キャスター Research Memo(2):フルリモートワークと独自システムによる人材プラットフォームを展開(1)
同社は、「リモートワークを当たり前にする」というミッション※の下、人手不足に悩む中小企業とリモートワーカーをつなぐプラットフォームを軸とする人材サービスを提供している。同社が契約するリモートワーカーと創業以来独自に培ってきたシステム環境や組織運営のノウハウを最大限活用することにより、従来の人と業務単位でのマッチングではなく、より細やかなタスク単位(小ロット)でのマッチングを実現した。SaaSのような使い勝手の良い月額定額でのサービスは、主に中小企業での利用が進み高成長を続けてきた。小ロットながら、顧客の通常業務運営に取り込まれる継続サービスが中心となるため、小ロットで単発サービスを提供するマッチング型クラウドソーシングや、大ロットで顧客の業務プロセスの一部を請け負うBPOとは一線を画した特異なポジションを確立し、新たな市場を開拓している。
※ 現在はリモートワークが社会に浸透してきたことから、「AI FIRST」を戦略の中心に据え、これからの働き方を変えていくことを目的とする「創り変える。働くの全てを。」にミッションを変更した(2025年10月公表)。
累計利用社数はスタートアップ及び中小企業を中心にのべ5,800社(80%以上が従業員数300名以下)を超え、直近の稼働社数は1,300社を超える。一方、従業員は高い採用力を背景に約800名おり、2014年の創業以来、フルリモートワークによる組織運営を実践してきた。
事業セグメントは、顧客企業とリモートワーカーをつなぐプラットフォームを運営する「BPaaS事業」※1のほか、リモート派遣サービスや求人サイト、新規事業(EC-Consulting)、連結子会社3社(EC企業向け業務効率化ツールやシステム開発関連など)による「その他事業」の2つに分類されるが、主力の「BPaaS事業」が売上高全体の約80%を占める※2。
※1 BPaaSとは、Business Process as a Serviceの略称。企業が特定の業務プロセスを外部の専門企業に委託し、クラウドサービスを活用して業務効率化やDX推進を促すサービスである。
※2 2026年8月期より、セグメント区分を「BPaaS事業」「HR事業」「AI Tech事業」の3つに再編した(詳細は後述)。
1. 各事業の概要
(1) BPaaS事業
顧客企業の希望に応じて、適切なスキルを持つ人的リソースを、独自システムを用いて効率的に自動マッチングし、必要な時間だけ提供する新形態のサービスである。1) 「CASTER BIZシリーズ」と2) 「My Assistant」に分けられる。
1) 「CASTER BIZシリーズ」は、秘書、経理、人事、採用、カスタマーサポートなどバックオフィス業務代行を中心としたサービスであり、それぞれ独立したブランドで展開している。顧客企業と時間単位※1で契約した仕事を、全国に所在する同社のリモートワーカー※2が代行して役務提供を行う。顧客企業はディレクターに対して仕事の依頼を行うだけで良く、工数の大きい作業者への指示や品質確認についてもすべてディレクターに任せ、納品を待つだけといった点が最大の特徴である。ディレクターは顧客企業から依頼された仕事の工程を整理し、タスクとして細分化したうえで、作業に適したキャスト(作業者)をアサインして一斉に振り分け、それぞれ完了した成果物を一式として検品し、顧客企業へ納品する。キャストのアサインにおいては自社で開発したシステムを活用しており、キャストのスキル、過去の仕事への対応など、膨大なデータを蓄積し、独自のアルゴリズムを用いて、顧客企業からの依頼に適したキャストを自動検出する。顧客企業からの仕事の依頼は幅広いものの、フロントによる仕事の細分化、自社システムによる自動マッチングによって高効率なオペレーションを確立することで、時間・成果物のクオリティの担保を実現している。
※1 創業時から提供している「CASTER BIZ assistant」では、6ヶ月契約と12ヶ月契約の2プランがあり、それぞれ月30時間の利用が可能となっている。2024年11月には、月10時間、少量業務から利用できる「STARTER」プランを追加した。
※2 同社が雇用・契約し、顧客企業に対して各種のサービス提供するリモートワーカーを指す。役割により、ディレクターとキャスト(作業者)に分かれる。
2) 「My Assistant」は、既存サービスである「CASTER BIZ assistant」をさらにマイクロロット化し、最低契約時間を短くすることで販売価格を安価(月2.5万円~)に設定したサービスである※。独自システムの活用と専属チームのサポートにより、円滑な事業運営を実現し、セルフサーブ機能の追加により工数を最大限減らしているところに特徴がある。主な依頼業務は、軽微なルーティン業務や文字起こし、情報調査等である。
※ 「CASTER BIZ assistant」の最低契約時間である30時間/月を10時間/月まで短縮。
3) 2025年3月にBPaaS×AIによるAIエージェント制作代行サービス「CASTER NEO」の提供を開始すると、2025年8月にはサービスの精度や運用定着を高めるため、ヒト(専任ディレクター)とAIエージェント※が連携し、AIワークフローの設計から運用・改善までをトータルで支援する「NEO assistant」(サービス名も変更)へ再設計した。
※ AIエージェントとは、ユーザーに代わり目標達成のために、自律的に計画を立て、実行、そして環境に適応しながら行動するAIシステムである。
(2) その他事業
「在宅派遣」(リモート派遣サービス)、「Reworker」(リモートワーク特化の求人サイト)を展開するほか、新規事業の開発も含まれている。また、2024年6月に連結化したグラムス(株)が手掛けるEC企業向け業務効率化ツールの開発及び提供、2024年9月に設立した完全子会社(株)キャスターテックジャパン※によるAIエージェント関連、ならびに2025年4月にベトナムで設立したCASTER TECH VIETNAM CO., LTD.(完全子会社)によるシステム開発も新たに追加された。なお、「在宅派遣」「Reworker」については、ワーカーを直接マネジメントしたい顧客企業に向けて、各地に所在するリモートワーカーを派遣・紹介し、時間的・物理的制約を取り払った幅広い選択肢を提供している。リモートワークを希望する求職者に対しても、リモート勤務可能な求人に限定して提案することで、求職者のライフスタイルに合った働き方の実現に貢献している。
※ (株)LUVOより社名変更
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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