ローランド Research Memo(8):利益増を伴う「質の高い成長」により、企業価値の拡大を目指す(2)
ローランドは持続的な企業価値向上を目指し、サステナビリティや株主還元に力を入れています。同社は中期経営計画で「サプライチェーン・マネジメントの高度化」や「音楽・映像文化の発展支援」などに注力し、特に女性管理職比率を2025年までに12%にする目標を掲げています。またカーボンニュートラルに向け、温室効果ガスの削減計画を進めています。株主還元策としては、株主への安定配当と自己株式取得を行い、2025年も高い配当性向を維持する見込みです。これにより持続的かつ安定的な企業成長を図っています。
2. サステナビリティの取り組み
ローランド<7944>は、音楽・映像文化を通じて社会の持続的発展に貢献する一方で、環境や社会全体の安定と豊かさのもとに事業が成り立っていると認識している。そのため、環境・社会の安定や持続性が損なわれ、音楽・映像文化や同社事業が存続しえなくなる負の連鎖を避けるため、事業と環境・社会の相互の持続可能性を高め合う好循環を生み出す活動を、経営の重要課題に位置付けている。SDGsで掲げる17の目標に対しては「サプライチェーン・マネジメントの高度化」「音楽・映像文化の発展支援」「人材の活力、能力発揮の最大化」「成長(無形資産)への投資」「ガバナンスのたゆみない強化」を重要課題とし、中期経営計画における重点施策として取り組んでいる。
女性活躍の推進については、女性エンジニアの採用や女性管理職の登用などに取り組みつつ、「ワークライフバランス」を強化している。女性管理職の比率については、同社が公表している「女性活躍推進に基づく行動計画」で、日本の女性管理職比率を2021年時点の6%から2025年末までに倍の12%にする目標を設定している。
また、同社は、芸術文化が育まれる社会環境の維持と脱炭素社会の実現を目指し、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減に向けた中長期目標を設定している。パリ協定に基づくカーボンニュートラル達成を念頭に、SBT※の考え方に沿って、スコープ1(自社が直接排出する温室効果ガス)とスコープ2(他社から購入した電力、蒸気、熱、冷媒などの使用に伴う間接的な排出)に対する取り組みとして、2030年までにのCO2排出量を2022年比で42%削減する。さらに、スコープ3(自社のバリューチェーンを通じた間接的な排出のうち、スコープ2に含まれないものすべて)に対する取り組みとして、CO2排出量全体の9割以上を占める特定カテゴリーに対しても2030年までに25%削減を目指す。スコープ3までを含む排出量の算定に着手し、具体的な目標を設定したことで、削減に向けた注力ポイントが明確となり、具体性の高い施策の推進が期待される。
※ SBT(Science Based Targets、科学的根拠に基づく目標):2015年に採択されたパリ協定が求める水準と整合した企業の温室効果ガス排出削減目標
■株主還元策
自己株式の取得を決定。2025年12月期の配当金は1株当たり170.0円を予定
同社は、事業活動により創出される付加価値の最大化とその適正な分配を通じて、すべてのステークホルダーの共感を得ながら持続的な企業価値の成長を図ることを基本方針としている。株主還元については、持続的かつ安定的な配当を行うとともに、株式市場動向や資本効率などを考慮した機動的な自己株式の取得も適宜行うことで、連結総還元性向は原則50%を、成長投資資金の留保が必要な場合も、連結総還元性向は30%以上を目指す。2024年12月期は1株当たり170.0円(配当性向79.2%)の配当であった。2025年12月期は1株当たり170.0円(配当性向65.7%)の配当を予想しており、株主還元の基本方針に基づき高い配当性向を維持している。
また、自己株式の取得が決議されており、その上限は5,800百万円、発行済株式総数に対する割合は6.5%に設定されている。自己株式取得に至ったのは、同社の主要株主であるTaiyo Jupiter Holdings, L.P.(以下「TJH」)より、TJHが保有する同社普通株式について、今後同社株式の直接保有を予定する複数のTJHの長期保有LP投資家に対しては現物償還し、現物償還が困難なLP投資家分については現金での償還を行うために株式を処分する意向が示されたためである。同社では、株式市場における同社株式の需給への影響や、株主還元、資本効率などを総合的に勘案して自己株式の取得を決定した。
なお、株主優待は実施していない。同社は最終消費者に対して製品を販売する企業ではあるものの、楽器という商品の性質上、株主優待を実施しても関係する人はごく一部であり、平等な利益還元という観点から実施しておらず、配当や自己株取得などによりすべての株主に平等に還元することを基本としている。同社は中期経営計画で成長方針を明確に打ち出し、安定配当を継続していることから、中長期的な株価向上に対する蓋然性は高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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