メタリアル Research Memo(6):4つの戦略を通じ、2028年2月期に売上高13,400百万円を目指す
1. 短中期戦略
(1) 概要
メタリアル<6182>は今後の短中期的な基本方針として、従来の専門分野別SaaSから「業種分野特化の垂直統合型エージェントAI」への業態転換を推進している。対話型で高い自律性と価値創出を備えたエージェントAIを提供することで、顧客業務の抜本的な効率化と価値創出を目指す。
2028年2月期の連結売上高目標は13,400百万円としており、その達成に向けてオーガニック成長に加え、M&Aによるインオーガニック成長を重要な戦略要素と位置付けている。売上目標の内訳は、AI事業が5,500百万円、HT事業が700百万円、メタバース事業が800百万円、AI/MV Marketing事業4,000百万円としており、M&Aによる上積み2,400百万円を想定している。
特定業種への特化を原則とし、高付加価値かつ高収益が見込める事業展開を進める方針である。生成AI市場は中長期的な成長余地が大きいと判断しており、人材やマーケティングへの積極投資を継続する。これにより、既存顧客の深耕と新規案件の獲得を両立させ、持続的な成長を目指す。
(2) 成長戦略 4つの短中期戦略
第1の重点領域は「人手の修正が不要な翻訳AI」である。1~3年以内の「完全自動翻訳の実現」を掲げ、翻訳単体ツールから文書作成全体をAIで完結させる技術開発を進めている。産業翻訳の生産性を抜本的に向上させることを狙う。2025年12月4日には、同社の子会社ロゼッタにて新ビジョン「人手の修正が不要な翻訳AIを創る」を発表、同月中に生成AIを活用した新機能のリリースを5件発表し、その後も新ビジョンの実現に向けた開発ペースが加速している。ロゼッタが20年にわたり挑み続けてきた翻訳イノベーションの集大成として、「翻訳業務の完全自動化」「言語的ハンディキャップからの解放」という産業翻訳の生産性を革新する次なるステージの実現を目指している。
第2の領域は、製薬特化垂直統合エージェントAIの「ラクヤクAI」である。製薬業界におけるドキュメント作成の非効率の解消を目指す同事業は、治験関連文書の作成時間と工数を大幅に削減することで、新薬上市の早期化に貢献する。同事業の戦略は、製薬文書作成にターゲットを集中させた「特化型AI」である点が特徴である。汎用AI市場との低価格競争のレッドーオーシャンから脱却し、専門性が求められる領域にリソースを集中させ高付加価値事業としての成長を目指すブルーオーシャン戦略を採用している。小野薬品工業<4528>や国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究などを通じ、信頼性と正確性を高め、2025年8月には製薬業界グローバル大手企業(社名非開示)での採用も決定し、国内外の製薬関連企業との取引が順調に拡大中である。2028年2月期に売上1,000百万円、2029年2月期に2,000百万円、2030年2月期に4,000百万円を目指す成長ドライバーとして位置付けている。
第3の領域は「建築特化垂直統合エージェントAI」である。2024年12月に連結子会社化したSTUDIO55の顧客基盤にメタリアルグループの強みであるAI・メタバース技術を融合し、最先端の高速スキャン・デジタルツイン生成技術であるGaussian Splatting技術を活用した設計・施工プロセスの高度化を進めている。実際の案件では、リフォームの現場調査時間の短縮や図面自動生成、VR活用による住宅販売におけるDX推進などを通じて、建築・不動産・住宅業界におけるAI化・DX化を通じた生産性向上と売上拡大に寄与している。2026年2月期第3四半期にはSTUDIO55が連結子会社化後1年以内での四半期黒字化を達成しており、今後は成長フェーズに移行する。
第4の領域は「事業創出全自動AI」である。事業立ち上げから販売までの全工程を自律的に実行するAIの開発を進めている。これにより、人のキャパシティに依存しない事業成長モデルを構築し、多言語でのグローバル展開も含めた高速な事業創出を支援する。
2. 長期展望
同社は10年以上の長期視点において、「AI×メタバース」の融合により、売上高1,000億円規模の事業創出を目指している。実生活や実写を起点とする「リアリティ・メタバース」を中核に、AIによる3D空間生成の自動化を競争力の源泉とし、労働集約的な事業モデルからの転換を図る方針である。
中期売上目標の達成に向けては、短中期戦略と連動したM&Aを最重点施策と位置付けている。顧客基盤や専門性を有する企業を対象に案件検討を進めており、現在は230件超の案件を精査しつつ、複数社にLOI(意向表明書)を提出し、厳選した協議を進めている。
メタバース市場については、現在は「幻滅期」にあると認識しているものの、技術の実用化進展を経て、中長期的には建設、不動産、製造業など産業分野を中心に普及が進むと見込んでいる。同社は、AIによる3D空間自動生成技術を核としたリアリティ・メタバースを通じ、幅広い産業向けソリューションの展開を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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