ロジザード Research Memo(5):2026年6月期中間期はクラウドサービスの堅調により、MRRは過去最高
1. 2026年6月期中間期の業績概要
2026年6月期中間期の業績は、売上高が前年同期比4.6%増の1,157百万円、営業利益が同33.4%減の174百万円、経常利益が同32.9%減の176百万円、中間純利益が同35.7%減の125百万円となった。売上高・営業利益・中間純利益はいずれもおおむね計画どおりに進捗しており、安定した成長を示した。
MRRは159百万円(前年同期比10.3%増)と過去最高の伸びを記録した。通期予算進捗率は第1四半期から42.5ポイント上昇し59.3%となった。これは出荷件数増加に伴う従量課金分の伸長に加え、中堅企業を中心としたBtoB企業での導入が堅調に拡大していることが主因である。
KPIに関しては、2026年6月期よりアカウント数の開示は行わず、クラウドサービス売上高及びMRRの推移を開示する方針に変更した。これは従来のBtoC案件とは異なり、BtoB案件は獲得スピードや単価水準が異なるため、アカウント数の増加とクラウドサービス売上高やMRRの増加が連動しなくなってきているためである。事業ポートフォリオの質的変化を踏まえた合理的な開示方針であり、成長の実態をより適切に示すものと弊社では考える。
チャーンレートは1%前後という低水準を維持しており、数少ない解約要因もプロダクトへの不満ではなく、荷主企業の物流体制変更に伴うものが中心である。同社のWMSは倉庫や3PL事業者に導入されるケースが多く、荷主企業が物流委託先を変更した場合には、その倉庫で利用されていたシステムも終了する構造にある。つまり、解約の主因は価格競争や機能不足といった競合要因ではなく、倉庫移転等の外部要因に起因するものが大半である。チャーンレートの低位推移は、プロダクト自体の強力な競争力を裏付けるものと評価できる。
また、同社システムからの出荷件数及び出荷点数も増加基調にある。2026年6月期中間期の出荷件数は53百万件(前年同期比12.9%増)、出荷点数は859百万点(同11.1%増)となった。季節性イベントに伴うEC注文増加に加え、新規受注に伴う稼働現場数の拡大が寄与した。出荷関連指標の増加は、従量課金モデルとの親和性が高く、MRR拡大を支える実需の裏付けとして重要である。ユーザー層の拡張と利用量増加が同時進行している点は、価格の引き上げに頼らない、実質的な事業拡大を示唆している。
サービス別の業績を見ると、主力であるクラウドサービスの売上高は、前年同期比8.5%増の921百万円、予算進捗率は48.3%となった。新規アカウントの獲得が好調に進捗したことが主因であり、着実なストック型収益の拡大が全体の業績をけん引した。粗利率は、新規人材投入により前期末に一時的に低下したが、投入人材の戦力化が進むことで回復した。人員計画については、採用プロセス及び手法を見直し、採用チャネルの情報整理と発信強化を進めたことに加え、応募から選考通過までのデータを可視化しチャネル別分析を行った結果、採用活動の効率化が進展し、目標達成への道筋ができた。今後はこの流れを維持しつつ、改善を重ねることで計画を上回る成果につなげることが課題である。開発・導入サービスの売上高は前年同期比6.4%減の192百万円、予算進捗率は41.6%となった。BtoB企業において意思決定の長期化によりプロジェクト開始時期に遅れが生じたことが影響している。また、既存顧客業界の成長鈍化により追加開発が限定的となった点も減収要因である。ただし、第2四半期に入り大型案件の要件定義が増加し始めており、案件形成は軌道に乗りつつある。今後はBtoB案件向け機能開発を促進し、この流れを定着・加速する方針である。機器販売サービスの売上高は前年同期比16.6%減の43百万円、予算進捗率は64.2%となった。前期に発生した大型案件機器販売の反動減により前年同期比では減収減益となった。
売上原価は前年同期比6.6%増加しており、積極的な人材獲得及びセキュリティ強化投資が継続していることが背景である。内訳を見ると、労務費は人材増強により同4.2%増加、外注費は同2.0%減とほぼ横ばいで推移している。サーバー費用はアカウント増加に伴う容量追加とセキュリティ強化投資により同29.5%増加し、その他原価はソフトウェア資産積み上げによる減価償却費増加等により7.0%増加した。
販管費は前年同期比29.2%増加した。内訳を見ると、人件費は人材増強及び体制整備により同45.4%増加した。支払手数料は採用費増加を背景に同48.2%増加し、広告宣伝費も販促活動及びIR強化により同24.2%増加した。研究開発費は新サービス開発により同403.6%増加しており、将来成長に向けた研究開発投資を積極化していることが読み取れる。これらの先行投資により営業利益は同33.4%減となったが、第1四半期同様、成長加速を見据えた戦略的投資の結果である。短期的な利益圧迫はあるものの、中期経営計画達成に向けた基盤整備の段階と位置付けられると弊社では考える。
全体として製品開発及び人材への積極投資を継続しながら成長加速を図っており、足元のMRR伸長は当該目標達成に向けた初期段階として順調な進捗と位置付けられる。ストック収益の積み上げと従量課金の拡張を組み合わせることで、収益の質と成長率の両立が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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