クオールHD Research Memo(7):2027年3月期はすべての事業で増収増益を目指す(1)
■今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
クオールホールディングス<3034>の2027年3月期の連結業績は売上高で前期比8.3%増の315,000百万円、営業利益で同11.4%増の16,500百万円、経常利益で同10.9%増の16,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.3%増の7,800百万円と増収増益が続く見通し。すべての事業セグメントで増収増益を見込んでいるが、引き続き製薬事業が2ケタ増収増益となり、収益をけん引する。第一三共エスファの増益に伴い、非支配株主に帰属する当期純利益が増加するため、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率は1ケタ台となる見通しだ。
(1) 薬局事業
薬局事業の売上高は前期比4.2%増の184,861百万円、営業利益は同4.2%増の10,140百万円を見込む。新規出店はM&Aを含めて約40店舗(うち、自社出店15店舗、M&A30店舗)、年商で60億円規模の出店を計画しており、一方で不採算となっている10店舗の閉店を予定している。6月15日時点で4店舗の出店と3店舗の閉店を実施し、合計490店舗となっている。また、100店舗以上の規模となる大型M&A案件についても現在交渉中で、成約すれば店舗数は一段と増加する可能性がある。
売上高の前提となる処方箋応需枚数は店舗数の増加に伴って約2%増を見込み、処方箋単価については技術料単価が横ばいとなるものの、長期処方の影響により薬剤料単価の上昇傾向が続いており、全体では約2%の上昇を想定している。4月~5月は処方箋応需枚数が前年同期比で3.3%減、調剤報酬が同0.9%増とやや低調な滑り出しとなっているが、今後はM&Aも含めた店舗数の増加に伴い、処方箋応需枚数も増加に転じる見通しである。
同社では、既存店における処方箋応需枚数回復のための施策として、サービス強化(待ち時間短縮、欠品対策、アフターフォローの充実(LINEミニアプリを通じた健康アドバイス等))によるリピート率の向上や、企業とも連携した新規患者の獲得を推進する。一方、技術料単価については2026年6月の調剤報酬改定により、調剤管理料の算定区分見直しによるマイナス影響※1が出るものの、地域支援・医薬品供給対応体制加算※2やDX推進体制整備加算などその他の算定項目で加算点を積み上げることでカバーする。また、年率10%台の成長が続いている在宅調剤についても引き続き注力する方針で、介護施設や有料老人ホームなどの施設向けに加えて、個人在宅調剤についても全店舗での実施を目指す。
※1 内服薬に関して処方日数区分と点数が見直された。従来は7日分以下で4点、8~14日分で28点、15~28日分で50点、29日以上で60点としていたが、改定後は長期処方(28日分以上)で60点、1~27日分は一律10点とした。同社では技術料収入で1億円程度のマイナス影響が出ると試算している。
※2 従来の地域支援体制加算(地域のかかりつけ薬局としての機能を評価)と後発医薬品使用体制加算を今回より一体化し、後発医薬品の使用割合85%以上を基礎要件とし、かかりつけ機能ごとに評価する方式に変更した。
利益面では、人件費の増加や仕入マージンの改善が見込み難いなか、生産性の向上やコスト適正化に取り組むことで吸収し、営業利益率で前期並みの水準を確保する方針だ。生産性向上の取り組みとして、処方箋応需枚数で月1,500回以下の小型店舗(全体の約2割を占める)における事務業務を東京と大阪にあるセンターで対応することで、事務スタッフの削減を進めるほか、アバターによる無人受付機の導入も進める。また、クラウド型電子薬歴システムは前期末で約600店舗に導入したが、2027年3月期中に800店舗まで拡大する計画である。同システムの導入によって、患者の薬歴確認に要する時間が導入前の約180秒から約38秒と大幅に短縮したほか、服薬指導と同時に薬歴作成を行うことが可能となったことで、月間残業時間が導入前と比べて約15%削減できたことが確認されており、店舗の生産性向上に寄与することが見込まれる。
(2) BPO事業
BPO事業の売上高は前期比22.2%増の17,470百万円、営業利益は同26.4%増の2,399百万円と2ケタ成長を見込む。CSO事業は需要が旺盛なスペシャリティ領域に注力し、リクルーティングの強化や人材育成に取り組みながら事業を拡大していく。CRO事業では、クリンクラウドによるデータマネジメント業務のノウハウや強みを生かしながら、医薬品領域だけでなく、食品分野での新規顧客や新規案件の獲得を推進していく。特に、大手食品メーカーで特定保健用食品の商品開発が活発化しており、治験案件の増加が見込まれている。
医療系人材紹介派遣事業では、利益率の高い紹介事業にリソースを集中していく。特に地方では薬剤師不足が続いており、紹介ニーズが強い。また、AI活用による業務プロセスの改善で生産性向上を図り、人材育成と顧客獲得に注力する。前期の減益要因となった広告宣伝費は減少する見込みであり、2ケタ台の増収増益を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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