Zenken Research Memo(1):2026年6月期は一過性費用の剥落と海外人材の好調により大幅増益の見通し
Zenken<7371>は、WEBマーケティング事業を展開するマーケティングセグメントと海外のエンジニア人材や介護人材等を日本企業へ紹介する人材事業及び教育事業(語学研修・教育、留学斡旋など)を手掛ける海外人材セグメント、保有不動産の賃貸を行う不動産セグメントの3事業を展開している。マーケティングセグメントでは主に、BtoB企業を主要顧客とし、ニッチ市場に特化した専門メディアを通じて、企業の集客支援を行っている。延べ8,400以上のメディア制作・運用実績を有しており、クライアント企業の商品・サービスの特徴と合致するニーズを持つユーザーをマッチングさせる制作技術とノウハウを持つ。海外人材セグメントでは、深刻な人手不足に悩む日本企業に対してインドなどのエンジニア人材や特定技能を持つ介護人材等を正社員として紹介している。単なるマッチングにとどまらず、現地の有力大学との提携による母集団形成から現地での日本語教育、入社後の定着支援までを垂直統合モデルで提供している。同社の強みは、長年培った編集・コンテンツ制作力と教育ノウハウを掛け合わせ、社会構造の変化に伴う企業の課題を包括的に解決できる点にある。
1. 2026年6月期中間期の業績概要
2026年6月期中間期の業績は、売上高が前年同期比0.8%減の2,717百万円、営業利益が同34.6%増の201百万円となった。マーケティングセグメントの減収により全体ではわずかな減収となったが、海外人材セグメントの成長に加え、人件費増加の抑制や販促費の効率的な運用などが奏功し、利益面では期初予想を大幅に上回る増益を達成した。セグメント別では、マーケティングセグメントでは前下期以降の各種受注の減少等により減収減益となったものの、運用メディア数は同8件増の978件となり、顧客継続期間も向上するなど基盤は安定している。また、専門性の高いメディア資産は生成AIによる情報参照との親和性が高く、中長期的な競争力として期待される。海外人材セグメントはエンジニアや介護人材等の紹介数が拡大し、売上高が同12.5%増、セグメント利益は同23.2%増と好調に推移した。国内の人手不足を背景に需要は底堅く、同社の成長を下支えしている。全体として、既存事業の質的改善と新領域への投資が進んだ決算と言える。
2. 2026年6月期通期業績見通し
2026年6月期通期の業績は、売上高が前期比4.8%増の5,800百万円、営業利益が同29.4%増の500百万円と増収増益を見込む。本社移転に関連する一過性費用の解消に加え、海外人材セグメントの急成長が利益を押し上げる計画である。セグメント別では、マーケティングセグメントは新商品の投入や開発投資を優先しており、先行費用によりセグメント利益は同15.7%減となる見通しである。一方で、海外人材セグメントは売上高が前期比19.3%増、セグメント利益が同162.3%増と大幅な成長を予測している。エンジニア領域や介護分野での深刻な人手不足を背景に紹介数が拡大しており、収益性の向上も進んでいる。不動産セグメントも安定した賃料収入で収益を下支えする。マーケティングセグメントへの戦略投資を継続しつつ、海外人材セグメントを新たな成長ドライバーとして増益を確保する方針である。
3. 中長期の成長戦略
同社は2025年8月に中期経営計画「Road to 250」を公表し、2030年6月期に売上高130億円、営業利益30億円、親会社株主に帰属する当期純利益20億円を達成し、時価総額250億円の実現を目指す方針を掲げた。従来はマーケティングセグメントが収益の中心であったが、今後は海外人材セグメントを成長ドライバーに位置付け、より高付加価値でストック性の高い収益構造へ転換する戦略である。海外人材セグメントでは、エンジニア人材、特定技能人材を軸に紹介人数を拡大するとともに、日本語教育や生活支援、定着支援までを一体で提供する体制を強化する。紹介後支援の積み上げにより継続収益を拡大させ、収益の安定性と利益率の向上を図る設計である。マーケティング領域では、2つの成長戦略を推進する。第1に、専門分野に特化したニッチトップマーケティングを深化させ、集客支援にとどまらず営業実行支援まで関与領域を拡大する。第2に、人的資本マーケティングとして、職業ブランディングメディアや組織エンゲージメント向上支援などの新領域を立ち上げ、企業の採用力強化と人材定着支援に取り組む。生成AI普及など外部環境の変化を踏まえ、チャネルの多角化により顧客単価の上昇を目指す。加えて、不動産を活用した財務レバレッジ拡大と100億円規模のM&A投資を通じて加速度的な利益成長を図り、収益の質と資本効率を構造的に高めていく方針である。
■Key Points
・ニッチトップのWebマーケティング支援と海外人材紹介で世界と日本をつなぐ
・2026年6月期は前期の一過性費用の剥落及び海外人材セグメントの好調により増収増益の見通し
・2030年6月期には営業利益30億円の計画。海外人材セグメントを中心に利益拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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