加藤製作所 Research Memo(5):2026年3月期は営業・経常損失計上
■加藤製作所<6390>の業績動向
1. 2026年3月期連結業績の概要
2026年3月期の連結業績(加藤(中国)工程机械有限公司を連結範囲から除外)は、売上高が前期比6.4%増の56,335百万円、営業利益が2,320百万円の損失(前期は903百万円)、経常利益が1,841百万円の損失(同1,401百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,526百万円(同6,033百万円の損失)となった。2026年2月13日付で修正した会社予想に対して、売上高はおおむね予想水準となったが、各利益は下回った。
前期比では、売上高は海外の需要低迷が継続したものの、国内向け大型ラフテレーンクレーンの販売再開や国内向け油圧ショベルの一部製品の弾力的な販売施策により増収となった。営業利益と経常利益は、戦略的な在庫圧縮に伴う工場稼働率の低下、資材価格・物流費の上昇、補用部品の長期在庫に対する一過性の評価損計上などにより、いずれも損失を計上した。親会社株主に帰属する当期純利益は大幅に黒字転換した。特別利益には加藤(中国)工程机械有限公司の持分譲渡完了に伴う子会社株式売却益7,224百万円を計上した。また特別損失には欧州の子会社に関して減損損失566百万円を計上したが、前期に中国子会社2社の解散・清算を決定したことに伴って計上した子会社整理損7,103百万円の影響が一巡した。
売上総利益は前期比32.3%減少し、売上総利益率は同5.9ポイント低下して10.3%となった。在庫圧縮に伴う工場稼働率の低下、資材価格・物流費の上昇、補用部品の評価損計上などが影響した。販管費は同5.8%増加したが、販管費比率は同横ばいの14.5%となった。営業利益の増減分析は、為替影響により同82百万円増加しているものの、物量影響により同629百万円、売価・原価・製品構成・その他の変動により同801百万円、アフター部品売上減少により同121百万円、販管費増加により同449百万円、弾力的な販売施策の影響により同737百万円、補用部品たな卸評価損により567百万円、それぞれ減少した。なお四半期別の営業利益は第1四半期が635百万円の損失、第2四半期が980百万円の損失、第3四半期が251百万円の損失、第4四半期が454百万円の損失となった。第4四半期は在庫適正化に向けて弾力的な販売施策を加速したため第3四半期に比べて営業損失が拡大した。半期別に見ると下期(705百万円の損失)は上期(1,615百万円の損失)に比べて営業損失が縮小した。営業外収益では、前期に計上した受取補償金464百万円が剥落したが、為替差益が前期比602百万円増加(前期は18百万円、当期は620百万円)したほか、貸倒引当金戻入額が同275百万円増加(前期は107百万円、当期は382百万円)した。
国内建設用クレーンの売上高は大幅増加
2. セグメント別・品目別の動向
セグメント別(セグメント間内部売上高、全社費用等調整前)では、日本は売上高が前期比11.2%増の51,899百万円で営業利益が2,231百万円の損失(前期は621百万円)となった。売上高は、海外向けが需要低迷により建設用クレーン(前期比13.7%減の3,405百万円)、油圧ショベル等(同19.6%減の8,629百万円)とも減収となったが、国内向けは大型ラフテレーンクレーンの販売再開により建設用クレーン(同19.9%増の35,443百万円)が大幅増加したほか、油圧ショベル等(同0.2%増の7,636百万円)が一部製品の弾力的な販売施策により前期並みを確保した。営業利益は在庫圧縮に伴う工場稼働率の低下、資材価格・物流費の上昇、補用部品の評価損計上などが影響した。
欧州は売上高が同8.5%減の4,378百万円で営業利益が239百万円の損失(前期は11百万円の損失)となった。欧州市場の需要低迷が継続した。その他は売上高が同58.7%減の1,130百万円で営業利益が57百万円(前期は69百万円の損失)となった。中国子会社の連結除外や需要低迷の影響による減収だが、中国事業を撤退したことで営業損益は改善した。
品目別売上高では、建設用クレーン合計が前期比15.9%増の38,849百万円(国内が同19.9%増の35,443百万円、海外が同13.7%減の3,405百万円)、油圧ショベル等合計が同11.4%減の16,265百万円(国内が同0.2%増の7,636百万円、海外が同19.6%減の8,629百万円)、その他合計が同14.7%増の1,220百万円(国内が同15.3%増の1,167百万円、海外が同3.6%増の53百万円)となった。建設用クレーン、油圧ショベル等とも海外売上高が需要低迷の影響で減少したが、国内売上高は建設用クレーンが大型ラフテレーンクレーンの販売再開などにより大幅増加したほか、油圧ショベルが一部製品の弾力的な販売施策により堅調であった。
海外仕向地別売上高では、アジアが同25.0%減の4,290百万円、中近東が同7.9%減の265百万円、欧州が同8.5%減の4,304百万円、オセアニアが同49.2%減の226百万円、アフリカが同64.4%減の86百万円、北・中南米が同12.6%減の2,915百万円となった。おおむね全地域で需要が低調に推移した。なお海外売上高合計は同18.0%減の12,088百万円で、売上高合計に対する海外売上比率は同6.3ポイント低下して21.5%となった。
財務の健全性を維持
3. 財務の状況
財務面で見ると、2026年3月期末の資産合計は前期末比10,381百万円減少して92,365百万円となった。主に貸倒引当金が12,929百万円、破産更生債権等が12,930百万円、商品及び製品が同4,555百万円減少、現金及び預金が同3,695百万円、原材料及び貯蔵品が同2,171百万円、それぞれ減少した。負債合計は同8,246百万円減少して49,898百万円となった。主に電子記録債務が同3,918百万円減少したほか、有利子負債残高(長短借入金及び社債の合計)が同3,595百万円減少して40,183百万円となった。純資産合計は同2,135百万円減少して42,467百万円となった。利益剰余金が同3,711百万円増加した一方で、中国子会社を連結範囲から除外したことで為替換算調整勘定が同5,197百万円減少したほか、自己株式(減算)が同704百万円増加した。この結果、自己資本比率は同2.6ポイント上昇して46.0%となった。弾力的な販売施策やたな卸資産の適正化によってたな卸資産が大幅に減少し、長期借入金の返済も寄与して自己資本比率が上昇した。
今後はさらなる財務基盤の強化が望まれるものの、現状では特に懸念材料はなく、財務面の健全性を維持していると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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