芙蓉リース Research Memo(2):不動産・BPO/ICTが強み。モビリティ/ロジスティクスやヘルスケアも強化
■会社概要
1. 事業概要
芙蓉総合リース<8424>の事業セグメントは、「リース及び割賦」「ファイナンス」「その他」の3つに区分される。「リース及び割賦」はさらに「リース」と「割賦」とに分けて開示している。主力の「リース」が営業資産残高の58.5%を占めている(2026年3月期末実績)。また、今後の成長ドライバーとして、「モビリティ/ロジスティクス」「エネルギー環境」「BPO/ICT」「ヘルスケア」等の事業分野に経営資源を積極投入するとともに「不動産」「航空機」において差別化を進め、中長期的には「脱ファイナンス・リース」「脱金融」を進める方針である。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) リース及び割賦
情報通信機器・事務用機器・産業工作機械等のリース業務、商業施設・生産設備・病院設備等の割賦販売業務を行っている。リースとは、顧客が選定した機械や設備等を顧客に代わってリース会社が取得し、比較的長期にわたって一定のリース料で賃貸する取り引きである。設備導入に使途を絞った資金調達手段(金融取引)と言える。顧客にとっては設備を自社購入(所有)するよりも「資金の効率的運用」「事務負担の軽減」「陳腐化リスクの回避」のほか、「コストコントロール機能」の面等でメリットがある。リース会社にとってもリース物件の所有権を自らが持つことになるため、通常の融資取り引きに比べて回収リスクが小さい。また税務上のリース取引に属さない物件や顧客が物件の所有を希望する場合には、割賦販売にて対応している。
物件別のリース契約実行高でここ数年伸びてきたのは、「建物等」(不動産リース)と「輸送用機器」である。不動産リースは、同社の得意とする商業施設(大型ショッピングセンター等)のほか、ホテル、介護・居住、レジャー・サービス、物流等、アライアンス先の拡大に伴って取扱物件も多様化してきた。法的なハードルの高さや権利関係が複雑であることなどから専門性やノウハウが必要とされる分野であり、同社の30年以上にわたる経験則やネットワークが生かされている。また、これまでの「輸送用機器」の伸びは航空機リースによるものであり、今までの実績やノウハウ等が強みとなっている。加えて、ヤマトリース(株)※の連結化(2020年4月)等により、成長性が見込める「モビリティ/ロジスティクス」分野の強化も図っている。
※ 2020年4月にヤマトホールディングス<9064>の子会社であるヤマトリースの連結化を実施した。保有比率は同社が60%、ヤマトホールディングスが40%となっている。
(2) ファイナンス
設備投資資金等の事業資金のローンや不動産ファイナンスのほか、有価証券の運用業務等を行っている。再生可能エネルギー事業におけるファンド投資や連結子会社のシャープファイナンス(株)(以下、SFC)によるリテール向け等も含まれる。また、アクリーティブ(株)の連結化(2017年1月)により、ファクタリング事業※が加わった。
※ 主に中小企業向けのFPS(売掛債権早期支払いサービス)及び、医療機関向けのFPSメディカル(診療・介護報酬債権早期支払いサービス)を展開している。
(3) その他
自社事業としてメガソーラーの運営(再生可能エネルギー事業)のほか、航空機リース等に関わる匿名組合組成業務や生命保険代理店業務等を行っている。また、2018年10月に連結化した(株)インボイスが提供する一括請求サービス※や、2019年8月に連結化したNOCアウトソーシング&コンサルティング(株)(現 芙蓉アウトソーシング&コンサルティング(株)。以下、FOC)が展開する幅広いバックオフィスサービス(経理、人事・給与、総務、営業事務等)も加わり、様々なBPOニーズに対応する体制を構築してきた。2021年10月にはクラウド・パッケージを中心とするITソリューション(DX支援等)を展開する(株)WorkVisionを連結化し、サービス機能の拡充を図った。さらには、アルゴリズム・AI技術を活用したDXソリューションを提供する燈(株)との業務協定により、AIを活用した付加価値の高いBPOサービスの開発にも取り組んでいる。
※ 通信費や各種公共料金等、毎月の請求書に対する煩雑な業務を取りまとめ、支払いを代行するサービス。
2. 沿革
同社は、1969年に富士銀行(現 みずほ銀行)をはじめとする芙蓉グループ6社を株主として設立された。その後、業容を順調に拡大すると、1988年に米国に現地法人を設立し、1999年には航空機リースのメッカであるアイルランド(ダブリン)に現地法人を設立した。最近、競合各社が注力している航空機ビジネスへの参入は比較的早く、レバレッジドリース(投資家募集型の航空機リース)等の実績やノウハウを積み上げてきた。
また、1987年に横河電機<6841>との合弁により横河レンタ・リース(株)(計測器で高いシェア)を設立し、1999年には(株)ニチイ学館との合弁にて(株)日本信用リース※(医療機器・設備や福祉用具で高いシェア)を設立するなど、他社との連携にも取り組んできた。
※ 2022年1月に同社を存続会社とする日本信用リースの吸収合併を実施した。
同社にとってターニングポイントとなったのは、2004年12月の東京証券取引所第一部上場と2008年4月のSFCの連結子会社化(株式の65%を取得)である。特に、SFCはリテール(ベンダーリース)分野で高いシェアを誇っており、事業領域の拡張と規模拡大の両面で同社の業績に大きく貢献してきた。
また、2014年7月には英国の航空機関連サービス会社ALM 2010 Limited(Fuyo Aviation Capital Europe Limitedに商号変更)を連結子会社化(全株式を取得)し、航空機ビジネスの拡大に向けて体制を強化した。
2017年1月には、(株)ドンキホーテホールディングス(現 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>)の子会社であり、主に中小企業向けにファクタリング(売掛債権の買い取り)事業等を展開するアクリーティブを連結子会社とした。同社グループ各社とのクロスセルによるシナジー追求はもちろん、新領域への取り組みを強化している。また、2018年10月に一括請求サービスを提供するインボイス、2019年8月には幅広いバックオフィスサービスを展開するFOCを連結子会社とし、BPOサービスの強化にも取り組んでいる。2020年4月にはヤマトホールディングスの子会社であるヤマトリースを連結化し、成長性の見込めるモビリティビジネスや物流業界への展開に向けて足掛かりを築いた。
その後も、ITソリューションを展開するWorkVision(2021年10月)、医療・介護・福祉業界に特化した経営ソリューションサービスを提供する(株)CBホールディングス(2025年1月)、物流機器の販売・レンタルを手掛ける(株)ワコーパレット(2025年3月)、並びにレンタルパレットサービスを展開する日本パレットレンタル(株)(2025年4月)等を相次いでグループに加え、成長性の見込める各領域(BPOやヘルスケア、ロジスティクス領域)への拡充や事業基盤の強化を図ってきた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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