AHCグループ Research Memo(1):福祉事業大手の一角。業務アプリ「AI支援さん」の販路拡大にも注目
AHCグループ<7083>は、「人を想う」をグループ共通理念として「社会福祉に特化した人生の総合サポート企業」を目指し、放課後等デイサービス、就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)、通所介護(デイサービス)など多岐にわたる福祉サービスを提供する。2024年に子会社に加わった(株)パパゲーノでは、ITやAIを活用して障害のある人が活躍できる環境を提供する就労継続支援B型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」を運営するとともに、福祉施設向けのAI支援記録アプリ「AI支援さん」の外販に勢いがついており、新たなビジネスモデルとして注目される。
1. 事業概要
同社が展開する事業は「福祉事業」「介護事業」「外食事業」の3セグメントである。最大の事業セグメントは福祉事業であり、首都圏中心に多様な事業所をドミナント展開している。放課後等デイサービス・児童発達支援では、知的障害・発達障害を抱える未就学児・小学生・中学生・高校生を対象に、「アプリ」「TODAY」「Aプラス」などを展開する。就労継続支援B型では、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者を対象に「TODAY」「ラシーヌけんこうソムリエファーム」「パパゲーノ Work & Recovery」のブランドで展開する。共同生活援助(グループホーム)では、障害のある人に対して、共同生活を営む住居を提供する。介護事業では、要介護認定者や要支援認定者を対象に、身体機能の維持・回復・改善を支援するデイサービス事業所を「クラス」「グリーンデイ」「あいである」等のブランドで展開する。外食事業では、東京都内で主業態「ねぎま三ぞう」などの居酒屋を運営する。
2. 2025年11月期の業績動向
2025年11月期の連結業績は、売上高が前期比6.1%増の6,660百万円、営業利益が同14.9%減の108百万円、経常利益が同17.8%減の127百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同99.0%減の1百万円と、増収も営業減益となった。売上高に関しては、主力の福祉事業において、2024年11月期から2025年11月期にかけて開設した事業所の順調な立ち上がりが増収に寄与した。新規事業所では、M&Aにより就労継続支援B型を1事業所取得したのに加え、福祉事業で計画を超える7事業所を開設した。また、外食事業で、メニュー改定による客単価の増加、食品の加工・物流事業で取引量が増加したことにより売上高が好調に推移した。営業利益に関しては、新規開設の事業所に係る費用や人件費などの影響により営業減益となった。セグメント別では、福祉事業が減益となったが介護事業と外食事業では収益が改善した。親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、構造改革に関連する減損損失63百万円(一過性、キャッシュの外部流出を伴わない費用)を計上したことなどにより大幅減となった。
3. 2026年11月期の業績見通し
2026年11月期の連結業績は、売上高が前期比8.7%増の7,242百万円、営業利益が同60.9%増の175百万円、経常利益が同30.1%増の165百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が92百万円(前期は1百万円の利益)と、6期連続の増収とともに各利益の増益を見込んでいる。福祉事業では、前期に引き続き「就労継続支援B型事業所」を中心とした施設型事業所の出店を強化する。加えて、障害福祉事業所の課題解決に向けたAI支援記録アプリ「AI支援さん」の拡販を行う計画である。福祉事業の売上高は前期比10.9%増の4,156百万円、セグメント利益は36.3%増の299百万円を見込む。介護事業では、前期に引き続き、レクリエーション等のイベントを開催することにより利用頻度を増やし、稼働を維持しつつ、効率化を進め収益改善を推し進める。介護事業の売上高は同1.2%増の1,581百万円、セグメント利益は27百万円(前期は1百万円の損失)を見込む。外食事業は、原材料価格の高騰への対策として、メニューや価格の見直しを行うとともに、新規店舗の出店、加工・物流事業の外部販売を強化し、拡大を図る。外食事業の売上高は、同11.6%増の1,504百万円、セグメント利益は同26.3%減の65百万円を見込む。
4. 成長戦略・トピック
同社は、中長期の経営戦略として「当面は主力の福祉事業に資源を集中投下する」を発表し、障害者の自立支援の場の拡充(就労継続支援B型、生活介護、共同生活援助を強化)やワンストップサービス体制の構築に取り組んでいる。最新の3か年計画(2026年11月期~2028年11月期)では、年約10%の売上成長とその前提となる積極的な出店(3年間で43店舗増)を計画する。また、持続的成長を支える戦略として、「人材の採用・教育」、「事業の拡大」と「DXの推進」の3つを掲げる。「人材の採用・教育」に関しては、継続して新卒、中途採用を多様なチャネル・手法を活用して強化することに加え、外国人人材の積極的な採用・育成に本格的に取り組む方針を明らかにした。特定技能外国人人材への自社支援サポートや外国人人材対象の社内研修も強化し、定着を促進する計画である。「事業の拡大」に関しては、福祉事業所の新規開設を加速する。特に注力する事業所タイプは、需要が高まる「就労継続支援B型」「共同生活援助(グループホーム)」などであり、2026年11月期には、「就労継続支援B型」3事業所、「共同生活援助(グループホーム)」2事業所を含めて福祉事業所を6施設新設する計画だ。また、外食事業内のセンターネットワーク(株)が取り組む食品加工・物流事業(2025年11月期の売上高で7.8億円相当)の需要が伸びており、積極拡大を促進する。「DXの推進」では、連結子会社パパゲーノが開発・販売するAI支援記録アプリ「AI支援さん」の販路開拓が前期に開始され、手応えをつかんでおり、今後の成長が期待される。
■Key Points
・福祉事業大手の一角で、多様な事業所をドミナント展開。首都圏を地盤に、福祉・介護・外食事業を展開し、ITやAIを活用した新業態の開設を強化
・2025年11月期は、5期連続増収(前期比6.1%増)。福祉事業の拠点数拡大を継続
・2026年11月期は、増収継続、営業利益60.9%増と収益回復の見通し
・外国人人材の積極活用へシフト。AI支援記録アプリ「AI支援さん」の販路を拡大
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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