メディアドゥ:ダブルバガー候補、国内の圧倒的ポジションを軸に日本のコンテンツを世界へ
<事業概要>
メディアドゥは、電子書籍取次として国内最大手。国内ほぼ全ての電子書籍を取り扱う出版社(2,200社)および電子書店(150社)と取引があり、流通総額は1,820億円とAmazonに次ぐ世界第2位。米国子会社における海外出版業界とのネットワークを活かした包括的な海外展開サポートにも注力し、世界中に日本のコンテンツを届けることにも成長の主眼を置く。日本出版社の海外展開を阻む「翻訳コスト」と「流通網不足」の解決に向け、メディアドゥは一気通貫の支援体制の構築を目指す。 具体的には、翻訳家の業務を劇的に効率化する自社システム「MDTS」の開発を進めるとともに、米国子会社を通じて、紙書籍が主流である海外現地書店の売り場・流通網を確保。翻訳から出口戦略までを統合的にプロデュースすることで、日本の“本”を世界に届けるゲートウェイとして、代替不可能なポジションを築く方針だ。
電子書籍取次は、物理的な配送網を不要とする一方で、絶版の概念がないことやキャンペーン展開の多様化により、運用の難易度が高まっている。これを背景に電子書籍取次の介在価値は向上しており、市場拡大の恩恵を受けやすい優位なポジションにある。
メディアドゥでは電子書籍流通事業と戦略投資事業を展開。電子書籍流通事業は電子書籍取次を手がけており、2025年2月期の売上高に占める割合は9割強となっている。戦略投資事業では同社および子会社(日本文芸社やフライヤー等)で国際事業、IP・ソリューション事業、SC(Sustainability Creation)事業を手がけており、売上高に占める割合は1割弱。
<2025年2月期の概要>
2025年2月期は売上高で前期比8.4%増の101,914百万円、営業利益で同19.8%増の2,475百万円となった。電子書籍流通事業が好調に推移し、LINEマンガ移管後で売上高は過去最高を記録している。営業利益もLINEマンガ移管後で過去最高となった。LINEマンガは大口取引先であったが、ヤフーとLINEの統合でグループ内仕入への切替があり、移管が実施された2023年2月期から2024年2月期にかけての減収要因になっていた。主力の電子書籍流通事業は売上高で93,767百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益で4,971百万円(前年同期比1.2%増)となった。2024年2月に獲得した新規商流及び既存商流の売上高が好調に推移する等、再び成長基調に回帰している。エンジニア人件費の資産振替額が一時的に減少した影響等により、売上高に比べた営業利益の増加率は低い。投資戦略事業は売上高で7,697百万円(前年同期比3.5%増)、セグメント損失で994百万円(前年同期はセグメント損失1,291百万円)となった。適正水準での投資額にコントロールできていることに加え、IP・ソリューション事業が損益改善に寄与している。フライヤーは通期で黒字化し、日本文芸社の営業利益も改善基調にあるなど、総じて改善傾向となった。
<2026年2月期の見通し、足元の業績>
2026年2月期は売上高で前期比4.0%増の106,000百万円、営業利益で同9.9%増の2,720百万円が見込まれている。電子書籍流通事業のシェア拡大、戦略投資事業の各事業進捗による損益の改善、および事業ポートフォリオ見直しにより、引き続き増収増益を見込む。特に売上高と当期純利益、EBITDAは過去最高となる見込みだ。電子書籍流通事業は売上高増加の一方、利益率の高いサービスが終了見込みとなる影響等により、一時的に減益となる見込みだが、戦略投資事業の損益改善が進むことで増益見込みとなる。1月14日に発表された第3四半期決算(累計)は、売上高で前年同期比6.7%増の80,508百万円、営業利益で同12.9%増の1,908百万円と順調。電子書籍流通事業において既存商流の成長率が引き続き順調に推移したことに加え、2025年7月に取引開始した新規商流(めちゃコミック)も順調。戦略投資事業においても各事業の損益改善が前年同期比で進捗したことが寄与し、通期業績予想に対して順調とみられる。
<中期経営計画、株主還元>
2030年2月期を最終年度とする中期経営計画は、売上高で125,000百万円、営業利益で4,000百万円が目標となる。電子書籍流通事業の安定成長を基盤に、早期に戦略投資事業の黒字化を実現させる。また、中計数値はオーガニック成長に基づく目標値であり、国際事業における海外展開支援の強化やM&Aによる成長は計画値に織り込んでおらず、更なる成長要素として推進する方針。飛躍的な成長実現に向けたコミットメントとして、常勤取締役・執行役員に対して業績連動型有償ストックオプションも設定されている。
株主還元は、配当と自己株取得を合わせた総還元性向を30%以上と定めている。2026年2月期の1株あたり配当は40円と過去最高となり、配当利回りで2.43%となっている。還元性向30%は配当に全て充当され、2024年から足もとまでの配当額は結果として累進的な推移となっている。今後も株価動向を伺いながら機動的な自己株式取得を実施するほか、段階的な還元率引き上げを検討している。
<NH>
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