C&R社 Research Memo(9):2027年2月期も増収増益基調が続く見通し
1. 2027年2月期の業績見通し
クリーク・アンド・リバー社<4763>の2027年2月期の連結業績は、売上高で前期比6.7%増の65,500百万円、営業利益で同6.8%増の5,250百万円、経常利益で同7.3%増の5,150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同17.8%減の3,350百万円を見込んでいる。前期に特別利益の計上などで嵩上げした親会社株主に帰属する当期純利益を除けば、過去最高業績を連続更新する見通しである。親会社株主に帰属する当期純利益も一過性のプラス要因(高橋書店グループの税金費用、コネクトアラウンドの補助金)を除いたベースでは9%程度の増益となる。2027年2月期も事業承継やM&Aの候補案件を複数抱えているものの、期初計画には織り込んでおらず、案件の規模次第では業績修正を行う可能性がある。
2027年2月期はすべてのカテゴリで増収増益を見込んでいる。2026年2月期第2四半期より連結業績に反映された高橋書店グループの業績見通しについては、第1四半期に売上高で15億円強、営業利益で1.5億円程度を見込んでおり、第1四半期の連結業績の増収増益要因となる。一方、第2~第4四半期については前期が想定以上に好調だったことも考慮して、前年同期並みか若干下回る水準で業績計画に織り込んでいる。
一方、費用面ではゲーム分野におけるスタジオ機能の移転・増床に伴う費用増7.2億円を見込んでいる。内訳は賃借料で5億円、一過性の費用計上で2.2億円となる。本社近隣のビル1棟を賃借して同社のほか、クレイテックワークスやURS Gamesのスタジオ機能を集約化し、2026年5月から稼働を開始する。従来よりもフロア面積が2倍に拡張され、今後の事業拡大に向けた人員増に対応していくだけでなく、職場環境の改善による生産性向上にもつなげていく。2026年春の新卒社員数はグループで過去最多となる366名となり(前年は325名)、キャリア採用も含めて今後も人的資本投資については積極的に推進する。
2027年2月期は8カテゴリすべてで増収増益となる見通し
2. カテゴリ別業績見通し
(1) ゲーム&ライツマネジメント
売上高は前期比5.2%増の18,800百万円、営業利益は同8.4%増の1,725百万円となる見通しである。ゲーム分野の売上高はコンソールゲーム向けタイトルの開発案件の増加に加えて、クレイテックワークスが前期に受注した大型案件の貢献もあり増収を見込んでいる。利益面では、スタジオの移転・増床に伴う費用増があるものの、増収効果や自社開発タイトルの損失がなくなることで吸収する。また、AIの活用による生産性向上にも取り組んでおり、現状は、開発工程の前段階の業務でAIを活用するにとどまっているが、今後活用領域を徐々に広げていく。海外向けについては売上規模で1億円強を計画しており、案件を積み重ねながら顧客との関係強化を図っている。一方、電子書籍分野も「漫画LABO」で2026年春にリリースした新作が好調に推移していることから増収増益を見込んでおり、収益貢献が期待される。
(2) ブロードキャスティング&動画
売上高は前期比3.2%増の15,500百万円、営業利益は同8.0%増の777百万円となる見通しである。テレビ局における人材需要は引き続き堅調で、グループ各社とも増収増益が見込まれる。番組制作は地上波放送向けが中心だが、Netflixなどインターネット配信事業者向けの需要も年々拡大しており、これら市場を開拓することで今後も安定成長が見込まれる。
(3) プロモーション&マーケティング
売上高は前期比5.9%増の8,200百万円、営業利益は同10.5%増の750百万円となる見通しである。大手企業や官公庁向けを中心とした旺盛なプロモーション需要に対応すべく、プロフェッショナル人材の増員を図りながら収益成長を目指す。
(4) メディカル&ヘルスケア
売上高は前期比8.3%増の6,270百万円、営業利益は同5.7%増の1,520百万円となる見通しである。地方における医師不足を背景とした医師紹介ニーズは引き続き強く、エージェンシー事業の拡大を見込んでいる。プロデュース事業やその他については保守的に前期並みの水準で計画に織り込んでいる。また、新規クリニック経営支援サービスについては、従来の3施設から増加を目指す。
(5) AI/DX・IT
売上高は前期比10.9%増の3,680百万円、営業利益は同93.7%増の190百万円となる見通しである。「DXの森」を通じた中小企業向けAI・DX導入支援サービスの拡大が続くほか、リーディング・エッジ社やIdrasysも企業のAI/DX投資拡大を追い風に収益成長が見込まれる。
(6) プロフェッショナル・エージェンシー
売上高は前期比6.4%増の2,500百万円、営業利益は同50.1%増の150百万円と増収増益に転じる見通しである。会計分野で2026年2月期下期以降、需要が回復局面に入ったことや、低迷が続いている法曹分野も内部体制の見直しを進めることで収益回復を目指す。なお、会計・法曹分野ではAIエージェントの普及による影響が懸念されるが、法曹分野では弁護士の企業への紹介サービスがメインとなるため影響は軽微と同社では見ている。一方、会計分野については経理業務の人材派遣が今後、AIで代替されるリスクがあるものの、現時点では企業からの需要も回復傾向にあり影響は軽微と考えられる。
(7) Quality of Life
売上高は前期比7.1%増の2,840百万円、営業利益は同74.5%増の125百万円となる見通しである。ファッション・食分野の業績が引き続き堅調に推移するほか、前期に低迷していた建築分野も足元の受注が回復傾向となっていることから、増収増益に転じる計画である。ただ、イラン戦争を発端とした原油高が長期化した場合は、業績のリスク要因となる。
(8) インキュベーション&デベロップメント
売上高は前期比21.8%増の9,745百万円、営業利益は同50.1%増の680百万円を見込んでいる。高橋書店グループの業績が通年寄与することに加えて、その他子会社の収益改善が増収増益要因となる。コネクトアラウンドについては、2025年6月に開始した複合施設が通年で寄与することもあって売上高で3倍増となり、営業損失も縮小する見込みとなっている。減価償却費控除前ベースでは2026年秋頃に単月ベースで黒字化する見通しである。そのほか単独での収益化が難しいと判断した子会社については、清算や他社資本の受け入れも視野に入れ、検討している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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