NSW Research Memo(4):2025年3月期の営業利益は、計画を上回る増益を達成
NSWの2025年3月期連結業績は、売上高が微減したものの、営業利益と経常利益は計画を上回る増益を達成しました。背景には、DX関連への投資やIT投資需要の堅調な推移がありました。しかし、親会社株主に帰属する純利益は、前期の特別利益の反動や投資有価証券評価損の計上により減少しました。それでも、今後の売上増が期待でき、受注高も堅調に推移しており、業績目標を達成して中期経営計画を終了しました。NSWは安定した成長を継続しています。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期における日本経済は、雇用・所得環境の改善や財政政策、金融政策の効果もあり、緩やかな回復基調にあった。一方で、エネルギー、原材料高騰に伴う物価上昇による消費マインドの下振れや米国の通商政策の不確実性、中国経済の継続的な停滞、中東地域を巡る不透明な情勢など、景気の下振れ要素も十分注視していく必要があった。ただ、情報サービス産業においては、企業の生産性向上や競争力強化を目的としたDX関連への投資意欲は引き続き高く、システム刷新やクラウドへの対応などデジタル化に向けたIT投資需要は堅調に推移した。このような状況の下、同社グループでは意欲的に中期経営計画の最終年度に取り組んだ。
この結果、2025年3月期の連結業績は、売上高が50,028百万円(前期比0.5%減)、営業利益が6,116百万円(同4.3%増)、経常利益が6,168百万円(同3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が3,662百万円(同14.6%減)となった。売上高の減少は、エンタープライズソリューションの減収による。ただ、プロジェクトの効率化や賃上げに伴う顧客との費用折衝などにより生産性が改善したことで、営業利益及び経常利益は計画を上回る増益となり、営業利益率は12.2%に上昇した。親会社株主に帰属する当期純利益の減少は、前期に投資有価証券売却の特別利益を計上した反動減と、2025年3月期に投資有価証券評価損を計上したことによる。投資有価証券評価損は、ベンチャー投資として保有する株式の減損処理をしたものであるが、ビジネス上の連携は不変である。また、今後の売上増につながる受注高は51,199百万円(同0.8%増)と堅調であった。以上により、前中期経営計画は業績目標を達成して終了した。同社グループでは広範囲な取引先を抱えており、経営環境にかかわらず安定した成長を継続していると言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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