リソル Research Memo(4):施設の上質化と事業の拡大を目指す
■リソルホールディングス<5261>の会社概要
4. 中期的な取り組み
2025年にインバウンド旅行者数が4,200万人を突破、日本政府が「観光先進国」の実現に向けて「2030年にインバウンド旅行者数6,000万人」という目標を設定していることもあり、今後もインバウンド需要の好調は続くものと見られている。こうした追い風の環境下、同社は、様々な強みを生かしてシナジーを創出、新たな価値を創造する考えである。中期的には、財務の健全性を意識しながら、戦略的なM&Aによるゴルフ場の取得、計画的なホテルの出店、多様化する宿泊への対応、海外進出などの事業拡大策を継続的に進める。また、国内富裕層やインバウンド旅行者などによる高級化志向の高まりを受けて施設やサービスなどの上質化を推進し、ブランド力を向上させる。以下、セグメント別の中期的な取り組み方針を示す。
ホテル運営事業では、出店を増やす方針である。核となるのはもちろん「リソルホテルズ」で、“物語のあるホテル”をコンセプトに、女性やインバウンド旅行者を含む上質なツーリスト層に選ばれる施設づくりを進める。具体的には、美味で健康志向の食事、手厚いサービスの提供、体験価値の創出に注力するほか、中長期滞在者に向けた新たな仕様やサービスの導入を進めることで、「リソルホテルズ」の“ツーリストホテル”としてのブランド価値をより一層強化する。
「リソルホテルズ」の出店も検討するが、労働者不足などにより竣工までの期間が延びていることから、オーナーチェンジによる中古ホテルや海外ホテルなど、新たな領域の運営施設も積極的に開拓する。中古ホテルについては、従来であれば引き受けなかったような他社運営が残っているものや「リソルホテルズ」のコンセプトから外れるものも含めて、「リソルスタイル」という新たなブランドで運営する。海外ホテルを含め、既にいくつかの案件を検討している模様である。財務健全性の観点からは、将来的にファンドを設立してオフバランス化することも検討している(2027年の新リース会計では変動賃料はオンバランスの必要がなくなる予定である)。
リソルステイ事業については、もともとのねらいが、別荘は買わないけど住んでみたいというアクティブシニアに対して長期滞在型の上質な別荘暮らしを提案することにあった。しかし、事業をスムーズに立ち上げるため別荘の確保を先行したため、別荘の格にばらつきが生じ、デイリー・ウイークリー・マンスリーとメニューが増えていった。一方、上質タイプは長期滞在したい国内外の富裕層に評判が良いうえ、リピーター化しやすく効率的に運営できることが分かってきた。このため近年は、上質タイプの別荘への入れ替えを進めてきた。足元ではおおむね入れ替えが済んだため、2026年は1年をかけてビジネスモデルを再構築する。
ゴルフ運営事業では、上質のゴルフ場のM&Aを引き続き推進するとともに、フェアウェイフロントヴィラ事業を拡大する。人員体制を充実し、生産性を向上して受入体制を整備、富裕層プレーヤーの獲得や会員権販売の強化を図る。中長期的に増加が予測されるインバウンドゴルファーの受入体制も拡充する予定である。なお、期待のフェアウェイフロントヴィラ事業については、「瀬戸内ゴルフリゾート」での第二期、「大熱海国際ゴルフクラブ」での新設がともに2027年にオープンする計画となった。開発余地も残されており、好評であれば増築も検討する。
リソルの森事業では、企業の人的資本拡大による研修需要増加を見据え、ラク・レマンエリアを新たな研修施設「ハーモニーエリア」としてのリニューアルを進めている。また、インバウンドゴルファーの獲得を見据え「真名カントリークラブ」での、フェアウェイフロントヴィラも計画しているようだ。中期的に、既存事業・施設の売上拡大に加え、新規事業の積み重ねにより収益基盤の安定化を目指す。
ウェルビーイング事業では、競合他社との差別化要素である独自プランや大手金融機関との連携を生かし、包括的なウェルビーイング領域で幅広い事業展開を図るようだ。加えて、将来的に業界モデルの変革も見据えて事業を推進、足元では「ハウスエージェント」や「OEM戦略」といった新たなビジネスモデルによって新規顧客の獲得を強化する。さらに、中小企業もターゲットに入れる。従業員50人以下の中小企業については、400万社以上あるにもかかわらず1人当たりの獲得コストが高くなるため、業界として取り組んでこなかった。しかし、AI活用やDX推進により獲得コストが下がり取り組める環境になってきたため、中小企業への営業をいち早く開始してシェアを確保する方針となった。中小企業サイドも、大手企業と同様の福利厚生サービスを受けられれば人材採用にも有利になるため、歓迎モードのようだ。
再生エネルギー事業では、「地球にやさしい」サステナビリティの実践に向け、グループが運営するゴルフ場でのソーラーカーポート事業の拡大を目指す。投資再生事業では、運営事業の拡大に向けてホテルやゴルフ場など新施設の取得に注力する一方で、ヴィラ建設によるリゾート型再生や、一部既存ゴルフ場を含むゴルフ場の再生可能エネルギー用地への転用、海外における新たな事業拡大なども進める。
ところで、事業規模の拡大に伴う人材の確保と育成については中期的に重要な課題と考えており、採用と人材開発の体制を強化するほか、女性や若手の登用も進める。一方、オペレーションの共通化やAI活用・DX推進による業務効率の改善、仕入れの統一化、ソーラーカーポートを活用した自家消費型太陽光発電の活用などを一層進め、引き続き懸念されるエネルギーや原材料価格の高騰によるコストプッシュに対応する考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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