rakumo Research Memo(4):Google等のグループウェアを拡張するツールを提供(2)
2. 「rakumo」サービスの特徴
rakumo<4060>の事業は、Google、Salesforce及びAve Point Japanとの強固なパートナーシップを基盤としている。このため、Google、Salesforce及びMicrosoftのプラットフォームの仕様に合わせた製品開発及びメンテナンスが重要となる。ただし、同社は、多岐にわたるサービスラインナップとカバー範囲を確立しており、これが新規参入に対する障壁となっている。
同社が提供するGoogle向けSaaSサービスは、Google Workspace上で提供される業務支援ツールで、カレンダーや経費精算などプロダクトのカバー範囲も広く、多種多様なクライアントのニーズに対応可能な柔軟性を持つ。また、製品間のシームレスな連携により、重複入力や重複対応が不要となり、ユーザーの効率性の向上や作業ミスの低減につながっている。加えて、「rakumo」の導入によりセキュリティを確保しながらスムーズな業務運営が実現できる点も、企業にとって大きな価値となっている。こうした多機能かつ統合的なサービスは顧客の利便性を高め、長期的な利用を促している。結果として、同社は高い顧客定着率を維持しており、安定したサブスクリプション収益基盤を形成している。
同社が再販するMicrosoft向けSaaSサービスの特徴は、Google版rakumoと同様、現状はMicrosoft 365上でカレンダーを含めた3つのプロダクトを展開している。また、AvePoint Japanと連携して次のプロダクトの開発及び販売についても検討を進めている。なお、Google版の提供に加えてMicrosoft版を再販できるようになったことにより、Google Workspaceを利用していないことで「rakumo」の販売ができなかった顧客に対しても販売ができるようになったこと、プラットフォームの変更により解約となっていた顧客への解約抑制にもつながることなど多面的な業績への寄与が期待される。
3. ビジネスモデル
主要サービスである「rakumo」の収益モデルは、ユーザー数に応じた継続的なサービス提供を前提とするサブスクリプション型である。収益が継続的に積み上がるストック型ビジネスとしての安定性を持ちながら、新規契約数の増加により高い成長も見込める。また、年間契約が主体で料金を一括前払いで回収するため、キャッシュ・フローの安定性が高いことも特徴である。
また、販売代理店(販売パートナー)との密な連携に加え、インターネット経由の直接販売(インバウンド)の両軸で販売を実施することで、効率的な販売体制を構築している。販売パートナーへの卸値が同社の売上高計上額となるため、会計上の売上高や営業費用にはマージンが含まれない。これにより、SaaSサービスの売上高の多くがそのまま売上総利益となり、高収益な事業構造を実現している。
■業績動向
2025年12月期はコスト増を価格改定で吸収し、2ケタ営業増益を達成
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比26.8%増の1,830百万円、調整後EBITAが同34.0%増の585百万円、営業利益が同11.6%増の428百万円、経常利益が同14.0%増の428百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.6%増の272百万円となった。
サービス別売上高を見ると、rakumoサービスは価格改定効果やライセンス数の増加などにより前期比17.3%増の1,414百万円、その他サービスはスタートレ(現 DEGINA)及びエージェントシェアの新規連結効果により同75.1%増の415百万円と拡大した。なお、今回よりソリューションサービス及びITオフショア開発サービスの重要性が低くなったこと、rakumoサービスの重要性が高まったことからサービス別売上高の区分を変更している。
売上原価は、円安の影響によるGoogle向けサーバー費用の増加や子会社2社の新規連結影響があったものの、生成AI機能などのサービス開発に関わるコストを資産計上したことで前期比9.9%増となり、売上原価率は29.6%と同4.5ポイント改善した。販管費は同51.6%増の860百万円となり、販管費率は47.0%と同7.7ポイント上昇した。主な増加要因は、人件費(子会社2社を含む人員増、ベースアップなど)が同110百万円増、のれん等償却費が同63百万円増、支払手数料が同27百万円増、一過性のM&A関連費用が同25百万円増などである。
この結果、営業利益率は23.4%と前期比3.2ポイント低下したものの、本業の実力値を示す調整後EBITAマージンは同1.8ポイント改善の32.0%と過去最高を更新した。成長投資を進めながら高い収益性を維持している点がポジティブであり、来期以降の利益成長余地は大きいと判断される。
2. 主要KPIの推移
(1) クライアント数及びユニークユーザー数
同社のクライアント数は、2024年12月期末が2,473社に対し、2025年12月期末は前期末比79社増の2,552社と積み上がった。また、1クライアント当たりの月額販売額は大型アップデートに伴う価格改定効果などにより、2024年12月期末が55,286円に対し、2025年12月期末は同9.6%増の60,598円と拡大した。
2025年12月期末のユニークユーザー数は579千人と前期末比6千人増、前四半期末比では13千人増となった。第2四半期、第3四半期は一部顧客における会社解散・統合・事業縮小、Microsoft 365への移管等の一過性要因による解約が重なったことで低調に推移したものの、第4四半期は自治体案件を含む複数の大規模案件の受注獲得によりユニークユーザー数は回復基調に転じた。
なお、2026年12月期からは数量に関するKPIとして、従来のクライアント数及びユニークユーザー数に代えて、ライセンス数を開示する方針である。ライセンス数とは、実際に利用しているユーザーの人数ではなく、各ユーザーが利用しているプロダクトごとの契約数を合算して算出する指標である。
(2) 解約率
解約率は既存クライアントの離脱状況を示すKPI指標である。同社は2025年12月期より、解約率をグロスとネットの双方で公表している。グロス解約率は、解約によって失われた売上高の割合を示し、サービスの安定性や顧客の継続率を測るうえで重視される。一方、ネット解約率は、解約による売上減少に加え、既存顧客からのアップセルやクロスセルによる売上増加も加味して算出されるため、既存顧客基盤の売上拡大余地を映し出す指標と言える。
2025年12月期の実績は、グロス解約率が前年同期比0.21ポイント低下の0.82%、ネット解約率が同0.01ポイント低下の0.67%となり、いずれも改善した。大型アップデートに伴い価格改定を実施したものの、解約率は安定的に推移している。なお、開示項目の適正化を検討した結果、2026年12月期より解約率はネット指標のみ開示する予定である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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