アピリッツ Research Memo(1):2026年1月期は不採算案件の剥落により営業利益がV字回復へ。増配も実施
アピリッツは、Webソリューションやデジタル人材育成派遣、オンラインゲーム開発などITサービスを展開する企業です。2025年1月期の業績は不採算案件の影響で利益が減少したが、2026年1月期には、この不採算案件の解消と事業環境の好調により、売上と利益のV字回復が予測されています。2026年1月期の売上は前期比16.2%増の10,464億円、営業利益は同229.0%増の610億円と見込まれています。特に、Webソリューション事業ではDX関連の需要が高く、デジタル人材育成派遣もニーズが旺盛です。また、オンラインゲーム事業はIPを活用した新たな市場として「推し活」関連に注力する計画です。中長期的には、2025年1月期比で売上を2倍にする目標を掲げ、M&Aを活用して成長を促進する方針です。
アピリッツ<4174>は、2000年7月に慶應義塾大学の学生により設立され、ECサイトやWebシステムの企画及び構築などを行うWebソリューション、デジタル人材の育成及び派遣、PC及びスマートフォン向けオンラインゲームの受託開発及び運営など総合的にITサービスを展開している。同社の特徴は、顧客から受けた依頼に対して単に受託開発を行うだけではなく、事業企画など上流工程から開発・保守運用に至るまで一気通貫でサービスを提供しているところにある。
1. 2025年1月期の業績概要
2025年1月期の業績は、売上高が前期比6.9%増の9,008百万円ながら、営業利益が同69.0%減の185百万円、経常利益が同68.9%減の185百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同88.1%減の45百万円と、増収減益となった。売上面は、Webソリューション事業が期中に発生した不採算案件の影響により相応の人員数が固定され、新規売上の獲得が難航したものの、デジタル人材育成派遣事業は同12.2%増収、オンラインゲーム事業は同9.2%増収と健闘し、全体としては同6.9%増収と堅調に推移し、期初計画を上回って着地した。コスト面については、売上原価は同11.2%増の7,115百万円であった。Webソリューション事業において不採算案件の発生に伴う追加的な人員投入などにより、人件費及び外注費が増加したことに加え、オンラインゲーム事業においてgumi<3903>との共同運営案件への対応に伴い外注費が増加した。販管費は、人件費の増加及び2024年9月のオフィス移転などにより同19.2%増の1,707百万円であった。その結果、営業利益は同69.0%減の185百万円と期初計画を下回り、営業利益率は同5.0ポイント悪化した。ただ、収益悪化の主因であるWebソリューション事業の不採算案件は2024年9月までに収束しており、2026年1月期は通常の状態に戻ると見込まれる。
2. 2026年1月期の業績見通し
2026年1月期通期の連結業績は、売上高が前期比16.2%増の10,464百万円、営業利益が同229.0%増の610百万円、経常利益が同223.4%増の600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同710.6%増の372百万円と増収増益の見通しである。事業環境は全体的に好調であり、売上高は過去最高の100億円を超える見通しであり、営業利益は増収効果によりV字回復が期待される。営業利益率は5.8%と2024年1月期実績の7.1%を下回るものの、特段の懸念事項や売上ミックスの悪化などは想定されていない。むしろ、収益性をやや保守的に見積もっていると考えられ、業績が順調に推移すれば、営業利益が会社計画を上回る可能性もあろう。事業セグメント別に見ると、Webソリューション事業はDX関連の市場環境が活況であり、顧客から強い需要が継続している。案件のリードを選別しつつ、大型開発案件やコンサルティング領域の拡大を図っていく。利益面については、2025年1月期の不採算案件の剥落により収益性が回復する見通しであり、セグメント利益率は通常の水準への回帰が見込まれる。デジタル人材育成派遣事業は、市場ニーズが旺盛であり、同社にとって追い風が続くと見られる。豊富なデジタル人材ニーズを受け、経験者を派遣するだけでなく、未経験者の教育を強化し、売上拡大を図っていく。オンラインゲーム事業は、IPを活用した「推し活」市場が活況であることを踏まえ、今後の注力領域をオンラインゲーム全般から「推し活」関連市場へとシフトする計画である。同社は人気アイドルグループを題材としたアプリやファンコミュニティサイトを運営しており、競争力の高いIPを活用したサービスを提供している。これらのサービスを育成及び強化することにより、収益拡大を目指す計画である。
3. 中長期の成長戦略
同社の2030年1月期の定量目標は、売上高が2025年1月期比2倍超の200億円、営業利益は20億円、営業利益率は10%、連結社員数は1,700人(2025年1月期実績は805人)、退職率は8%台(同13.8%)である。また、継続的な成長を実現するために年1件以上の中小規模のM&Aをプログラマティックに実施するとしている。同社は労働集約型のビジネスモデルを採用しているため、成長のカギとなるのは「1人当たり売上高(単価)×社員数(数量)」という構造である。そのため、同社は社員数をKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)としており、新卒及び中途採用数の増加、離職率の低減、M&Aによる人員拡大などを推進している。また、従業員のエンゲージメント向上にも注力しており、労働環境の整備や給与水準の引き上げなどを継続的に実施している。さらに、「学園化」と称した独自の企業文化の醸成にも取り組んでおり、具体的には、やりがいや学びの機会の提供、成長をサポートする制度、助け合いの文化の育成、リモートワークの推進など多様な価値観や働き方に対応できる環境づくりにも力を入れている。また、持続的な成長戦略の一環としてM&Aを積極的に活用している。同社は年1件以上の中小規模のプログラマティックM&Aを実施しており、事業戦略に適合する対象企業を事前に選定したうえで、一定の基準に基づいて買収を繰り返すことにより事業拡大や競争力の向上を図っている。テクノロジー市場ではデジタル人材の需給が逼迫し、採用が難しくなっているなか、M&Aを通して優秀な人材を確保し、技術力の強化につなげている。また、新たな技術やノウハウを有する企業を取り込むことにより、サービスの幅を広げ、競争力を高める狙いもある。特に、既存事業とのシナジーが見込まれる企業を対象にM&Aを進めることにより、事業統合を円滑に進め、双方の強みを最大限に生かした成長を目指している。
■Key Points
・Webソリューション、デジタル人材育成派遣、オンラインゲーム開発・運営事業を展開
・2025年1月期は不採算案件の影響により、利益面は期初計画未達で着地
・2026年1月期は好調な事業環境及び不採算案件の剥落により、営業利益はV字回復へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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