アピリッツ Research Memo(4):Webソリューションの不採算案件の影響により、利益面は期初計画未達で着地
アピリッツの2025年1月期業績は、売上高が前期比6.9%増の9,008百万円となったが、営業利益は69.0%減の185百万円と、増収ながらも利益が大きく減少しました。主な要因として、Webソリューション事業における不採算案件が影響しました。この案件は、納期遅延に伴い多くの人員が固定されたことで、新規案件の獲得が滞り、収益性が悪化しました。ただし、2024年9月までに不採算案件の収束及び業務改善が行われ、再発可能性は低いとされています。デジタル人材育成派遣事業とオンラインゲーム事業は堅調に成長しました。特にオンラインゲーム事業では、既存タイトルや新たな共同運営プロジェクトが貢献し、大幅な増益を達成しました。財務状況においては、総資産及び負債が増加しましたが、自社株式の消却やM&Aにより純資産は減少しました。自己資本比率は悪化しましたが、バランスシートは依然として健全です。
1. 2025年1月期の業績概要
2025年1月期の業績は、売上高が前期比6.9%増の9,008百万円ながら、営業利益が同69.0%減の185百万円、経常利益が同68.9%減の185百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同88.1%減の45百万円と、増収減益となった。
売上面は、Webソリューション事業が期中に発生した不採算案件の影響により相応の人員数が固定され、新規売上の獲得が難航したものの、デジタル人材育成派遣事業は前期比12.2%増収、オンラインゲーム事業は同9.2%増収と健闘し、全体としては同6.9%増収と堅調に推移し、期初計画を上回って着地した。
コスト面については、売上原価は前期比11.2%増の7,115百万円であった。Webソリューション事業において不採算案件の発生に伴う追加的な人員投入などにより、人件費及び外注費が増加したことに加え、オンラインゲーム事業においてgumiとの共同運営案件への対応に伴い外注費が増加した。販管費は、人件費の増加及び2024年9月のオフィス移転などにより同19.2%増の1,707百万円であった。その結果、営業利益は同69.0%減の185百万円と期初計画を下回り、営業利益率は同5.0ポイント悪化した。ただ、収益悪化の主因であるWebソリューション事業の不採算案件は2024年9月までに収束しており、2026年1月期は通常の状態に戻ると見込まれる。
2. 事業セグメント別動向
(1) Webソリューション事業
Webソリューション事業の売上高は前期比1.9%増の3,524百万円、セグメント利益は同54.7%減の437百万円であった。期中に発生した大型案件の納期遅延の影響に伴い、相応の人員を投下したことなどにより同案件が不採算化し、収益性が悪化した。また、人員投下に伴うリソース不足により、新規案件の獲得が低調となった。ただ、同案件は2024年9月に収束していることに加え、不採算の要因を踏まえた組織体制及び品質チェックに関する業務オペレーションの整備などを迅速に実施したことにより、再発可能性は大きく低下したと見られる。また、同案件収束後の第4四半期は受託開発の回復などにより前年同期比28.8%増、前四半期比17.8%増と大幅に伸長し、四半期ベースでは過去最高の売上高を計上した。
(2) デジタル人材育成派遣事業
デジタル人材育成派遣事業の売上高は前期比12.2%増の2,114百万円、セグメント利益は同41.1%増の156百万円であった。2024年12月より開始したオンラインゲーム事業の大型プロジェクトへの人事異動の影響を受けたものの、デジタル人材の派遣需要は高水準が続いており、2ケタ増収となった。利益面は、子会社のY'sの福岡拠点立ち上げに伴いコストが増加したものの、増収効果により打ち返し、セグメント利益率は同1.5ポイント改善した。
(3) オンラインゲーム事業
オンラインゲーム事業の売上高は前期比9.2%増の3,370百万円、セグメント利益は同93.3%増の366百万円であった。売上面は、運営移管タイトルである「けものフレンズ3」及び「UNI'S ON AIR」がサービス開始5周年のイベント開催により、ゲーム内課金が好調であった。また、2024年12月よりgumiと共同運営している「乃木坂的フラクタル」が貢献した。利益面は、共同運営案件の対応により一時的に外注費が増加したが、増収効果及び運営移管事業における運営体制の効率化や内製化の推進などによりセグメント利益率が同4.8ポイント改善し、大幅増益となった。
3. 財務状況と財務指標
2025年1月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,174百万円増加の5,760百万円となり、うち流動資産が同1,062百万円増加の4,444百万円、固定資産が同111百万円増加の1,315百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産は現金及び預金が同551百万円増加、売掛金及び契約資産が同453百万円増加となり、固定資産は有形固定資産が同124百万円増加、無形固定資産がBee2B及びクエイルのM&Aに伴うのれんの計上により同70百万円増加となった一方で、差入保証金の減少などにより投資その他の資産は同83百万円減少となった。
負債合計は前期末比1,248百万円増加の3,365百万円となり、うち流動負債が同454百万円増加の2,184百万円、固定負債が同793百万円増加の1,181百万円となった。主な増減要因を見ると、流動負債は買掛金が同156百万円増加、未払金が同129百万円増加、1年内返済予定の長期借入金が同257百万円増加となり、固定負債は長期借入金が同710百万円増加となった。
純資産合計は前期末比73百万円減少の2,394百万円となった。主な増減要因を見ると、利益剰余金が自己株式の消却などにより同122百万円減少となった一方で、新株予約権が株式報酬費用の計上に伴い同40百万円増加した。
主な財務指標を見ると、自己資本比率は40.4%と前期末比12.8ポイント悪化したが、主な要因は成長戦略の一環として掲げているM&Aの実施において財務レバレッジを活用し、銀行借入が増加したことである。他方で、流動比率は203.5%、ネットキャッシュ(「現金及び預金」-「有利子負債」により算出)は527百万円と依然としてプラスの水準を維持しており、今後も柔軟なバランスシート運用が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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