サンワテクノス Research Memo(3):地域セグメント別では日本が3期ぶりの増収に転じる
■サンワテクノス<8137>の業績動向
2. 部門別、地域別動向
同社は市場環境の変化に適合すべく、2026年3月期より事業区分を4つの部門(電子コンポーネント、制御デバイス、産業用PC、FAソリューション)に再編するとともに、営業本部についても4部門に再編した。各事業の主な取扱製品は、電子コンポーネント部門では電源や機構部品(コネクタ、リレー、スイッチ等)のほか、コンデンサ、センサ、LEDなど、制御デバイス部門ではサーボモータ、インバータ、プログラマブルコントローラ、パワーコンディショナなど、産業用PC部門では産業用PCのほか、ネットワーク機器やIoTゲートウェイなど周辺装置やソフトウェアを、FAソリューション部門では産業用ロボットやマウンター、搬送機器などの設備装置になる。また、地域別セグメント情報として売上高及び営業利益を開示している。
(1) 部門別売上高の動向
電子コンポーネント部門の売上高は前期比7.9%増の89,146百万円となった。主要顧客の生産増加を背景に、車載用光学ユニットやFA業界向け電子部品の販売が増加した。また、社会インフラ業界(航空機)向けに液晶ディスプレイの販売も増加した。
制御デバイス部門の売上高は同1.9%減の34,175百万円となった。データセンター関連市場の好調を背景に、マウンター業界向けモータの販売が増加したほか、新規案件の獲得により太陽光関連業界向け蓄電池用パワーコンディショナの販売が増加した。一方、中国における太陽光関連業界の設備投資減少の影響により、太陽光関連業界向けサーボモータ及びスカラロボットの販売が減少した。
産業用PC部門の売上高は同7.7%増の8,577百万円となった。半導体業界の設備投資拡大を背景に、半導体製造装置業界向け産業用PCの販売が増加したほか、中国の自動車関連での設備投資増を背景にFA業界向けボードコンピュータの販売も増加した。
FAソリューション部門の売上高は同16.0%増の16,429百万円となった。半導体業界の設備投資拡大を背景に、半導体製造装置業界向け検査装置及び搬送装置の販売が増加した。
(2) セグメント別業績動向
日本の売上高は前期比12.4%増の114,365百万円、営業利益は同34.0%増の2,912百万円と3期ぶりの増収増益に転じた。半導体製造装置業界向け産業用PC、半導体関連業界向け検査装置及び搬送装置、車載用光学ユニット、社会インフラ業界向け液晶ディスプレイ、マウンター業界向けモータ、太陽光関連業界向け蓄電池用パワーコンディショナ、FA業界向け電子部品などの販売がそれぞれ増加した。
アジアの売上高は同1.3%減の46,279百万円、営業利益は同10.0%減の1,012百万円と減収減益基調が続いた。主力の中国市場においてFA業界向けボードコンピュータ及び電子部品、半導体製造装置業界向け電子部品及び産業用PCの販売が増加したものの、太陽光関連業界向けサーボモータ及びスカラロボットの販売減少が響いて減収減益となった。なお、2024年3月期より進出したインドでは現地に進出するFA及び社会インフラ関連(鉄道信号)企業向けの販売が順調に増加し、単月ベースで黒字化を達成した。
欧米の売上高は同1.0%増の6,437百万円、営業利益は同8.7%増の50百万円となった。自動車関連業界向け産業用ロボットの販売が減少したものの、米国の半導体製造装置業界向けケーブルの販売増加がカバーした。
2027年3月期はアジア市場も回復し、2ケタ増収増益と成長が加速する見通し
3. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比16.6%増の173,000百万円、営業利益で同47.8%増の6,000百万円、経常利益で同29.8%増の6,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同28.6%増の4,200百万円と2ケタ増収増益となる見通しである。中東情勢の混迷による原油高を背景に先行き不透明な状況が続くものの、AI市場の急速な成長を背景に半導体やデータセンターなど関連業界の設備投資がさらに拡大するほか、脱炭素社会の実現に向けた環境・エネルギー分野への投資、人手不足を背景とした省力化・自動化投資も堅調に推移することが見込まれるなど、同社にとっては良好な事業環境が続く。
2026年4月の受注も好調に推移した模様で、低迷が続いていた中国市場も半導体製造装置業界や自動車関連業界向けの受注増加により上向きに転じている。実際、アジアの受注高は前第4四半期に前年同期比19.2%増の12,570百万円、前四半期比でも29.4%増となるなど回復が鮮明となっている。今後についても原油高を背景に太陽光パネルや系統用蓄電池による再生可能エネルギーシステム向けの需要は国内外で拡大する見通しで、関連商材の好調な販売が見込まれる。
利益面では、増収効果に加えて売上総利益率の改善傾向が続く見通しだ。引き続き人件費は増加するも、AI活用による間接部門の生産性向上や、スマート物流システム導入による物流コストの抑制によって販管費率の低減を見込んでいる。その結果、営業利益率は前期の2.7%から3.5%に上昇する見通しだ。営業外収支が前期比518百万円悪化する見込みとなっているが、想定為替レートを148.0円/米ドルと前期よりも円高で設定していることで、為替差損の発生を見込んでいるためだ。ただ、足元の為替レートは150円/米ドルを上回る円安となっており、今後も同水準が続けば業績の上振れ要因となる。同社では1円/米ドルの変動による年間の収益影響額は、売上高で499百万円、営業利益で53百万円と試算している※。
※ 円/米ドルが1円変動し、他通貨も同じ比率で変動したと想定した場合の影響額。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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