リログループ Research Memo(5):営業利益は先行投資期で微増にとどまるも過去最高(2)
■リログループ<8876>の業績動向
1. 2026年3月期の業績動向のつづき
(3) 観光事業
大阪・関西万博や災害予告などが影響し、西日本で観光需要が減少したが、ホテル稼働率が全体的に堅調に推移したほか、新規開業施設の収益貢献や別荘のタイムシェア利用料収入が増加し、増収を確保した。同社はインバウンド比率が低く国内需要が中心のため、中国人ツアー減少の影響は限定的だった。利益面では、AI活用やDX推進を通じて原価高騰への対応や事務・運営コストの削減を進めたことにより、増益となった。なお、アセット売却益は、2施設を売却して前期比0.9億円増の14億円となった。同社は、50ヶ所以上運営しているホテルなどの遊休地を別棟として増築しバリューアップする高収益プロジェクト「リロステイVILLA構想」を進めており、買収が増えていることから、売却を加速してホテルポートフォリオの入れ替えを積極化している。
成長期に入り、本来の2ケタ営業増益ペースへ戻る計画
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の業績予想について、同社は売上収益165,000百万円(前期比9.2%増)、営業利益34,000百万円(同10.3%増)、税引前利益33,600百万円(同8.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益22,500百万円(同8.9%増)を見込んでいる。先行投資期だった中期経営計画初年度から2年目の成長期へ移ることもあり、本来の2ケタ増益ペースへ戻る計画である。
前期に積み上げたストック基盤を起点に、既存事業の伸長や新商品・新サービスの投入を通じて、福利厚生事業における会員数や借上社宅管理事業、賃貸管理事業などにおける管理戸数などのストック基盤の拡大を図る。また、海外赴任支援事業や観光事業でも収益を積み上げる方針である。利益面では、大きな先行投資の目途が前期についたため、2ケタ増益を見込んでいる。なお、その他の収益・費用以下で大きなものは予定しておらず、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益ともに、営業利益に沿った増益予想とした。
重要施策として、顧客基盤を生かして事業間シナジーを引き出すクロスセルの一環で、リロクラブバケーションズを2026年4月に設立した。従来は顧客の送客にとどまっていたクロスセルを、福利厚生事業のサービスと各事業のサービスを組み合わせて新たなサービスを開発することで、顧客数の拡大や顧客単価の上昇につなげる考えである。福利厚生事業と観光事業の共同出資によるリロクラブバケーションズは、「福利厚生プラットフォーム」と「会員制タイムシェアリゾート」を掛け合わせた、中小企業向けの会員制リゾートサービスで、同社にしかできないハイブリッドなサービスと言える。これにより、中小企業市場で、独自のポジションを確立する考えである。このほか送客にとどまらないクロスセルとして、賃貸管理会社向けBPO※サービスや、福利厚生事業の中堅・中小企業の顧客向け社宅管理などを展開しており、効果が出はじめているようだ。
※ Business Process Outsourcingの略。企業の業務プロセスを専門企業に外部委託すること。
セグメント別では、アウトソーシング事業が売上収益87,500百万円(前期比8.3%増)、営業利益24,800百万円(同8.3%増)、賃貸管理事業が売上収益57,000百万円(同7.6%増)、営業利益8,900百万円(同11.1%増)、観光事業が売上収益19,500百万円(同18.9%増)、営業利益5,600百万円(同28.9%増)を見込んでいる。
アウトソーシング事業のうち福利厚生事業では、カフェテリアプランやHRテック商材を順次投入し、周辺サービスと複合提案することで、受注単価の向上と退会防止を推進する計画である。ほかにも、新たなアライアンスや代理店の開発を通じた全国規模での顧客獲得や、地域メニューなどの開発を通じたサービスの差別化と会員利用の活性化を図り、福利厚生会員数780万人(前期比6.6%増)を目指す。競合の影響を保守的に考慮しているが、利用単価は上がっているため、予想売上収益は確保したいところである。
借上社宅管理事業では、ストック収益の安定拡大、既存サービスの単価向上、周辺領域への事業拡大により収益性の向上を目指す。具体的には、社宅管理戸数を325,000戸(前期比9.0%増)へ積み上げるとともに、「リロネット」の利用率向上、制度対応に伴う事務対応の有償化、システム機能拡充や金融環境を踏まえた手数料改定など、様々なアップセル策により戸当たり単価の上昇を図る。また、家具付き賃貸、中小企業向け社宅、EV駐車場、店舗・事務所管理など、新サービスや周辺サービスを拡張して成長を加速する。
海外赴任支援事業では、比較的競争の少ない海外赴任支援の領域で、企業のアウトソーシングニーズの高まりという追い風をしっかり捉える方針である。特に海外赴任では、従業員がフレキシブルに使える予算を仕組み化した、人事の効率化と従業員の満足度向上を両立する人事制度「CORE&FLEX」の普及を推進することで新規顧客の獲得を加速し、海外赴任支援世帯数8,000世帯(前期比13.4%増)を目指す。また、増加する外国人採用を支援するため、採用した外国人の生活を安価で効率的にセットアップするセルフ型のリロケーションサービスを開始する。
賃貸管理事業では、高稼働で満足度の高い収益基盤を背景に、コンサルティングツールを積極的に活用して、工事や買い替えなどの提案を質・量ともに高める方針である。また、事業承継ニーズが高まるなかでM&Aや2次管理を推進することで、賃貸管理戸数130,000戸(前期比3.6%増)を目標に、さらなる収益の積み上げを実現する。M&Aについては、前期は大きい案件がなかったが、2027年3月期は上期中に4,000戸~5,000戸が決まりそうだ。なお、アセット収益は前期と同水準を見込んでいる。
観光事業では、日本人観光客の多さと強固なグループ基盤を生かし、集客経路の多様化と集客の最大化を目指す。また、リロ ホテルズ&リゾーツで自社集客を強化するとともに会員向け宿泊特典を開始し、オンライン代理店への手数料を圧縮する。さらに、前期の人材派遣会社に続き、2026年4月には清掃会社のM&Aを実施し、費用の内製化によってコスト抑制を図る。「リロステイVILLA構想」については、実績が蓄積されて高効率であることが実証できてきたため、投資の回転を早めて来期以降の成長を加速させる。2027年3月期は2~3施設の売却を見込んでおり、19億円の利益を想定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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