今仙電機製作所 Research Memo(2):シート・電装事業、電子事業を主とする自動車関連製品メーカー
■事業概要
1. 会社概要
今仙電機製作所<7266>は1932年に日本初となる電磁式ホーンの開発・生産により創業して以来、変化し続ける自動車業界において常に顧客ニーズに対応、多種多様な製品を提供してきた。開発から設計・製造・販売までを一貫して行い、その技術力には定評がある。品質・コスト・機能において大手自動車メーカーの信頼を得て、実績を築いてきた。自動車関連製品以外の分野は関係会社が手掛けており、(株)今仙技術研究所では、電動車いす・骨格構造型義足などの福祉製品のほか、電気・機械応用製品の研究開発及び製造販売を行い、東洋航空電子(株)では航空機用ワイヤーハーネスを展開している。(株)シーマイクロでは、画像処理技術を応用した産業用カメラや画像処理ボードの開発・製造・販売を行う。また、(株)岐阜東航電では工作機械用ワイヤーハーネスを製造しており、受注拡大により業績への貢献度が高い。
国内外の拠点については、グローバル供給に重点を置き、各拠点において生産し品質保証体制を充実させている。国内ではマザー工場である岐阜工場、本社所在地の愛知県犬山市にある名古屋工場をはじめ、7工場で展開しているが、より経営効率を高めるために、一部閉鎖を含め最適化を進行中だ。具体的には、岡山工場、岐阜県の春里工場及び可児工場の電装製品ラインを主力の岐阜工場に移管、空いた岡山工場には電子製品ラインを導入し、2028年3月期中に春里・可児両工場を閉鎖し、5工場に集約する。また、ロボットアームを搭載したAMR(自律走行搬送車)の開発・導入など、スマートファクトリー実現に向けての取り組みも進行中だ。
一方、海外拠点は、海外進出した国内自動車メーカーに歩調を合わせて展開しており、米国、メキシコ、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、インド、台湾と、8つの国と地域に拠点を設けている。しかし、それぞれの拠点を開設した当初に比べ経済情勢やビジネス環境が大きく変化していることから、現在はその在り方を見直している。中国景気の低迷が長引く可能性が高いほか、トランプ政権下で米国など北米地域に不透明感が漂うなど、海外拠点の再構築を図っている。特に、北米拠点では、2026年4月に工場の拡張を行ったことに続き、2027年夏を目途に塗装設備の更新を完了させる予定だ。さらに、現地調達化・合理化を進展させ、受注増に対応できるよう投資を推進する考えだ。
2. 事業内容
同社の主力事業は、自動車関連製品の製造販売である。その製品ラインナップは、シートアジャスタなどの機構製品と各種制御ユニットやリレー、ホーンなどの電子製品、ランプやマグネチックバルブなどの電装製品の大きく3つの分野に分かれる。
(1) シート・電装事業
同社の主力事業である。スライド(前後)、ハイト(座面高さ)、リクライニング(背もたれ角度)など、ドライバーや同乗者一人ひとりに合った自由度の高いシートポジションを調整するシートアジャスタ、自動車後部のストップ、テール、ターンシグナル、バックアップやリフレックスリフレクタなどのランプ類を一体化したリアコンビネーションランプをグローバルに供給している。また、電磁式渦巻ホーンは、同社の創業製品で日本で初めて国産化に成功し、伝統あるホーン製品の技術を守っている。同社が提供する製品は、快適なドライブをサポートするとともに、事故発生時には高強度のロックで安全を確保し、さらに、製品の軽量化を図り、クルマの燃費向上にも貢献している。
(2) 電子事業
CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electricの頭文字)普及により自動車の電子化・電動化が進むなかで、電子制御製品の開発と製造が、シート・電装事業に次ぐ第2の柱として伸長している。多くの技術シーズを自動車メーカーに提案しながら、パワーシートやスライドドア、空調などのボディー制御製品と、パワーエレクトロニクス技術を生かした高効率電力変換装置(DC-DCコンバータ)などの各種製品を提供している。さらに2022年8月には、主要顧客であるマツダ<7261>との間で、同社の電動車向けのインバータなどを開発する合弁会社を設立しており、本事業の今後の拡大が見込まれる。
(3) 非自動車関連事業
国内のグループ会社を中心に、非自動車関連の事業にも取り組んでいる。電動車いすや義足を手掛ける福祉機器関連分野においては、国産メーカーとしてトップのシェアを確保しているほか、名古屋工業大学との共同開発により無動力歩行アシストのコンセプトで「aLQ(アルク) by ACSIVE」を製品化しており、高齢化社会における今後の展開が注目される。また航空機や国産宇宙ロケットに搭載されるワイヤーハーネスや、工作機械向けのワイヤーハーネスを手掛ける事業、産業用カメラ、画像処理機器を手掛ける事業などに取り組んでいる。これらに主要事業である自動車関連の技術を含め、グループシナジーによる新規事業領域の開拓を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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