ジェーソン Research Memo(6):2026年2月期は買収効果の顕在化に伴い、業績は回復見通し
ジェーソンは2026年2月期に売上高を9.5%、営業利益を43.0%増加させる見込みです。主要な成長要因は、サンモールの完全子会社化による売上寄与と、新規店舗4店の出店です。また、IT活用による店舗運営の効率化と、省力化、天然水の増産も収益向上に貢献します。一方、物流体制の強化やのれん償却といった利益圧迫要因もあります。同社は長期的には、ローコスト経営を主軸に成長戦略を推進し、企業価値向上を目指しています。また、優待制度の拡充や安定配当の維持が株主還元を強化しています。
● 2026年2月期の業績見通し
ジェーソン<3080>の2026年2月期の連結業績は、売上高が前期比9.5%増の31,000百万円、営業利益が同43.0%増の770百万円を見込む。物流体制を一段と強化するためにトラックを増加するほか、株主還元の拡充対応費用、買収に伴うのれん償却負担などの利益圧迫要因があるものの、2025年2月期に新規出店した4店舗(東村山青葉町店、常陸太田宮本町店、那須烏山店、前橋北代田店)に加え、サンモール完全子会社化による売上寄与が見込まれること、同社が強みとするローコスト経営の推進、「尚仁沢の天然水」の更なる増産に伴う製造子会社の利益拡大による全社の収益性向上、管理業務の自動化推進のほか、物流のひっ迫も一巡することから、営業利益は大幅な増益が見込まれている。
サンモールの子会社化については、2025年5月末に会計上の企業結合となるため、中間期より業績に買収効果が反映される見込みである。サンモールは、群馬県沼田市を中心に食品スーパーを6店舗展開しているが、同社の既存店との商圏の重複はないうえ、購買や物流網を共通化することでコストダウン効果が期待される。また、主な取り組み内容としては、引き続きIT等を活用した店舗オペレーションの省人化や各種業務の効率化推進、店舗のスクラップ&ビルド等の取り組み強化など、更なるローコスト経営体質の深化を目指すとともに、新たなPB商品の開発等による利益率の改善や、ナチュラルミネラルウォーター「尚仁沢の天然水」の一段の増産による製造子会社の利益寄与拡大などの施策を進め、業績の大幅な拡大を目指している。「尚仁沢の天然水」は、2025年2月に新倉庫が完成し、月間生産本数は250万本(2024年2月期は100万本)に増加している。PB商品の企画に関しては、既存の天然水、炭酸水に続く、新商品の投入も計画しており、2026年2月期の重要な営業施策として強化する方針を打ち出している。
■中長期の成長戦略
仕入価格の高騰など逆風のなかで、ローコスト経営の強みを発揮する
● 中長期成長に向けた2026年2月期の取り組み
同社は中長期成長に向けて、社内IT・デジタルテクノロジーの高度化を主軸に、徹底したローコスト経営と各種経営戦略を展開し、企業価値向上を推進している。2026年2月期の主な施策として1) 店舗のスクラップ&ビルド推進と収益改善、2) JV商品やPB商品の取扱拡大、3) 効率的なマネジメント・組織体制づくりの3点を掲げている。1) については、居抜き物件を中心としたローコスト出店の推進に加え、店舗数の純増を維持しながら低収益店舗については退店を検討するほか、サンモールの店舗収益の管理体制を整備して合理化を推進する。2) については、JV商品を中心としたロープライスの堅持と利益率の改善を図るほか、商品構成と商品の価格帯の再構築や集荷統制によって粗利益の増加を目指す。また、サンモールの買収を通じて食品スーパーへの新規参入によるビジネスモデルの一層の進化とシナジー発揮、「尚仁沢の天然水」の更なる増産と生産設備を強化する。3) については、マネジメントシステムの活用、店舗オペレーションの省人化促進、トラック増車による物流体制の一層の拡充、サンモールの管理体制構築とガバナンスを強化する計画である。
同業他社との比較感では、同社同様にローコスト経営に強みを持つ岡山に本社を置くディスカウントストアの大黒天物産<2791>は、2025年5月期の連結業績予想を売上高292,400百万円、営業利益10,500百万円、営業利益率3.6%と見込んでいる。売上高の規模が異なるが、ディスカウントストア業界としては5%程度の営業利益率が1つの目指すべき水準と弊社では考えており、M&Aが進んで中小のディスカウントストアが淘汰されるなか、利益率を意識して早期に5%を目指すようなオペレーションが投資家目線では求められる。粗利率については大きな上昇が見込みにくいことから販管費をいかに効率化するかに主眼を置くべきであり、製造、販売、配送といった各プロセスの内製化をより進めるなど、1店舗当たりの人員数をいかに少なく効率的にオペレーションを進めるか、そして、店舗の24時間営業を検討することで、1店舗当たりの売上高の拡大を狙うなどの施策について、更なる検討余地があると見られる。
■株主還元策
通期で13.0円の配当を継続し、安定配当を維持。株主優待を拡充し、株主還元を強化
1. 配当方針
同社では株主に対する利益還元策を重要な経営課題の1つと認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、配当を実施することを基本方針としている。同社では2021年2月期から1株当たり13.0円の配当を継続しており、2025年2月期に引き続き2026年2月期においても13.0円の配当を予想している。利益予想に基づく配当性向は33.3%となるが、同社は配当性向20%以上のなかで安定配当をする意向であり、利益が大きく成長する局面がくれば増配となる可能性もある。
2. 株主優待
また、2024年1月に新設された株主優待制度の拡充に加えて、長期保有株主優待制度を導入した。保有期間1年以上の株主(毎年2月末及び8月末時点の同社株主名簿に、連続で3回以上記載または記録されている株主)を対象に、500株以上で、1) 同社店舗で利用できる株主優待券11,000円分(1,000円券11枚)、または、2) ナチュラルミネラルウォーター天然水「尚仁沢の天然水」(500ミリリットル24本入×6箱)のどちらかを贈呈する。1,000株以上で、1) 同社店舗で利用できる株主優待券22,000円分(1,000円券22枚)、または、2) ナチュラルミネラルウォーター天然水「尚仁沢の天然水」(500ミリリットル24本入×12箱)、または、3) ナチュラルミネラルウォーター天然水「尚仁沢の天然水」(500ミリリットル24本入×8箱)及び「「はじける強炭酸水」(天然水の炭酸水)」(500ミリリットル24本入×4箱)を贈呈するという特典内容になっている。優待利回りの面でも、新たな株主獲得という観点からも注目できるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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