カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人---垂直統合型モデルの下、国内市場平均を上回る中長期の成長が期待される
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、太陽光発電設備を主な投資対象とするインフラファンドで、日本市場での成長が見込まれています。この投資法人は、カナディアン・ソーラー・グループの垂直統合型ビジネスモデルを活用し、パネルの開発から運営までを行っています。長期的には新エネルギー市場への投資機会を提供し、再エネ需要の拡大に伴うセカンダリー市場での成長も期待されています。FIT制度の終了後も、CPPAなどを活用して安定した収益を確保する方針です。また、2030年に向けた中期計画では資産規模の拡大と資本金調達、AA格ライセンスの獲得を目指しており、ESG要素も考慮した透明性ある経営を推進しています。
同投資法人の強みは、世界第5位の太陽光パネル出荷量シェアを誇るカナディアン・ソーラー・グループに属し、垂直統合型ビジネスモデルを構築している点にある。太陽光パネルの特性を熟知するパネルメーカーが自社パネルを使用した発電所の開発から運営まで全てに関わっている。同投資法人はカナディアン・ソーラー・グループがこれまでに培ってきた太陽光発電に関するトータルプロバイダーとしての卓越した知見を「垂直統合型モデル」としてフルに活用して運用している。同投資法人の関係者としては、カナディアン・ソーラー・プロジェクトがスポンサー兼オペレーター、カナディアン・ソーラーO&MジャパンがO&M業者(太陽光発電設備の運用(Operation)と保守(Maintenance)を請負う事業者)、カナディアン・ソーラー・アセットマネジメントが資産運用会社という一気通貫の垂直統合型ビジネスモデルにより、カナディアン・ソーラー・グループ内で構築されている。
他のインフラ投資法人は、スポンサーが商社、金融、不動産であるため、同投資法人と同様の垂直統合型ビジネスモデルを構築することは困難であると考える。
太陽光発電市場におけるセカンダリー市場の拡大を受け、同投資法人ではスポンサー開発物件に加え、「第三者案件」取得にも積極的に取組みを実施している。スポンサーは、入札案件において、これまでFIT・FIP制度(*1)下で認定を受けたメガソーラー約180MWを落札などの経験があり、今後も豊富なパイプラインの提供が期待される。今後FIT価格は低下していくことが予想されるなかで、技術革新などを通じた太陽光発電設備の導入コストの減少および近年の特に事業会社を中心とした再エネ需要(再エネ電力)の高まりを背景に、CPPA(*2)市場は拡大が期待される。同投資法人はFIP/CPPA案件の取得や将来の既存物件のCPPA化に向けてオフテイカーとの協業など将来に向けた体制整備を図るとしている。
*1.FIT制度は、電力会社による固定価格での買取制度である。 そのため発電事業者は需要の多寡によらず、一定の単価での売電が可能である。 FIP制度は、電力卸取引所の売電価格に対し一定の「プレミアム(補助額)」を上乗せし、電力市場に統合しながら再エネの導入を促進する仕組み。
*2.CPPA (Corporate Power Purchase Agreement)とは、再エネ発電所から生まれる「電力」や「環境価値」を10年から20年といった長期間にわたり、固定(に近い)条件で、需要家が直接発電事業者から購入する契約のこと。この契約により新規の再エネ発電所の開発・建設・運営を実現する仕組み。
同投資法人は、ポストFIT後も成⾧・拡大し続けるために、2030年に向けた「中期経営計画”VISION 2030”」を掲げ、投資主価値の向上に全力で努めるとともに、永続的な運営を行う基礎を築くとしている。
2030年の数値目標として、1.資産規模3,000億円到達、2.公募増資による資産取得時 EPU(利益分配金)3%成長、3.格付 AA格の取得を挙げている。
資産規模拡大に向けてのパイプラインとして、スポンサーが開発済みおよび開発中の17物件(274.5MW)に加えて第三者が開発済の1物件(45.8MW)が現在ある。また、スポンサー開発案件以外の第三者案件の取得を拡大することで今後さらなる資産規模の拡大を安定的に行うこと目指す。2023年3月末でのFIT制度の新規受付終了により、今後FITに代わる安定的な収益確保のための売電方法としてCPPAが有力であると考えており、当該契約締結の発電所の取得を先んじて行うことで、FIT制度終了後も継続的かつ安定的な収益確保の実現を目指すとしている。
1口当たり分配金については、上場以来2024年6月期(2024年1月から6月)までは、継続的な利益超過分配金を活用した安定的な総分配金を実現することを継続。2024年6月期決算発表時に継続的な利益超過分配金を廃止し別途将来の成長にキャッシュを有効活用する新たなキャッシュマネジメントへの転換方針を公表の上、2024年12月期はその一環として手元資金を活用しての新規物件取得に加え自己投資口取得も実施し、1口当たり利益分配金は期初予想対比で約7.6%成⾧した。 引き続き市況および事業環境に応じた戦略的なキャッシュマネジメントを通じて、1口当たり利益分配金の増大を目指す方針である。
2025年6月期(2025年1月から6月)の運用状況の予想は、売上高が46.83億円(前年同期比7%増)、営業利益が17.74億円(同10%増)、経常利益が13.20億円(同3%減)、当期純利益が13.19億円(同3%減)と、2024年6月期と比較し物件取得等に伴う融資関連費用の増加を起因とした増収経常減益を予想している。1口当たり利益分配金については、2024年6月期の3,013円から2025年6月期は2,998円に減少する見通し。ただし営業外費用増による前回予想対比の利益分配減少分については利益超過分配でカバーし、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)は前回予想から不変。
国際的なサステナビリティ開示への取り組みも進んでおり、資産運用会社であるカナディアン・ソーラー・アセットマネジメント株式会社は国連責任投資原則(UNPRI)に署名し、投資運用プロセスにESG要素を組み込んでいる。また、EUのSFDR(サステナビリティ関連開示規則)に基づき、持続可能性に関するリスクや主要な悪影響(PAI)の情報開示を行っており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)にも対応し、気候変動が資産運用に与えるリスク・機会の分析と開示を進めている。2023年には初の「サステナビリティ・レポート」を発行し、ESG方針・実績・KPIを体系的に整理することで、投資家やステークホルダーとの対話強化と透明性向上に資する取り組みを進めている。
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