ネットイヤー Research Memo(2):デジタルマーケティング支援事業展開、2019年にNTTデータグループ入り
■事業概要
1. 会社概要
ネットイヤーグループ<3622>は、「生成AIを活用して未来の社会を創造する」をビジョンとして、企業や行政に対しインターネット技術を活用したDXやデジタルマーケティング支援をするSIPS(Strategic Internet Professional Services)事業を展開している。具体的には、デジタルマーケティング施策の立案、あるべきUX/CXを実現するためのデザイン設計、オウンドメディア及びアプリの開発、デジタル広告及びSEO運用、各種マーケティングツールの販売・導入支援・運用、EC構築支援、新規事業開発支援等を行っており、これらはすべて顧客企業の成長を支援することが特徴だ。
会社設立は1999年で、2008年に東証マザーズ市場に株式上場し、2022年4月の同市場区分再編に伴いグロース市場へ移行し、2026年4月にスタンダード市場に区分変更した。なお、2019年3月にNTTデータが同社株式の48.5%を保有する筆頭株主となった。2026年3月期末の従業員数は188名(派遣社員含む)である。
27年間にわたり、顧客企業の成長を支援してきた豊富な実績が強み
2. 事業内容と強み
同社が事業領域とするデジタルマーケティングとは、企業活動において、顧客との最初の接点となる広告やSNSなどから始まり、オウンドメディアやインターネット通販などのECサイト、アプリケーションを経て、購買などのアクションに導き、その顧客の購買行動を分析して、来訪を促し、顧客のロイヤリティ化を促進することである。企業や自治体などのクライアントに対して、新たなデジタルマーケティング戦略を提案・実践することで、クライアントが目標とするブランド価値の向上や売上成長、業務変革の推進などの成果を導き出すサービスである。
同社の強みは創業から27年間、顧客企業の成長を促進するための施策を顧客と協働して培ってきた蓄積にあり、顧客数は累計で1千社以上、プロジェクト数で年間2,800件以上の実績を有する。それぞれの業種、業界で顧客企業の異なった課題に向き合い、その課題解決を顧客企業とともに実現してきた経験は、他の競合企業を寄せ付けない。今後は、急速に普及しつつある生成AIの利活用を推進することで、従来型プロジェクトの効率や品質を向上させるほか、AIエージェントが介在する新たな形態での顧客企業とユーザーの関係性を構築し、顧客企業のデジタルマーケティング戦略の策定を支援していく。
3. 同社が想定するコミュニケーションの将来モデル
同社では、企業と消費者間のマーケティングコミュニケーションについて、将来的なモデルとなるABAC(AI agent-Based Autonomous Communication)モデル※を提唱している。具体的には、近い将来、消費者側の代理人である生成AIエージェントと企業側の代理人である生成AIエージェントが直接会話をして様々な顧客側のニーズを叶えてくれる世界が到来すると予測している。
※ 「AI agent-Based Autonomous Communication」は、2026年4月に商標登録済み。
例えば、就寝前にちらっと見たYouTubeに出てきたポロシャツが気になったとする。そのポロシャツに近い商品を探しておいてくれと消費者の代理人である生成AIエージェントに頼んでおくと、その消費者の代理人である生成AIエージェントは、消費者が寝ている間に、世界のアパレルメーカーやショッピングサイトの代理人である生成AIエージェントと「自律的(Autonomous)」に会話をして、このような商品がないか、確認するのである。朝起きると、昨夜に探しておいてくれと頼んだポロシャツが家の前に到着しているかもしれない。そのような将来像を同社では予測し、このような世界が実現するための技術、システム、データベースをどう構築するべきか研究を進めている。
4. 生成AIの利活用におけるNTTデータとの協業
生成AI分野に注力していこうとする同社であるが、その親会社のNTTデータは、2025年4月に世界的な生成AIの代表企業であるOpenAI,Inc.と戦略的提携を開始した。NTTデータグループの一員である同社はNTTデータグループが保持する様々な生成AIに関係するケイパビリティを最大限活用して、デジタルマーケティング市場における競争力を一段と高めていくことを目指している。
2026年3月期までの5期間の顧客別売上構成比の推移を見ると、NTTデータを中心としたNTTグループは2023年3月期の44%をピークに2026年3月期は19%まで低下した。これは、NTTグループの主要顧客における特定大型プロジェクトの規模が縮小及び終了したことによる。一方、小売・飲食業は30%前後、サービス業は17%前後と構成比としては安定して推移しており、直近2期間では不動産業を中心にその他の業種の構成比が上昇している。2026年3月期の個社別売上構成比では、スターバックス コーヒー ジャパン(株)(以下、スターバックス)が14.0%と最も高く、次いでNTTデータが13.3%、モスフードサービス<8153>が10.5%となっており、上位3社で売上高の40%弱を占めている。NTTデータ向けに関しては、通信業や金融、自治体向けの協業案件が多い。大型プロジェクトの終了が影響して2023年3月期の34.5%をピークに低下傾向が続いたが、2027年3月期以降はいくつかの協働案件なども手掛けていくことで、中期的には売上構成比で20%強の水準まで引き上げたい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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