クオールHD Research Memo(3):異業種連携による『ヘルスケア薬局』を展開、M&Aも活用し店舗数を拡大
■会社概要
2. 薬局事業
(1) 事業規模と業界内でのポジション
薬局事業では主に調剤薬局の運営を行っている。2026年3月末の店舗数で見ると、総店舗数949店舗のうち約97%に当たる918店舗を調剤薬局で占めており、残り25店舗は病院内売店の運営となる。また、セグメント売上高のうち約93%を処方箋売上高(いわゆる調剤売上高)で占め、残りは薬局やコンビニエンスストア、病院内店舗での商品販売や、クオールホールディングス<3034>公式通販サイト内での健康食品、衛生用品などの販売収入である。
調剤薬局業界における同社のポジションについて見ると、店舗数では調剤専門チェーンのなかでアインホールディングス<9627>に次ぐ2番手である。ただ、アインホールディングスは2025年8月に業界大手のさくら薬局グループ(2025年3月末で833店舗)を買収したことで、グループ店舗数が同社の2倍強の2,137店舗(2026年4月末)と一歩抜きんでた格好となっている。
(2) 店舗戦略
同社の店舗戦略の特徴の1つとして、タイプの大きく異なる2つの業態で事業展開していることが挙げられる。1つは「マンツーマン薬局」であり、もう1つはコンビニエンスストア大手である(株)ローソンやビックカメラ<3048>など異業種との連携による「ヘルスケア薬局」である。
マンツーマン薬局とは、通常のクオール店舗を対象とした店舗展開の基本スタンスを表象するコンセプトであり、事業モデルにおける“コアビジネス”でもある。そのポイントは処方元医療機関とクオール薬局との深い連携関係にある。“マンツーマン”という言葉は医療機関との深い連携関係を構築するために使用されていると弊社では理解している。マンツーマン(1対1)という言葉からは、1つのクオール薬局は1つの処方元医療機関とだけ連携を深めるとイメージしがちだが、実際には複数の医療機関と深い連携関係を構築していることが多いようだ。
マンツーマン薬局では医療機関との連携を生かして効率的なローコストオペレーションを実現し、その果実を患者のためのサービス向上に資することを目指している。具体的には、マンツーマン関係にある処方元医療機関の診療科目や地域性などに応じて店舗設計や機能を考えた店づくりを追求している。その原資は、マンツーマン経営の利点である医薬品在庫の効率化をはじめとする店舗の低コスト構造から生み出される。同社はマンツーマン薬局のコンセプトのもと、患者にとって利用価値の高い、患者から選ばれる薬局づくりを店舗戦略の中核に位置付けている。
もう1つの業態である、異業種との連携によるヘルスケア薬局の展開は、2009年6月の薬事法改正により、コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーなどの他業種店舗が登録業者として、一般用医薬品(いわゆる大衆薬)を販売できるようになったことが背景にある。これを機にドラッグストアなどで調剤薬局事業に参入する流れができ、それを迎え撃つ施策として同社は既述の2社との事業連携に踏み切り、その取り組みを推進している。
マンツーマン薬局では顧客層がある程度絞り込めるため、医薬品在庫などもそれを念頭において効率化できるが、ヘルスケア薬局は人通りの多い立地で不特定多数の顧客をターゲットとする面対応型薬局である。このため、店舗の在庫管理などの点でマンツーマン薬局よりも負担が増えるが、より多くの来店客数(=処方箋応需枚数)を期待できる。マンツーマン薬局をコアモデルと位置付けつつ、ヘルスケア薬局も展開することで顧客層の拡大を図ることが同社の狙いである。また、良品計画<7453>との連携により、無印良品店舗内への出店も2022年3月期より開始している。良品計画では生活者の“健やかな暮らし”に貢献すべく、健康づくりの場として健康イベントの開催や健康相談が気軽にでき、病気予防や健康維持から薬までを一気通貫で提供する「まちの保健室」を無印良品内に出店しており、その協業パートナーとして同社が調剤薬局を出店している。2026年3月末のヘルスケア薬局店舗数はローソンとのコラボ店が36店舗、ビックカメラ内店舗が4店舗、無印良品内店舗が2店舗となっているほか、駅ナカ店舗が1店舗ある。
2026年3月期末の地域別出店数を見ると、関東が410店舗と最も多く、次いで関西が146店舗、甲信越が125店舗と3つの地域で全体の7割を占めている。東京を創業地として店舗展開してきたことから関東圏が多いが、甲信越や関西エリアなどその他の地域でもM&A戦略を推進しながら店舗数を拡大してきた。10年前の2016年3月期末では563店舗のうち、関東エリアの占める比率は52%と過半を占めていたが、2026年3月期末は43%まで低下した。直近10年間で年間40店舗弱のペースで店舗拡大を続けてきたが、2026年3月期は1店舗の増加にとどまった。これは、収益体質の強化を優先し不採算店舗18店舗を閉店したことが要因である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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