室町ケミカル Research Memo(6):2032年5月期に売上高100億円・営業利益率10%以上を目指す(1)
室町ケミカルは2032年5月期に売上高100億円、営業利益率10%以上を目指しています。2025年の中期経営計画では売上高70億円以上、営業利益6億円以上を掲げていますが、医薬品事業と化学品事業の競争激化により目標に達しない可能性があります。また、賃金改定や開発部門の経費増加が利益を圧迫しています。しかし、医薬品事業では輸入原薬の拡販や新製品の開発、健康食品事業ではODM製品の拡販や高齢者向け製品の強化などで成長を図っています。これら戦略を通じて、さらなる収益成長が期待されます。
2. 中期経営計画と長期ビジョン
(1) 「中期経営計画2025」の進捗状況
同社は2022年7月に「中期経営計画2025」(2023年5月期~2025年5月期)を発表した。新製品・新商品の開発と成長投資の実行により、継続的成長と企業価値の向上を目指す方針を打ち出し、経営数値目標として2025年5月期に売上高70億円以上、営業利益6億円以上、自己資本比率35%以上、ROE15%以上を掲げた。
中期経営計画の経営数値目標に対して、2025年5月期の業績計画は売上高、営業利益ともに若干下回る見通しとなっている。売上高に関しては、医薬品事業において抗てんかん薬用原薬が競争激化で計画を下回ること、また化学品事業においてイオン交換樹脂の売上拡大ペースが想定をやや下回っていることが要因だ。利益面では、売上未達による売上総利益の減少に加えて、当初の計画には織り込んでいなかった賃金改定実施による人件費の増加や、医薬品開発センター移転に伴う開発部門の経費増加が要因となっている。ただ、各事業部門における成長戦略については着実に進んでいるものと評価され、2026年5月期以降のさらなる収益成長が期待できる状況になっていると弊社では考えている。
(2) 事業別成長戦略
a) 医薬品事業
医薬品原薬・中間体の国内における市場規模は5千億円前後と推計されており、このうち同社が主力としている後発医薬品市場については、政府目標80%シェア※の後押しもあり今後も安定した需要が見込まれる。一方で、薬価引き下げに対応した原価低減や、カントリーリスクも踏まえた安定的な供給体制の確立、特定の製品動向に左右されない安定した収益基盤の確立(製品アイテム数の拡充)が事業拡大に向けた課題となる。
※ 後発医薬品の使用について、2029年度末までに「全ての都道府県で数量シェア80%以上」を目標として設定している。
こうしたなか、同社は成長戦略として以下の5点に取り組んでいる。
・輸入原薬の横展開によるシェア拡大
・特異技術による自社新製品の立ち上げ
・治験薬の受託合成による新薬開発サポート
・多拠点(欧州~東アジア)からの調達ネットワーク構築
・新規海外調達先の日本品質基準への対応サポート
輸入原薬や自社製造品については、着実に新規アイテムを追加しており、設備投資の実施により治験薬からの新薬開発サポート体制も整備した。海外調達先についてもカントリーリスクを考慮し、欧州や中国に加えてインドの開拓も進めている。また、医薬品開発センターの移転によって、アカデミアやスタートアップ企業との交流による共同研究が進めやすくなり、開発力強化につながるものと期待される。
2025年5月期の業績目標として、売上高3,500百万円、営業利益360百万円を掲げていたが、既述のとおり抗てんかん薬用原薬の競争激化を主因として売上高は若干下振れする可能性がある。営業利益に関しては人件費や開発部門経費などの増加があるものの、自社製造品の原価低減や販売価格見直しによる原価率の改善によって、ほぼ計画どおりに推移することが予想される。同社は今後も商社機能(海外調達力)とメーカー機能(自社開発能力)を持つ強みを生かして、国内での販売シェア拡大を目指す方針だ。
b) 健康食品事業
国内の健康食品市場は9千億円前後と推計される。今後の市場見通しとしては、健康・美容意識の高まりを背景に、高齢者や女性層を中心に需要は堅調に推移することが予想される。一方で、競合環境は食品メーカーだけでなく医薬品メーカーなども参入するなど激化しており、同市場で収益を拡大するにはコスト競争力の向上や、味覚を含めて簡便に健康食品を摂取できる製品の企画提案・開発力が求められ、主力製品となりうる品目を拡充していくことが課題となる。
こうしたなか、同社は成長戦略として以下の5点に取り組んでいる。
・通販業者向けODM製品の拡販
・原材料メーカーとの協業による顧客獲得
・機能性表示に対応した製品の企画・提案
・高齢者向け製品への応用加速
・容量増に対応できる「Tパウチ・ショット」の拡販
2025年5月期の業績目標として、売上高1,000百万円、営業利益70百万円を掲げており、売上目標については射程内と見られる。一方、営業利益については賃金改定による人件費増などにより若干未達となる可能性がある。同社は従来、美容健康分野を中心に製品開発を行っていたが、今後は成長期待の大きい高齢者向け健康食品市場をターゲットに、フレイル化※を予防するための高カロリー・高たんぱく製品などの開発も強化する方針だ。2026年5月期以降は顧客からの要望を含めて開発案件数を増やし、売上規模の拡大と原価率改善に取り組みながら安定成長を目指す。
※ 高齢化とともに筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい状態のこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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