戸田工業 Research Memo(3):2025年3月期は前期比20.7%の増収(1)
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は売上高31,667百万円(前期比20.7%増)、営業損失648百万円(前期は117百万円の利益)、経常損失1,411百万円(同1,168百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失3,563百万円(同3,581百万円の損失)と厳しい決算となった。事業セグメント別に機能性顔料事業は売上高8,071百万円(同8,124百万円(前期比0.7%減))、セグメント利益1,009百万円(同20.5%増)となった。売上面では収益基盤事業とする触媒向けが好調に推移、一方でトナー用材料等が需要減退し売上高は微増に留まった。利益面では製品価格是正や原価低減、諸経費削減などを行い収益性が改善し増益に転じた。電子素材事業は売上高24,121百万円(同29.9%増)、セグメント利益は1,212百万円(同52.7%減)となった。売上面では磁石材料及び誘電体材料は需要が好調、また軟磁性材料の戸田マテリアルズの連結子会社化で売上が大幅増となった。一方、利益面ではEV市場の鈍化により前駆体を扱うTAMの不振が1,370百万円のセグメント利益減と大きく影響、大幅な利益減(この分を除くと前期比0.9%増の2,582百万円)となった。
この結果、両セグメント利益の合計は2,221百万円(同34.6%減、金額にして1,177百万円減)となったが、全社費用が2,870百万円(同12.5%減)と経費削減などの効果があり、営業損失転落ながら前期からの減益幅は765百万円に留まり、カナダ子会社分を除くと営業利益で722百万円となり、一過性の費用を除くと増益を確保していることになる。ただし、営業外で持分法による投資損失427百万円(前期比1,100百万円悪化し損失に転落)、為替差損194百万円(前期比641百万円減となり為替差損に変化)となった影響で経常損失が1,411百万円(前期比2,579百万円悪化)、さらに特別損失に関係会社整理損や減損損失、固定資産圧縮など2,189百万円を計上、前期比では2,745百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純損失は前期比ほぼ横ばいの損失計上を余儀なくされた。
2024年5月の期初計画に対しては、売上高333百万円減、営業利益1,348百万円減、経常利益2,511百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益4,163百万円減、2024年11月の減額修正予想(材料別の予想は12月公表)に対しては、売上高2,167百万円増、営業利益548百万円減、経常利益1,011百万円減、親会社株主に帰属する当期純利益2,263百万円減となった。
親会社株主に帰属する当期純損失の増減要因では個別決算での営業損失減少が9億円(正確には883百万円)、その他の営業利益改善効果2億円、特別損益の変化37億円(TAM除く)の増益効果に対し、TAMの営業減益要因18億円、持分損益を除く営業外収支悪化7億円(内為替変動分641百万円)、持分法損益の悪化11億円、TAMの特別損失11億円の減益要因から、全体として2024年3月期並みの損失が継続した。
2. 事業セグメント別収益
事業セグメント別の業績は、機能性顔料事業は売上高8,071百万円(前期比0.7%減)、セグメント利益1,009百万円(同20.5%増)、営業利益(全社費用控除後)は、300百万円の損失となった。売上面では触媒向け材料が好調に推移、一方、トナー用材料等は需要が想定を超えて低迷、全体として微増収となった。複写機・プリンター向け材料、塗料向け材料が需要回復の遅れで低調に推移、営業利益はトナー用材料等の価格是正や原価低減が寄与し増益を確保した。電子素材事業は売上高24,121百万円(同29.9%増)、セグメント利益1,212百万円(同52.7%減)、営業利益(全社費用控除後)は、400百万円の損失(同1,200百万円悪化し損失転落)となった。磁石材料、誘電体材料が好調、連結子会社化した軟磁性材料の戸田マテリアルズの売上も加わり大幅な増収となった。一方、利益面ではTAMの業績悪化が1,370百万円影響、大幅減益を余儀なくされた。
(1) 電子素材事業(会社資料に従い億円単位の増減、1%刻みの利益率分析)
1) 磁石材料
磁石材料は売上高12,100百万円(11月修正予想比400百万円未達、前期比300百万円増)、営業利益1,100百万円(11月修正予想営業利益率8%比1%アップ、同200百万円増)となった。同部門は粉体からコンパウンド、成形品(磁石)までを手掛ける。同社の特徴は粉体では微細粒子の均一分散技術に強み(粒径分布に特徴があり、高充填が可能)がある。コンパウンド「FEROTOPTM」についてはフェライト系世界トップシェアを持ち、磁性粉と樹脂の複合化技術に強み(特に異方性ボンド磁石向け)、さらに高磁気特性と成形性の両立(特に射出成形用材料)を可能にしている。特にストロンチウムフェライト(SrFe)または希土類(Nd-Fe-B)の磁性粉末と、ポリアミド(PA12、PA6/12)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、エチレン酢酸ビニル(EEA)といった多様な樹脂を複合化した射出成形用材料で高い評価を得ており、等方性・異方性の両グレードを揃え、顧客の要求する磁力や耐熱性、コストに応じて最適な材料を提案できるだけでなく、成形時に発生する腐食性ガスを大幅に低減し、金型の長寿命化に貢献するなどの体制も整えている。成形品では小型・薄型磁石の精密成形技術(例:モーター用磁石)、異方性ボンド磁石の高磁気特性(最大エネルギー積(BH)max)などで差別化しているが、主力ユーザーは自動車業界でEVなどのバッテリー冷却用ウォーターポンプ向けで電装部品大手の日欧電装メーカーなどとなっている。2025年3月期では、2021年に連結化した中国の江門協立磁業高科有限公司の自動車向け成形品の伸びが寄与、収益性も高く利益率向上にも寄与した。なお業界シェアNo.1を誇るフェライトコンパウンド事業も堅調に推移している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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