KaizenPF Research Memo(6):2026年12月期は増収、営業・経常増益で黒字化が定着する見通し
Kaizen Platform<4170>の2026年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.6%増の4,600百万円、営業利益が同37.0%増の40百万円、経常利益が同3.5%増の40百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同32.9%減の20百万円としている。法人税等の増加により親会社株主に帰属する当期純利益は大幅に減益となるが、プロフェッショナル・クラウドともに伸長し、生成AI活用の収益貢献本格化も寄与して増収、営業・経常増益を確保し、前期に達成した黒字化が定着する見通しだ。
重点施策としては、AIX(AIトランスフォーメーション)に関する一気通貫のコンサルティング体制を強化するとともに、成果報酬型プランの拡大による持続的な利益創出基盤の構築を掲げている。セミオーダー型のクラウドサービスは、導入初期に開発コストが先行するため、上期は利益水準がやや低下する可能性があるものの、プロジェクトの進展に伴い収益性が向上する。加えて、ARPUの向上が着実に進展していることなども勘案すれば、業績予想は十分に達成可能であると弊社では評価している。
■成長戦略
生成AI活用とクラウド収益拡大で収益性の高い事業構造を目指す
1. 生成AIソリューションの強化とドミナント戦略の推進
IT領域における投資は、基盤となるハードウェア投資が先行し、その後の時間の経過とともにユースケースを担うソフトウェアやサービス市場が本格的に立ち上がるという構造を辿るのが一般的である。同社はこの市場動向を背景として、生成AIを活用し顧客企業の課題を解決するAIインテグレーターとしての成長を明確に打ち出した。新たな成長戦略ではセミオーダー型UXアプリ群「Magical UX」を戦略コンセプトに据え、生成AIを活用したクラウドソリューションを強化する方針である。具体的には、フォーム入力支援AIエージェント「Kaizen Conversion Agent」、パーソナライズAIエージェント「Kaizen Personalize Agent」、さらに人材紹介サービス「Kaizen AIX Agent」などを相次いでリリースし、生成AIを活用したサービスラインナップの拡充を進めている。
さらに2026年1月にはAIXの実現に向けて子会社Kaizen AIX Consultingを設立した。AIXに向けた戦略策定支援及びAIXを具体的に動かす3つの実行支援(AI人材開発、AIオペレーション開発、AI商品開発)を伴走型で提供する。これに先駆けて2025年12月には、経営へのAI実装手順を網羅した「AIドリブン経営白書2026」を無償公開しており、専門性の高い知見を提示することで市場でのプレゼンス向上を図っている。
営業面においては、保険・不動産・人材業界の大企業に特化して、生成AIをカスタマージャーニーや業務フローに組み込むドミナント戦略を推進している。これらは顧客企業の収益に大きなインパクトを与えられる領域であり、AIのユースケースとして巨大な市場となることが想定される。このように生成AIを活用した機能開発を従量課金モデルで提供することにより、ストック性の高いクラウド収益の拡大を図る。クラウド収益の売上構成比を高めることで収益の安定性と限界利益率の改善を実現させ、より収益性の高い事業構造への転換を目指す。
2. 弊社の視点
同社は生成AIを活用した「Magical UX」や、パートナーネットワークを軸とした独自のビジネスモデルを展開しており、その市場競争力は高いと見られる。直近の業績推移を概観すると、2025年12月期は2020年12月期以来となる各段階利益での黒字化を達成しており、2026年12月期も黒字定着が見込まれる状況にある。これは同社が継続してきた大企業へのフォーカス及びクロスセルやアップセルによるARPU向上の追求が、着実な成果を上げていると弊社は捉えている。
現在は新たな成長戦略として生成AIを活用したソリューション提供を強化している。現時点での利益水準そのものは低いものの、構造的な業績低迷期を脱したと言える。今後は生成AIを活用したクラウド収益の成長という戦略がどの程度の速度で結実するかが焦点となるが、収益性の改善が継続すれば、新たな成長ステージへの移行が視野に入る。
■株主還元策
当面は内部留保の充実を優先
株主還元については、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の1つとして位置付けているが、創業して間もないことから、財務体質強化や事業拡大のための内部留保の充実等を図り、事業拡大のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えている。このため創業以来配当は実施しておらず、今後も当面の間は内部留保の充実を優先する方針である。将来的には、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針を掲げているものの、現時点において配当実施の可能性及び具体的な時期については未定としている。
■サステナビリティ経営
アクセシビリティ向上を支援し「誰一人取り残さないウェブ」の実現目指す
同社はサステナビリティ経営について現時点では特定のマテリアリティを公表していないものの、DX支援事業を通じてペーパーレス推進やCO2削減といった社会課題の解決に貢献する方針を掲げている。特に事業展開においては、昨今重要性を増しているアクセシビリティ(accessibility=利用しやすさ)向上推進を重視している。デジタル庁が掲げる「人に優しいデジタル社会の実現」やSDGsの流れを受け、これまで国や自治体のみに義務付けられていたWebサイトなどのアクセシビリティへの合理的配慮が、2021年6月の障害者差別解消法改正によって民間事業者でも義務化された。しかし、DX対応と同様に多くの企業にとってリソースの壁(ノウハウや人材の不足)が課題となっている。
これに対して同社は、2022年1月にアクセシビリティにおいて豊富なノウハウを持つ子会社ディーゼロとともに、専門エンジニアやWebサイト改善の専門家をグループ内に持つ強みを生かし、課題の抽出からレポートによる診断、必要に応じた課題の改修までトータルに支援するサービスの提供を開始した。2024年5月にはディーゼロが制作現場の底上げを目指して制作者のためのコーディングガイドラインを公開したほか、2025年1月には東証プライム市場の英文開示義務化に先駆けて、同社のUX・AI技術とディーゼロのIRサイト支援ノウハウを組み合わせたグローバル化を支援するパッケージの提供を開始した。同社は、Web制作に携わるすべての制作者が利用できる環境やツールを順次提供していくことで、「誰一人取り残さないウェブ」の実現を支援する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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