サンワテクノス Research Memo(7):AI関連の設備投資拡大を追い風に中期目標に対して上振れる可能性も(3)
■サンワテクノス<8137>の長期ビジョンと中期経営計画
(3) 成長を支える投資と個別戦略の実施
a) 投資戦略
投資戦略に関しては、内部成長と外部成長を相互に補完しあう「事業協調型」による戦略的投資を推進する。投資資金としては手元キャッシュや自己株式などを活用するほか、必要に応じて最適な資金調達手段の選択を柔軟に検討する方針で、3年間で約100億円を投下する。内部成長のための投資としてはインフラ投資、DX投資、技術投資、人的投資を、外部成長投資としては既存事業とのシナジーが期待できるメーカー機能を持つ企業やサービスエリアを拡張できる企業などを対象にM&Aやアライアンスを推進する。
2026年3月期の内部成長投資として、エムテックと共同開発したパレタイズロボットシステムのパッケージ商品の開発や物流拠点の再編(スマート物流の展開)、SDX(SUN-WA Digital Transformation)を推進した。また、2026年夏に本社及び東京オフィスの移転を予定している。一方、外部成長投資としてエムテックとHTK Europe(現 SUN-WA TECHNOS (UK) Connect Solutions)のM&Aを実施し、それぞれ子会社化した。
エムテックは、メーカー機能(技術力と商品開発力)を持つ開発型企業で、同社とは2023年に業務提携契約を締結し、ロボットソリューションの共同開発を行ってきたが、株式交付により50.5%の株式を取得した※1。子会社化の目的は、メーカー機能の獲得により、顧客ニーズに応えるソリューション開発を加速し、ロボット・FAコンポーネント分野における自社製品ラインナップの強化である。エムテックは、センサ情報を駆使した独自のモーションコントロール技術を有し、ロボットの複雑な動作に対応可能な柔軟な自動化システムを設計・開発できること、また3D解析技術により最適な生産プロセスと設備仕様を迅速に設計するなど、メーカーが産業用ロボットを組み込んだ製造ラインを構築する際に導入コストの低減と短納期化を実現するソリューション力がある。エムテックの技術力と同社の販売力を融合することで、ロボットソリューションの受注拡大を目指す。エムテックの売上規模は2億円前後でまだ業績に与える影響は軽微だが、共同開発したパレタイズロボットシステムをパッケージ化した商品「SPP1 AR^2」の拡販を進めることで早期収益化を目指す。同製品の特長は、1)ロボットを導入していない企業でもタブレットでアプリに箱寸法と積み付け条件を入力するだけで、かご車への積み込み動作プログラムを作成できること、2)昇降リフターを内蔵することで10kg可搬のロボットで積み付け高さを補えること、3)AR^2 System※2を利用することで、かご車の位置決め作業が不要となり、稼働率及び生産性が向上すること、の3点が挙げられる。人手不足の解決につながるソリューションとして中小企業や中堅企業の関心度も高く、多くの商談件数を抱えている。成約までに時間を要しているが、中長期的に収益貢献する取り組みとして注目される。
※1 のれんは647百万円で5年均等償却。
※2 ロボットのティーチングデータをARマーカーに移すことができるシステム。ロボットがARマーカーを読み取ることで、位置ずれや誤差に対してカメラを用いた位置補正が可能である。
SUN-WA TECHNOS (UK) Connect Solutionsは、もともと中堅コネクタメーカーである本多通信工業の英国の製造販売子会社であったが、同社が全株式を取得し子会社化した。英国工場でワイヤーハーネスや制御盤等の組立加工を行っているが、売上規模としては小さい。欧州のローカル企業は仕入先を選定する際に現地設計・現地対応できる能力を重視する傾向にあるため、同社のように商社機能を有するだけでは開拓が困難で、こうした課題を解決するために現地で製造機能を持つ企業を子会社化した。同子会社は欧州の厳しい安全規格に即した製造・品質体制を有しており、ハーネスや制御盤を顧客設備仕様に応じてカスタム生産できることが強みである。今後は同子会社の製造機能をフルに活用して現地優良顧客の開拓を進め、今まで伸び悩んでいる欧州市場での事業拡大を目指す戦略だ。2027年3月期は営業機能も強化し、従来ドイツ子会社で担当していた英国の顧客を同子会社に担当させて営業効率を高めるとともに顧客満足度の向上と取引深耕を図る。
b) DX戦略
DX戦略では「守りのDX」から「攻めのDX」へシフトし、データとテクノロジーで成長加速を目指す。具体的には「業務効率化×標準化×スリム化」を実現する次世代基幹システムの導入準備に着手している。国内外の経営・業務データの収集と活用によりグローバル経営の意思決定を加速するほか、営業・マーケティング情報のAI・データ分析により営業戦略の強化を図る。特に、営業スキルの伝承は経営の重要課題と認識しており、人財育成にAIを活用しながら営業スキルの向上に取り組み、早期戦力化並びに営業の生産性向上につなげる。次世代基幹システムが稼働開始するのは、2029年3月期からスタートする次期中期経営計画期間内になる見通しだ。なお、スマート物流による「見える化システム」で物流拠点の最適化と高精度運営を実現し、顧客満足度の向上を目指すほか、先端テクノロジーに対応できるDX人材の育成と活用を推進し、組織力の強化を図る。
c) 人財戦略
人財戦略では、社員一人ひとりが活躍できる制度と組織の構築に取り組み、中期経営計画の達成と企業価値の向上につなげる。重点施策として、個々のスキルと成果を反映する評価制度と報酬体系の導入を検討するほか、営業人財の強化・スペシャリストの育成・内勤営業体制の最適化を図る。また、ダイバーシティの推進や次世代リーダーの育成、社員のリスキリング、社員エンゲージメントの構築、ウェルビーイングなどにも取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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