1stコーポ Research Memo(2):分譲マンションを中心とした「造注方式」が強みのゼネコン
1. 事業内容
ファーストコーポレーション<1430>は2011年6月に創業された、分譲マンション建設を中心としたゼネコンである。社是として「より良質な住宅を供給し、人々の豊かな住環境に貢献する」を掲げ、「安全・安心・堅実」をモットーに良質で安価な住宅を供給してきた。最大の特長は、自社で事業用地を確保し、デベロッパーへ建築プランを提案する「造注方式」という独自の事業モデルにある。受動的な受注にとどまらない主体的な営業展開を可能とし、競争力の源泉となっている。また、ウェルビーイングシティ構想に基づく自社ブランドマンション「CANVAS」を展開するほか、今後は賃貸マンションや非住宅分野(ホテル・商業施設等)への領域拡大にも注力する方針である。
同社の報告セグメントは「建設事業(完成工事高)」と「不動産事業(不動産売上高・共同事業収入)」の2つで構成される。後者はさらに、主にマンション用地を販売する不動産売上高と、デベロッパーとの共同開発による共同事業収入に大別される。
過去5期の事業分類別売上高推移を見ると、建設事業の完成工事高は2021年5月期の14,952百万円から2025年5月期には22,641百万円へと、おおむね右肩上がりで着実に増加している。一方、不動産事業の不動産売上高と共同事業収入は販売のタイミングや物件の規模により変動が大きい。2022年5月期に一時13,000百万円を超える水準(不動産売上高)となったものの、2024年5月期には合計で6,000百万円台まで落ち着くなど、年度ごとの振れ幅が目立つ。総じて、不動産事業の売上は期によって変動がある一方、主力である完成工事高は堅調に推移しており、同社の安定した収益基盤を支えている。
2. 沿革
同社は、2011年6月に資本金40百万円で創業し、わずか3年9ヶ月後の2015年3月に東証マザーズに上場した。2016年12月には東証1部に指定替えとなり、東証再編に伴い東証プライム市場を経て、2023年10月に東証スタンダード市場へ移行した。
3. 市場環境
主要事業エリアは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の1都3県である。全国的に人口減少が進むなかでも、これらの首都圏エリアは人口が増加し、いずれも転入超過となっている※。また、同社によると、マンション販売価格は都区部を中心に高騰しているものの、住宅購入意欲は依然底堅いという。したがって、今後も首都圏におけるマンション需要は堅調に推移することが見込まれる。
※ 出所:総務省統計局公表の「住民基本台帳人口移動報告」。
国土交通省の建築着工統計調査報告によると、2015年以降の首都圏(1都3県)のマンション建設の着工戸数は、2017年の64,755戸をピークとして、右肩下がりの傾向にある。ただし、コロナ禍で経済・社会活動が停滞した2021年の49,962戸をボトムとして、その後は50千戸台に回復している。2024年は50,990戸(前年比3.3%減)で、2025年は40,305戸(前年比20.9%減)と、近年では最も低い水準に落ち込んでいる。
また、(株)不動産経済研究所の発表資料によると、首都圏の分譲マンション供給戸数は10年以上減少傾向となっており、2025年は21,962戸(前年比4.5%減)となった。2026年は23,000戸※と予想されている。一方、首都圏の分譲マンションの平均価格は、2015年以降5,000万円台から6,000万円台へと緩やかな上昇が続いていたが、2023年に8,101万円(前年比28.8%増)へと2,000万円近く急激に上昇した。2024年は7,820万円(前年比3.5%減)に下落したものの、2025年は9,182万円(前年比17.4%増)へと大きく上昇している。特に、東京23区では、2023年に11,483万円と1億円を突破し、2024年は11,181万円、2025年は13,613万円と一段と上昇した。資材価格が高止まりし、労務費が上昇している環境を踏まえると、分譲マンション販売価格は今後もさらに上昇していく見通しである。ただし、同社が主なターゲットとする郊外の物件については、立地などによって差が出ているものの、都心部に比べると価格上昇は緩やかである。
※ (株)不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年のまとめ」に記載の予想値。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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