
年金額は、現状では物価変動率や名目手取り賃金変動率により改定率が決定して、毎年度改定する仕組みです。年金額の改定率は、物価変動率や名目手取り賃金変動率とマクロ経済スライドによる調整率により決まります。
令和7年1月24日に「令和6年平均の全国消費者物価指数」が総務省から公表され、令和7年度の年金額の改定率は令和6年度よりも1.9%の引き上げと決定しました。
今回は、令和7年度の老齢基礎年金満額など年金額改定について解説していきます。

年金額の改定率
年金額の改定率は、物価変動率や名目手取り賃金変動率からマクロ経済スライドによる調整をして算出されます。
令和7年度の物価変動率、名目手取り賃金変動率、マクロ経済スライドによる調整率は以下です。
物価変動率:2.7%
名目手取り賃金変動率:2.3%
マクロ経済スライドによる調整率:-0.4%
物価変動率が名目手取り賃金変動率よりも変動率が上回っている場合には、年金額の改定率は物価変動率ではなく名目手取り賃金変動率を用いて改定することになっています。
そのため、令和7年度の年金額の改定率は、以下の計算式で計算されます。
2.3%(名目手取り賃金変動率)-0.4%(マクロ経済スライドによる調整率)=1.9%(令和7年度の年金額の改定率)
令和7年度の老齢基礎年金の満額
老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、原則65歳から受給可能です。ただし、老齢基礎年金を満額受給するためには、国民年金の加入期間である480か月の保険料納付済期間が必要になります。
令和6年度の老齢基礎年金の満額は、 新規裁定者(67歳以下)が月額6万8,000円、既裁定者(68歳以上)が月額6万7,808円になります。令和7年度の老齢基礎年金の満額は、 新規裁定者(67歳以下)が月額6万9,308円(+1,308円)、既裁定者(68歳以上)が月額6万9,108円(+1,300円)です。
令和7年度の老齢厚生年金額の例

令和7年度の夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は、月額232,784 円です。
令和6年度の月額228,372円よりも、4,412円引き上げになっています。
令和7年度の夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額とは、以下になります。
男性の平均的な収入(賞与含む平均標準報酬45万5,000円)で 40年間働いた場合の老齢厚生年金の受給額+夫婦2人分の満額の老齢基礎年金の受給額
令和7年度の年金額改定では昨今の物価高には到底追いついていない
令和7年度の年金額改定は、このように老齢基礎年金の満額で月額約1,300円、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額で月額約4,400円引き上げられています。しかし、月額この程度の引き上げでは、昨今の物価高には到底追いついていないように感じます。