TDSE Research Memo(4):コンサルティング事業の不振を主因に、中期経営計画を下方修正
1. 中期経営計画「MISSION2025」
TDSE<7046>は中長期目標(最終年度2029年3月期)において、コンサルティング事業による安定成長に加え、「プロダクト事業を第2の柱として確立させ、2029年3月期に売上高10億円以上を目指す」としており、その第1フェーズとして中期経営計画「MISSION2025(2024年3月期~2026年3月期)」を策定した。「MISSION2025」では、コンサルティング事業において従来の事業方針である案件の「大規模×長期化」によって持続的な成長を図り、そのため人的資本を拡充するとした。プロダクト事業では、人的資本の拡充と販売手法の確立を構築したうえで、コンサルティング事業の実績から様々な企業向けに展開できるテーマを抽出、そうしたテーマに沿った製品を自社他社問わずラインナップすることで企業へのアプローチを強化し、事業領域の裾野を広げていくこととした。
こうしたコンサルティング事業をメインとした方針により、同社は当初、2026年3月期に売上高33〜37億円(コンサルティング事業29億円、プロダクト事業4〜6.5億円、新機軸0〜1.5億円)、営業利益率10%以上を目標としていた。しかし、コンサルティング事業の低迷を主因に、その後下方修正を続けることになる。2026年3月期開始時点から、プロダクト事業から急成長中のAIエージェント事業を切り出し、3事業で31.6億円の売上高を作ったうえ、M&Aなどによる非連続成長を取り込むことになった。こうしたシナリオの変更によって、売上高は33〜37億円(コンサルティング事業26.1〜27億円、プロダクト事業4〜4.5億円、AIエージェント事業1.5〜2億円、M&A1〜3.5億円)と当初の目標を維持したが、営業利益は2.2億円へと下方修正した。2026年3月期中間期決算には、コンサルティング事業の低迷に加え、推進中のM&Aが成就せず、売上高を30億円(コンサルティング事業23.7億円、プロダクト事業4.1億円、AIエージェント事業2.2億円)、営業利益を2億円へと下方修正することになった。
コンサルティング事業の改革が課題
2. 経営課題
中期経営計画「MISSION2025」を修正する過程で、いくつかの重要な論点が浮き彫りになった。1つは、成果が伸び悩むコンサルティング事業の営業強化のため、経営資源を重点配分し続けた点である。さらに市場からはやや唐突に映ったM&A戦略についても課題が残ったと見られる。本中期経営計画の開始時点では前提としていなかった施策であり、成長鈍化するコンサルティング事業の売上を補填する狙いも理解できるが、リスクマネジメントや実効性の観点では高い確度を持たせるには至らなかったと見える。さらに目標達成に向けてコンサル事業の営業強化に取り組んだものの、組織全体の実行力向上につながる構造的な改革には至らなかった点も課題と見られる。これは、生成AIの定着によって分析から価値創造へとデータに対する顧客ニーズが変化し、故にプロダクト事業やAIエージェント事業が伸びるなか、生成AIの時代に合わせた組織改革への対応が遅れたことに要因があったと経営層より説明がなされた通りと思われる。つまり、顧客企業が求めるAIプロジェクトの目的が変化している現状を踏まえると、同社においても対応体制の再構築が課題として浮かび上がる。具体的には、従来データ分析を中心に担ってきたデータサイエンティストの役割が変わり、分析にとどまらず価値創出まで踏み込める生成AI領域へ経営資源をシフトしていくことが求められる。また、営業面でも、これまでの技術営業主体のスタイルから、経営トップ層主導による事業横断型の提案体制へとバージョンアップしていくことが重要と見られる。今回のM&A案件については、デューデリジェンス結果を踏まえ中止を判断したことは、将来的な損失発生リスクを抑制したという点で妥当だったと見られる。一方でプロセス進行に伴い一定規模の関連費用が計上され、これが上半期決算における利益率低下の一因となった点は否めない。また、オファー提示段階での初期判断の厳格さ、事前のROI設定、資本効率(ROE)を意識した投資基準、リスクシナリオの精度など、投資判断プロセス全体には改善の余地があったと考えられ、これら経営管理やガバナンスの成熟度を測る指標でもあり、今後は改善できるものと弊社では見ている。今後、案件初期のステージゲート運用や外部専門家の早期活用などを通じて、意思決定プロセスの再構築が進むかが注視される。
したがって次期中期経営計画では、成長を続けるAI市場という構造的な追い風のなかで優位なポジションを生かせない現状を踏まえたうえで、戦略の見直しと組織改編が重要テーマとなろう。これにより、営業など組織体制を全社的かつ抜本的に改善し、成長著しいプロダクト事業やAIエージェント事業へ人材など経営資源の集中を進めていくかどうかに注目したい。そのうえで、企業としての信頼と市場からの評価を高め、最低限のマイルストーンとして、上場10年を迎える2028年にグロース市場の維持基準である時価総額40億円以上の達成を目指すべきと考える。次期経営計画により、同社の持つポテンシャルを十分に発揮することで持続的に成長し、企業価値を向上させていくことを期待したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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