CAP Research Memo(3):会計士・税理士などの専門家を多数抱え、30年超の開発実績あり
1. 事業構成とビジネスモデル
同社グループの事業は「システム開発事業」の単一セグメントである。2025年9月期のクライアント別売上高構成比は、生命保険が83.7%、銀行が10.2%、証券が4.1%であり、サービス別では、受託開発が売上高の94.1%を占め、使用許諾・保守が5.3%にとどまっている。
生命保険向けと銀行・証券向けではビジネスモデルが大きく異なる。生命保険向けビジネスは、エンジニアの工数に基づく受託開発が収益の柱である。各保険会社が約5年に1度更新する基幹プラットフォームの構築を受注すると、その後は新商品投入のたびに追加受注が発生する。各社は毎年3〜4程度の新商品を投入しており、追加のマーケティング活動を行うことなく、安定的な継続受注につながるケースが多い。
開発期間は、プラットフォーム構築の場合で約2年、新商品投入対応では3~6ヶ月程度である。売上計上は工事進行基準を採用している。
一方、銀行・証券向けビジネスでは、相続税評価や金融理論を実装したプロダクトを基盤としている。証券会社向けシステムの例では、IFA向けにCRM(顧客管理)から投資商品の注文機能、ポートフォリオ分析、提案書作成機能など幅広いフロント業務をカバーし、証券会社のバックオフィスシステムと連携する「発注サポートシステム」などを提供し、アカウント数に応じたライセンス料による使用料課金(ストック型)モデルを構築している。開発されたシステムやプロダクトは、顧客ごとに個別対応を行うのみで汎用的な営業展開が可能である。このため、開発効率が高く、収益性が高い点が特徴である。
具体的な実績として、メガバンクグループ向けには、資産管理プラットフォーム開発の受託をはじめ、確定拠出年金システムや非上場企業の事業承継を支援する自社株評価システムなどを提供している。また、地方銀行向けには静岡銀行や千葉銀行に総資産営業ツールや保険シミュレーション機能を提供している。そのほかの地銀とも導入に向けた協議を進めるなど、地域金融機関への展開を加速している。同社は、収益の安定化と成長を目的として、銀行・証券向けの売上比率を中期的に30〜40%まで引き上げる目標を掲げている。
2. 特徴と強み
(1) 金融機関での長年の開発実績
同社は金融業界において30年以上にわたりシステム開発を手掛けてきた実績を持ち、長年の取引を通じて金融機関からの信頼とノウハウを蓄積してきた。生命保険向けでは、国内41社のうち約30社で設計書・申込書・ライフプランニング関連システムなどの開発実績を持ち、現在も23社と取引を継続している。
特にソニー生命保険(株)とは、1995年以来約30年にわたり強固なパートナーシップを維持している。同社に対しては、単なるシステム開発にとどまらず、商品戦略や企画提案の段階から関与してきた。変額個人年金保険「SOVANI(ソバニ)」は、リリースから約2年で契約資産残高が1兆円を超えた。
生命保険業界では、ソニー生命が先進的な取り組みを行い、その後に他社が追随するケースが多い。同社は、ソニー生命との実績に基づいて、複数の生命保険会社から同種商品の設計書・申込書システムの開発を受託しており、実績が次の受注につながる好循環を生んでいる。
(2) 先進テクノロジーとナレッジの活用
同社は、フロントエンドからバックエンドまでを一貫して担う技術力を基盤に、クラウド、ビッグデータ分析、生成AIなど先進テクノロジーの活用を通じて金融機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援している。
その中核を支える独自技術が独自開発の計算エンジン「CAPライブラリ」である。同ライブラリは、現代ポートフォリオ理論などの金融工学に加え、相続税財産評価基本通達に基づく計算機能を備えている。これにより、ゴールベースプランニング、ライフプランニング、相続・財産承継シミュレーションなど、幅広い金融シミュレーションシステムの構築を可能にしている。
生成AIについては、プログラミングの効率化に加え、生命保険募集文書のチェック業務や、相続・財産承継における提案書の自動生成など、実務に直結する分野での活用を進めている。生成AIを活用した募集文書チェックサービス「LibelliS(リべリス)」は、同社のナレッジとAI技術を融合させた具体的なサービス例であり、複数の生命保険会社で導入検討が進んでいる。
また、API※を通じて計算エンジンやナレッジを提供することで、使用料課金型ビジネスへの展開を進めており、受託開発中心の収益モデルからの転換を図っている。
※ Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の略で、ソフトウェア同士が情報や機能をやり取りするための「共通ルール」のこと。
(3) 金融・税務・経営に関する資格取得者が豊富
同社の強みの1つは、IT人材に加え、金融・税務・経営分野に関する高度な専門資格を有する人材を多数抱えている点である。公認会計士5名、税理士4名、日本証券アナリスト協会検定会員7名、CFP(Certified Financial Planner)2名、AFP(Affiliated Financial Planner)4名など、多様な専門家を擁している。
日本の金融市場では、資産運用に加え、相続税をはじめとする複雑な制度・税制に対応したタックスマネジメントの観点が不可欠である。特に富裕層向けビジネスでは、運用と税務を一体で設計・管理する能力が求められる。同社は、こうした日本市場特有の要請を前提に、金融と税務の双方を理解した人材基盤を構築している点に優位性がある。
競合となりうる外資系企業の中にはアセットマネジメント領域で先行する企業も存在するが、日本市場では制度・税制への適合が実質的な参入障壁となっている。同社は、相続税財産評価基本通達に基づく評価ロジックをシステムに実装するなど、高い市場適合力を備えている。この専門人材による知見がプロダクト開発に直接反映されていることが、総合的な競争優位性の源泉となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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