富士紡HD Research Memo(1):研磨材及び化学工業品の2事業が受注拡大し、2025年3月期は大幅な増収増益
富士紡ホールディングスは、研磨材及び化学工業品事業で受注が拡大し、2025年3月期に大幅な増収増益を達成しました。売上高は42,912百万円で前年比18.8%、営業利益は前年から129.8%増の6,476百万円となりました。生成AIによる半導体需要の回復が研磨材事業の受注を引き上げ、化学工業品事業の回復により利益も急増。2026年3月期には売上高が46,200百万円、営業利益7,000百万円とさらなる成長を予測しています。非常に高い限界利益率を持つ研磨材事業が、同社の成長を牽引しており、台湾に新たな研究開発拠点を設立予定。全体として「総合研磨材メーカー」として、グローバルニッチナンバーワンを目指し、半導体精密研磨材のトータルサプライヤーの地位確立に向けて取り組んでいます。
富士紡ホールディングス<3104>は1896年に設立し、研磨材事業と化学工業品事業、生活衣料(B.V.D.など)事業を中心に展開している。同社は繊維事業中心から、現在では大きく業態転換が行われ、売上構成比は研磨材事業が4割強、化学工業品事業が約3割、生活衣料事業が2割弱で、その他事業の中の化成品(射出成形品・樹脂金型)事業を“第4の柱”とすべく育成を図っている。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比18.8%増の42,912百万円、営業利益が同129.8%増の6,476百万円、経常利益が同103.7%増の6,675百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同111.4%増の4,477百万円となった。また、同社が2025年1月31日に公表した上方修正計画との比較では、売上高で3.1%減、営業利益で1.2%増、経常利益で1.1%増、親会社株主に帰属する当期純利益で4.1%増と、各利益で計画値を上回った。
生成AIがけん引役となり先端半導体需要の回復で研磨材事業の受注が大幅に増加し、化学工業品事業の受注も回復して利益が急増した。研磨材事業は高い限界利益率を持ち、受注増で利益がさらに拡大したため営業利益は6,476百万円となり、2017年3月期の最高益6,816百万円に迫る勢いである。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が46,200百万円(前期比7.7%増)、営業利益が7,000百万円(同8.1%増)、経常利益が7,200百万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,700百万円(同5.0%増)と見込んでいる。なかでも、中核事業である研磨材事業は売上高20,700百万円(同7.2%増)、営業利益5,150百万円(同8.9%増、営業利益率24.9%)と好業績を予想している。これは、研磨材(ソフトパッド)がロジック半導体製造プロセスにおいて高いシェアを占めており、生成AIやIoT分野で使用される最先端ロジックやメモリー半導体の高成長が、同社の受注拡大をけん引しているためである。
また、同社では最先端半導体関連企業が集積する台湾に研究開発センター(2026年秋以降稼働予定)を設立し、顧客ニーズにきめ細かく対応するとともに、高性能・高品質の研磨材の開発とCMP用途拡大を推進している。
なお、研磨材の米国向け輸出は限定的なため、米国関税の影響は業績予想に反映していないが、バリューチェーン全体で中華圏から米国への製品需給への影響が不透明であり、引き続き需給リスクを注視する必要がある。
3. 「総合研磨材トップメーカー」を目指す
同社はソフトパッドでトップシェアを持つ研磨材メーカーであるが、ハードパッド分野にも一部参入している。将来的にはソフトパッドとハードパッドを提供し、半導体精密研磨材のトータルサプライヤーを目指す。一方で半導体以外の新規研磨材開発にも取り組んでおり、2026年3月期以降に新製品を本格的に市場投入する予定だ。これらの取り組みにより、ソフトパッドの拡充・ハードパッドの普及・半導体以外の新規開発を推進し、「総合研磨材メーカーとしてグローバルニッチナンバーワン」を目指す。
4. 中期経営計画「増強21-25」と次期中期経営計画に向けて
「増強21-25」は順調にスタートしたが、2023年3月期下期から2024年3月期上期の半導体不況により研磨材事業が大幅に落ち込み、成長が鈍化した。2025年3月期は業績が回復傾向にあるものの、中期経営計画の最終年度である2026年3月期の目標達成は困難と見ており、次期中期経営計画期間で、売上高600億円、営業利益100億円の達成を目指す。そのための基盤として、2026年3月期は、研磨材と化学工業品の成長事業への継続投資と事業拡大を推進する重要な期間と位置付けている。
■Key Points
・2025年3月期の営業利益は6,476百万円となり、2017年3月期の最高益6,816百万円に迫る勢い
・2026年3月期は米国の関税政策など不透明感はあるものの、2025年3月期に続き増収増益を見込む
・「総合研磨材メーカーとして、グローバルニッチナンバーワン」を目指す
・次期中期経営計画期間において、売上高600億円、営業利益100億円の達成を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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