CAP Research Memo(6):2027年9月期目標は売上高11,000百万円、営業利益1,000百万円
1. 中期経営計画の内容
キャピタル・アセット・プランニング<3965>は、2035年に目指す姿として、「金融サービスとアセットマネジメントのイノベーターになる」ことを掲げ、現在は2025年9月期〜2027年9月期の3ヶ年を対象とする中期経営計画を推進している。最終年度である2027年9月期には、売上高11,000百万円、営業利益1,000百万円、営業利益率9.0%、ROE13.0%の達成を目標としている。生命保険市場における変額個人年金保険需要を背景としたシステム開発受託が今後数年にわたり継続すると見込んでおり、同社の強みであるプラットフォーム提供とパッケージ展開の両輪を回すことによって成長を加速する。資本コストを上回るROE13%の実現を通じて、企業価値の最大化を目指している。
2. 5つの成長戦略(オーガニック成長)
中期経営計画では、オーガニックの成長戦略として「5つの成長戦略」を掲げている。同社は、金融システムソリューション分野におけるバリューチェーン(戦略設計、計算エンジン・ライブラリー提供、受託開発、プラットフォーム提供、ファミリーオフィスビジネス)全体への対応を志向し、事業領域の拡大を図る。国内の生命保険会社の半数以上と取引実績があり、30年以上にわたり蓄積してきたノウハウを基盤に、銀行・証券、会計事務所・FPなどへの顧客層の拡大を進めるとともに、DX、AI、クラウド技術などを活用した新たなサービス提供を強化していく。具体的には、(1) 顧客基盤の深耕・強化、(2) 事業ポートフォリオ改革、(3) ファミリーオフィスビジネスへの参入、(4) ストックビジネス向け新プラットフォームの開発、(5) 海外市場開拓の5つである。同社はバリューチェーン全体をカバーする体制を志向しつつ、2026年9月期においては、特に「戦略設計」「プラットフォーム提供」「ファミリーオフィスビジネス」の3領域に重点投資を行うことで、これら5つの戦略を推進する。
(1) 成長戦略1:顧客基盤深耕・強化施策
同社の主要クライアントである生命保険会社向けビジネスの維持・拡大を目的とした戦略であり、バリューチェーン上では、「戦略設計(企画・デザイン)」及び「受託開発(金融機関向けシステム開発)」に該当する。DXソリューションや生成AIを活用した顧客データ解析の高度化、業務効率化ニーズに対応する新サービスの提供を通じ、既存顧客へのクロスセルを拡大する。単なるシステム受託開発にとどまらず、戦略設計段階から深く関与し、相続税納税準備など今後拡大が見込まれる分野への提案活動も支援する。また、同社自身においても生成AIを活用し、開発効率の改善を図る。これらを通じて、主要顧客との長期的な戦略パートナー関係の確立を目指す。
(2) 成長戦略2:事業ポートフォリオ改革
生命保険会社向けに偏重してきた収益構造を見直し、銀行・証券・会計事務所などバランスの取れた事業ポートフォリオへの転換を進める戦略である。「受託開発」の対象顧客領域を拡大するとともに、より収益性の高い「プラットフォーム提供」型ビジネスへの転換を図る。銀行・証券向けビジネスはシステムの共通化が生命保険向けに比べ容易であり、また使用料課金が組み込まれたシステム開発が多いことから、生命保険向けよりも利益率が高い特徴を持つ。同社は2027年9月期までに銀行・証券・その他分野の売上比率を40%まで引き上げることを目標としている。ゴールベースプランニング再構築システムや投資信託提案システムなどの実績をベースに、顧客層拡大と全社利益率の改善を同時に進める。
(3) 成長戦略3:ファミリーオフィスビジネスへの参入
「大相続時代」の到来を見据え、富裕層向けのパーソナライズされたコンサルティングを提供する戦略であり、「戦略設計」から「ファミリーオフィス」までのバリューチェーンに全域に関連する。Wealth Engineを中心に、アセットマネジメントとタックスマネジメントを融合させたサービスを展開し、企業経営者や資産家を対象に、相続、事業承継・財産承継・資金運用対策の立案から実行までを支援する。将来的には、カスタマイズされたファンドラップ※の提供を目指し、2026年前半までに第2種金融商品取引業及び投資助言・代理業のライセンス取得を進めている。
※ 投資家から預かった資産を、金融機関や運用会社が一任で運用・管理するサービスのこと。
また、Trust Engineと連携し、金融機能をほかのサービスに組み込むEmbeded Finance(組み込み型金融)の拡大を図る。具体的には、アセットアロケーションに基づく投資信託自動選択システムなどを銀行・証券のサービスへの組み込みを目指している。研究開発面では、生成AIの活用とAIエージェントの開発を進め、社会実装を推進する。これらの先進テクノロジーにより、顧客の理解に合わせた説明文章の作成や文章のチェックの効率化を目指す。
(4) 成長戦略4:ストックビジネス向け新プラットフォーム開発
「ライブラリー提供」及び「プラットフォーム提供」を核とし、受託開発中心のビジネスモデルから、安定的かつ高利益率なストック型収益モデルへの転換を進めている。Trust Engineにおいて、CRMやゴールベースプランニングを統合した次世代型資産管理プラットフォームを開発し、生命保険会社、銀行・証券及び会計事務所・IFA向けに提供する。独自の「CAPライブラリ」などを基盤としたプラットフォームによる使用量課金モデルの売上比率を将来的に15%まで引き上げ、利益率の改善を図る。
(5) 成長戦略5:海外市場開拓
国内で蓄積した生命保険向けの「戦略設計」及び「受託開発」のノウハウを、東南アジア諸国(タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシア)へ水平展開する戦略である。経済発展とともに生命保険需要の拡大が期待される新市場において、業務提携先であるSoftBIのネットワークを活用し、受託開発を通じた市場参入と段階的なビジネス化を推進する。
3. M&A戦略(インオーガニック戦略)
同社は、オーガニック成長戦略に加え、M&Aを活用したインオーガニック成長も視野に入れている。M&Aを通じて競争力を強化し、持続的な成長を実現する方針である。将来の成長期待を明確に示すことで、PERの向上を意識した経営を行う考えである。ターゲットとしては、銀行・証券向けビジネスの拡大に直結するシステムやノウハウを持つ企業を想定している。この分野では、事業承継ニーズを持つ未上場企業もあり、既に具体的な交渉案件が存在している。これにより、中期経営計画で掲げる銀行・証券・その他分野の売上比率40%への引き上げ加速をねらう。成長投資の原資としては、内部留保に加え、デットファイナンスの活用も検討している。なお、M&Aによる成長は中期経営計画の数値目標には織り込んでおらず、実現した場合には上振れ要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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