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イノベーション Research Memo(9):2025年3月期は増収増益を見込む


イノベーションは2025年3月期に売上高5,944百万円、営業利益510百万円を見込んでおり、23.5%の増収、27.7%の増益を予測しています。ITソリューションとオンラインメディア事業が成長をリードしていますが、金融プラットフォーム事業では損失拡大という課題があります。中期経営計画の達成を2026年3月期に延期し、ITソリューション事業の目標を下方修正、一方、オンラインメディア事業の目標を上方修正。具体的には、イベント「ITトレンドEXPO」が成長の鍵とされ、SaaS製品「List Finder」の価格改定が収益力を高めています。また、金融プラットフォーム事業ではIFA事業とM&A仲介事業の推進に力を入れています。今後の収益性向上のために短期的なコスト管理と中長期的な成長投資の最適化が課題となっています。

*17:09JST イノベーション Research Memo(9):2025年3月期は増収増益を見込む ■イノベーション<3970>の今後の見通し

1. 2025年3月期通期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績見通しは、売上高で前期比23.5%増の5,944百万円、営業利益で同27.7%増の510百万円、経常利益で同25.9%増の508百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同22.7%増の300百万円としている。企業のITツールに対する底堅い需要を背景に増収増益の見込みであり、既存事業の利益水準を高めながら、中長期的な成長のための先行投資を積極的に推し進め、業容拡大と新たな事業領域の創出に注力している。2025年3月期第3四半期の決算発表では、通期の業績予想については据え置きとしている。足元では各事業において売上拡大を実現する一方、広告費用や集客コスト、デジタルマーケティング投資の増加により収益性の低下という課題を抱えている。オンラインメディア事業及びITソリューション事業においては、成長と収益性向上の両立に一定の成果を上げたが、金融プラットフォーム事業における損失拡大は今後の収益改善に向けた重点施策が求められる点である。また、VCファンド事業やシャノンとの協業といった中長期的な成長戦略は、今後の事業ポートフォリオの充実に寄与する可能性があると評価できる。短期的なコスト管理と中長期的な成長投資のバランスをいかに最適化するかがカギになると弊社では考える。


中期経営計画の達成年度を2026年3月期へ1年後ろ倒し

2. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年6月28日に発表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」において、中期経営計画の業績目標の変更を行っている。これはITソリューション事業におけるアライアンス進捗の遅延、金融プラットフォーム事業における仕組債の問題などを受けた市場停滞の影響などから当初の業績目標と実績に乖離が発生したことによるものである。従来の中期経営計画では2025年3月期を最終年度とし、売上高8,300百万円、営業利益1,840百万円を目指していたが、同社では達成年度を1年間先送りとし、2026年3月期にこの財務目標の達成を再度狙う。また、全体の売上高、営業利益の数値目標に変化はないが、事業別ではITソリューション事業の売上高、営業利益目標を引き下げる一方、オンラインメディア事業の目標は引き上げた。金融プラットフォーム事業は従来計画から売上高、営業利益ともに変更はない。

(1) オンラインメディア事業
新たな中期経営計画では、オンラインメディア事業の売上高は2025年3月期に前期比10.9%増の4,580百万円、2026年3月期に同10.3%増の5,050百万円と約10%の増収基調が続くことを前提としている。2024年3月期はオンライン展示会の開催数が1回のみとなったことで売上成長の端境期となっているが、2025年3月期は「ITトレンドEXPO」の開催がオンラインメディア事業全体の売上高を押し上げる原動力となった。なお、1回の展示会開催による平均売上高は2〜3億円と同社の売上規模に比べて大きく、開催の有無やその規模が四半期業績の大きな変動要因となる点に留意する必要がある。なお、同社では2025年3月に「ITトレンドEXPO2025 Spring」の開催をした。主力の「ITトレンド」においては、2023年春の価格改定による影響も一巡しており、来訪者数も順調に増加している。今後、ITトレンドが安定して10%程度の成長率を確保できれば、中期経営計画における売上高、営業利益目標の達成についてはこれまでの事業モデルの延長戦上でも十分視野に入ると弊社では考えている。

(2) ITソリューション事業
ここ数年で業績の停滞感が続いていたITソリューション事業について、中期経営計画では最終年度の2026年3月期に売上高970百万円、営業利益490百万円、営業利益率が50.5%へと大幅に上昇する計画となっている。主力製品である「List Finder」に関しては、2020年3月期よりアカウント数拡大戦略から収益力強化への転換が図られており、この施策の一環として2024年5月より価格改定が実施された。月額料金については、ライト、スタンダード、プレミアムの3タイプを従来から用意しており、ライトは39,800円から45,000円へ、スタンダードは59,800円から69,000円へ、プレミアムは79,800円から92,000円へとそれぞれ引き上げられた。引き上げ幅はライトが13.1%、スタンダードが15.4%、プレミアムが15.3%となっている。これに伴い、足元の平均請求金額(ARPU)は、運営効率の向上および価格改定の効果が現れた結果として上昇傾向にある。SaaSプロダクトにおける価格引き上げは粗利率の改善に直結することから、中期経営計画におけるITソリューション事業の営業利益率の大幅な上昇は蓋然性の高い目標であると弊社では見ている。

(3) 金融プラットフォーム事業
金融プラットフォーム事業の中期経営計画における数値目標は、目標達成年度を1年間後ろ倒しにしたことを除けば、売上高、営業利益ともに最終年度の目標は不変であり、引き続きIFA事業の体制整備に注力し、当初計画していた金融仲介事業の効率化を進める方針である。また、2024年3月期からは第二弾の事業として、M&A仲介事業も連結に取り込み、IFA事業と同時並行で体制整備、他事業セグメントとの連携強化へ向けた取り組みを進めている。ただし、短期的なIFA事業の業績動向は株式市場など金融マーケットに大きく影響を受けるため、外部環境が急変したとしても中期経営計画の数値目標を着実に達成できるような体制の強化を迅速に進める必要があるだろう。金融プラットフォーム事業の売上高、営業利益は向こう数年間でかなりの拡大を見込んでおり、数値目標についてはチャレンジングであると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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