品川リフラ Research Memo(4):海外事業を成長の柱とし、M&Aと拠点拡大でグローバル展開加速
3. 海外事業の詳細
(1) 海外売上高比率
同社は、世界の鉄鋼需要が新興国の経済成長にけん引され今後の拡大を見込む一方、日本では経済潜在成長力の低下により、鉄鋼製品需要は縮小に向かうと認識している。このため、同社は海外事業を成長の柱と位置付け、M&Aを通じて業容を拡大している。原材料を主に海外に依存するため、円安は利益のマイナス要因であったが、海外事業の拡大により影響は解消されつつある。「ビジョン2030」では、現地で製造・販売する「世界の総合耐火物メーカー」を目指し、海外売上高比率50%を目標に掲げている。2025年3月期よりスタートした第6次中期経営計画においては、2027年3月期の海外売上高比率45%を目標に設定した。海外売上高は2025年3月期までの5年間で約2.7倍になり、海外売上高比率は2021年3月期の16.1%から30.0%へ上昇した。2026年3月期には海外売上高は約4.7倍に、海外売上高比率は43.0%まで上昇する見込みだ。
(2) 海外拠点展開
同社の耐火物セクターにおける海外拠点の展開は、1997年の中国子会社の設立を皮切りに、本格化した。2019年までにオーストラリア、米国、インドネシア、インドへ進出し、各地域で耐火物やモールドパウダーの製造・販売拠点を設けている。断熱材セクターは中国、台湾、マレーシア、ドイツに製造・販売拠点を設けている。2022年12月に、仏サンゴバンからブラジルにおける耐火物事業及び米国における耐摩耗性セラミックス事業を譲受した。ブラジルの耐火物事業をSRBが、米国のセラミックス事業をSSCAが譲受した。これにより同社グループは、ブラジル耐火物市場においてリーディング・ポジションを獲得し、米国ではファインセラミックス事業において、米国市場へのアクセスを獲得した。これらの買収は、同社グループのさらなる成長を支える基盤となった。
2024年4月には、インドネシアにおいて現地PT. Refratech MandalaPerkasa(以下、RMP)と共同出資によりSRPを設立し、同年7月より事業を開始した。2014年よりインドネシアで展開してきた既存事業とRMPが手掛けてきた汎用品を中心とした不定形耐火物事業を統合した。製品のラインナップの充実を図り、インドネシア市場及びアセアン地域での事業拡大を目指している。
2024年10月には、オランダの耐火物メーカーGoudaを100%子会社とした。Goudaは、定形・不定形耐火物などの製造・販売から、設計・施工・メンテナンスサービスまでワンストップの一貫体制で事業展開する。2023年12月期の売上高は170.7億円、営業利益は18.4億円(株式取得日2024年10月24日の為替レート164.699円/ユーロで換算)で、投資額は237億円となった。Goudaは欧州に生産・サービス拠点を持ち、中東・アフリカ・東南アジアに幅広く事業を展開している。特に非鉄金属、石油化学、エネルギーなどの分野で強固な顧客基盤と安定した収益基盤を持つ。また、新製鉄法への対応などカーボンニュートラルに向けた耐火物の開発を強化しており、今後成長が見込まれる市場をリードするポジションにいる。
2025年5月には、ブラジルのエンジニアリング会社Reframaxの発行済株式の60%を取得し、連結子会社化した。2024年12月期の売上高は235億円、営業利益は26億円(為替レート25.6円/ブラジルレアルで換算)で、投資額は153億円となった。Reframaxはブラジルを中心にアルゼンチン、チリ、ペルーなど7ヶ国に21拠点を展開し、北米にも進出している。また、耐火物工事に加え、電気・機械工事、土木工事、断熱工事など多岐にわたる関連サービスを提供している。顧客は鉄鋼、鉱業、化学・石油化学、ニッケル、パルプ・製紙、アルミ、セメントなど多様な業界に及ぶ。ブラジルにある既存の耐火物セクター拠点であるSRBや断熱材事業を担うイソライト工業グループとの連携を通じて、耐火物・断熱材の製品供給から施工までの一貫サービス体制を構築し、耐火物・断熱材及びエンジニアリングセクターにおける販売・技術面でのシナジーをねらう。エンジニアリングセクター全体では、人材・技術連携による施工能力向上と、Goudaを加えたグローバル施工体制の構築を進める。
■業績動向
2026年3月期中間期は海外2社が貢献し売上高及びEBITDAが大幅増加
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高81,843百万円(前年同期比20.0%増)、EBITDA10,176百万円(同24.2%増)、営業利益6,175百万円(同2.5%減)、経常利益6,908百万円(同3.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益4,343百万円(同11.6%減)となった。売上高は大幅に増加し期初予想を843百万円上回った。セクター別で見ると、Gouda及びReframaxの業績寄与により耐火物セクター、エンジニアリングセクターの売上高が、それぞれ前年同期比16.7%増、同57.5%増と順調に推移した。半導体製造装置向けなど成長分野への拡販に注力する断熱材セクター及び先端機材セクターの売上高は需要環境が厳しく、それぞれ同6.8%減、同9.8%減となった。
地域別で見ると、国内売上高は耐火物セクターでのスポット案件の受注もあり前年同期比3.5%増の50,259百万円となった。アジア・オセアニアは同5.3%増の9,160百万円、北米は同20.9%増の4,725百万円と堅調な推移を見せた。一方、欧州・中東・アフリカがGoudaの業績寄与により同382.8%増の7,372百万円と伸長するとともに、南米もReframaxの業績寄与により同86.6%増の10,324百万円と伸長している。海外売上高は同60.6%増の31,583百万円、海外売上高比率は38.6%と同9.8ポイント上昇した。
EBITDAは期初予想を676百万円上回り、EBITDAマージンも12.4%と同0.4ポイント改善した。営業利益は、2社の買収などで減価償却費が1,632百万円、のれん償却額が515百万円増加し減益となったものの、期初予想を1,175百万円上回った。経常利益は、為替相場が対ユーロ、対ブラジルレアルで円高に推移したため、外貨建て債権債務の評価替えで為替差益を651百万円計上するなど増益となり、期初予想を1,908百万円上回った。親会社株主に帰属する中間純利益は、固定資産売却益の剥落で減益となるも、期初予想は1,343百万円上回った。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本 章弘)
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