及び現金同等物は、前期末比1,110百万円増加の2,327百万円となった。内訳を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは686百万円の収入となった。これは主に、税引前当期純利益373百万円、減価償却費387百万円などの資金流入があったことが要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に新規出店に伴う有形固定資産の取得と敷金及び保証金の預入による支出により、1,515百万円の資金流出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、上場による資金調達と長期借入れによる収入等により、1,940百万円の資金流入となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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