イージェイHD Research Memo(2):総合建設コンサルタントの大手で、M&Aにより事業エリア・領域拡大
1. 会社沿革
E・Jホールディングス<2153>は2007年に、建設コンサルタント事業を主業務としていた(株)エイトコンサルタントと日本技術開発(株)が共同株式移転によって設立した持株会社である。その後は、2008年にエイトコンサルタントの計測機器レンタル事業を吸収分割により日本インフラマネジメント(株)に承継し、2009年には日本技術開発の建設コンサルタント事業等をエイトコンサルタントに承継している。承継の際に、エイトコンサルタントは社名をエイト日本技術開発に、日本技術開発は(株)EJビジネス・パートナーズにそれぞれ変更した(2015年にエイト日本技術開発がEJビジネス・パートナーズを吸収合併)。
2010年には株式交換にて、橋梁・構造物、都市ライフラインに特化した建設コンサルタント事業を行う(株)近代設計を子会社化し、2017年には北海道での事業拡大を目的に(株)北海道近代設計を新設分割により設立した。また、海外展開としてエイト日本技術開発が2014年にタイのバンコクに駐在事務所を開設し、2020年にはEJEC (Thailand) Co., Ltd.として現地法人化した。
2019年以降はM&Aを積極的に推進し、事業エリアや領域の拡大を図っている。同年に岡山県内で建設コンサルタント事業を行う(株)アークコンサルタント、九州エリアで発注者支援業務やインフラ管理業務を行う(株)アイ・デベロップ・コンサルタンツ、兵庫県内を中心に建築に関する企画・計画・設計や耐震診断等を行う(株)二神建築事務所、並びに栃木県内でトップクラスの建設コンサルタント会社である(株)ダイミックを相次いで子会社化した。直近では2024年5月に九州地域で建設コンサルタントの技術者派遣を主に展開している日栄プランニング(株)、同年9月に地質調査を軸に地盤構造調査・解析、耐震診断などをゼネコン等から受託する建設コンサルタント会社のTSRを子会社化した。また、海外事業を強化すべく同年9月にタイの建設コンサルタント会社であるDynamic Engineering Consultants Co., Ltd.(以下、Dynamic)※の株式の35%を取得し、持分法適用関連会社とした。
※ タイで最も古い建設コンサルタント会社の1つで、2024年9月に35%の株式を取得した。官公庁、民間の両分野において国内外で事業展開している。特に構造工学に強みを持つ。年間売上規模は5~6億円で、将来的にはEJEC (Thailand) Co., Ltd.を通じて出資比率を引き上げ、連結子会社化することを視野に入れている。
プロジェクトの企画・計画策定から運営管理まで、全工程をグループ内で提供
2. 事業概要
同社グループは主に官公庁の公共事業等において、企画・構想から計画策定・事業化、調査・設計、工事施工管理、運営維持管理まで事業プロジェクトのすべての工程に関してワンストップでサービス提供できることを強みとしている。2025年5月末時点の連結対象子会社は14社で(その他非連結子会社7社、持分法適用関連会社2社)、連結従業員数は1,877名(前期末比164名増)である。また、持分法適用関連会社のうち(株)演算工房(出資比率38.1%)は、主に建設・土木分野におけるトンネル施工の制御・データ管理を行うためのソフトウェアを開発・提供している。
(1) 子会社の概要
連結売上高の6割強を占める主力子会社のエイト日本技術開発では、企画・計画策定、調査・設計、点検、診断、マネジメント等の建設コンサルタント業務のほか、海外コンサルタント業務、観光農園やアグリビジネス等の地方創生につながる事業の開発等を行っている。
また、売上高の1割強を占める近代設計では、道路・橋梁の計画・設計及び施工管理やCM(コンストラクション・マネジメント)等の発注者支援業務等を展開しており、国土交通省が推進する無電柱化プロジェクト(計画・設計・調査・維持管理支援)の受注シェアで約2割と高い実績を上げていることが特徴である。新たに子会社化したTSRを含めた3社合計で、連結売上高の8割強を占める。
そのほか、日本インフラマネジメントでは測量、施工管理、技術者派遣、計測機器のレンタル販売業務等を、(株)共立エンジニヤ及び共立工営(株)では測量・地質調査・設計業務を、都市開発設計(株)では上下水道や道路等の計画策定、調査、設計業務を主に行っている。アークコンサルタント、アイ・デベロップ・コンサルタンツ、二神建築事務所及びダイミックについては前述のとおりだ。
(2) 発注機関別・地域別受注構成比
同社の受注高のおおよそ7割は官公庁向けで占められており、そのなかでも道路・橋梁などの交通インフラや治水・治山など国土保全に関わる案件の比率が高いことが特徴である。2025年5月期の発注機関別受注構成比は、国土交通省を中心とした中央省庁が24.5%、都道府県が30.4%、市町村が15.9%と官公庁で70.8%を占め、民間企業が28.3%、海外が0.9%となった。民間企業についても半分程度はNEXCO等の高速道路運営管理会社向けと見られ、公共分野とも言える。海外については、アジアやアフリカ地域における道路整備や治水・給水プロジェクト等、(独)国際協力機構(以下、JICA)を通じたODA案件が大半を占めている。また、地域別受注構成比では関東が27.6%と最も高く、次いで本社のある中国エリアが17.5%、近畿エリアが12.2%となり3つの地域で過半を占めた。
受注プロジェクトについては1年以内に終わる案件がほとんどだが、工期が複数に分割されているものを継続受注した場合は、トータルで3〜4年の長期にわたる案件となる。また、官公庁案件については売上の検収時期が3月に集中する傾向にあることから、売上高のおおよそ6割が第4四半期(3月~5月)に偏重する(発注者支援業務については進行基準で売上を計上)。このため、第3四半期までは例年損失を計上する季節要因がある点には留意する必要がある。
3. 経営理念
同社グループの使命(ミッション)は、「地球環境にやさしい優れた技術力と判断力で、真に豊かな社会創りに貢献」することとしている。また、経営ビジョンとしては、持続的成長と企業価値向上を追い続ける、「わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループ」を目指すことを掲げている。
経営ビジョンの実現を目指すため、同社はイノベーション※1、プロフェッショナリズム※2、誠実※3、チームワーク※4といった4つの観点から行動規範を規定し、事業活動を行っている。
※1 イノベーション:社会や環境の変化を見極め、あらゆるインフラ分野の課題解決を目指し、グローカル(グローバルからローカルまで)な思考で行動する。
※2 プロフェッショナリズム:多様で高度なニーズに的確に応えることのできる優れた技術と豊かな感性、誠実な人格を有するプロフェッショナル集団として、人材価値、企業価値を高めるため、自己研鑽に努める。
※3 誠実:関連法令ばかりでなく、企業倫理~職業倫理も遵守し、公正・中立的な立場で社会的責任を遂行する。
※4 チームワーク:わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループとしての自覚を持ち、常に高い目標を掲げ、その実現に向けてグループの総力で挑戦する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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