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室町ケミカル Research Memo(2):創業100年を超える医薬・健康食品・化学品メーカー(1)


室町ケミカルは1917年に設立され、医薬品、健康食品、化学品を手がける老舗メーカーです。創業初期には目薬の製造・販売を行っていましたが、歴史の中で様々な事業を展開してきました。2014年にはムロマチテクノスと統合し、医薬品原薬の輸入販売事業や化学品事業を拡大しました。現在、主に医療用医薬品の原薬の輸入・製造を行い、特に抗てんかん薬用原薬が主要な売上を支えています。同社は2021年に東京証券取引所JASDAQに上場し、2022年に東証スタンダード市場に移行しました。競争力の源泉は広範な技術とノウハウにあり、製薬企業への供給体制を整えることで、収益の安定化を図っています。最近では輸入コストの上昇を背景に、医薬品開発依頼が増加しています。

*12:02JST 室町ケミカル Research Memo(2):創業100年を超える医薬・健康食品・化学品メーカー(1) ■室町ケミカル<4885>の会社概要

1. 会社沿革
同社は明治時代に福岡県で目薬の製造・販売を開始したのが始まりで、1917年に大洋製薬(資)を設立、1944年の戦時下に会社を解散し一時廃業したものの、1947年に鉄ペプトン製薬(有)として再設立された。

1952年に社名を天洋社薬品工業(株)に変更、1971年にはムロマチテクノス(株)(旧室町化学工業(株))が資本参加しムロマチグループの一員となり、1998年に社名を現在の室町ケミカル(株)に変更した。2014年には同社を存続会社としてムロマチテクノスを経営統合したのを機に、ムロマチテクノスで手掛けていた医薬品原薬の輸入販売事業や化学品事業が新たに加わった。

健康食品事業については1981年に錠剤タイプからスタートし、2006年にゼリー製造工場を新設して、本格的に事業展開を進めた。2011年にはディーゼルエンジン車の排ガス処理に用いられる尿素水(AdBlue(R))事業を開始し、2014年には医薬品原薬合成事業への本格参入を目的に、東進ケミカル(株)を子会社化(2017年吸収合併)するなど積極的に事業領域を拡大した。メッキ処理事業や機能性樹脂コンパウンド事業なども立ち上げたが、収益化が困難と判断しいずれも5年前後で事業撤退を決定するなど事業継続の判断については比較的早い意思決定が行われている。

株式については、2021年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場し、2022年4月の市場区分見直しにより、東証スタンダード市場に移行している。


医薬品事業と化学品事業は商社・製造機能を持ち、健康食品事業はODM/OEMビジネスを主に展開

2. 事業内容
同社は医薬品事業、健康食品事業、化学品事業の3つの事業を展開しており、3事業で有する幅広い技術・ノウハウが競争力の源泉となっている。

2021年5月期以降の事業別売上構成を見ると、医薬品事業が5割強、化学品事業が3割強、健康食品事業が1割強で推移している。営業利益率では医薬品事業が10%台で推移しているのに対して、化学品事業と健康食品事業は水面下で推移しており、利益ベースでは医薬品事業に依存する状態が続いている。製造拠点は、本社工場(福岡県大牟田市)とつくば工場(茨城県下妻市)があり、2024年5月末時点の従業員数は205名となっている。

(1) 医薬品事業
医薬品事業では、メーカー機能と商社機能を併せ持ち、主に医療用医薬品※の有効成分である原薬に関わる様々なサービス(輸入・製造・加工・分析)を提供している。2024年5月期の売上構成比は原薬の輸入販売で51%、医薬品合成・精製などで42%、その他で8%となっている。

※ 病院で医師の診断をもとに処方してもらう医薬品。

輸入については、欧州や中国メーカーなどから15品目前後の原薬を仕入れており、なかでも抗てんかん薬用原薬が売上高の6割程度を占めている。また、自社製造品については本社工場で原薬を合成するほか、異物除去や精製などの加工にも対応しており、現在は15品目前後を製造販売している。主要製品は腎不全に伴う高カリウム血症改善薬用原薬で、自社製造品の5~6割を占めている。自社製造プロセスは、化学品事業で培った分離・精製技術を活用することで効率化・高品質化を実現するなど、独自技術を持っていることが特徴となっている。販売先は、国内の製薬企業または商社となり、主に後発医薬品向けに販売している(大手3社とはすべて取引実績有り)。その他の売上高には、主に医薬品や農薬の研究で使用されるラジオアイソトープ※標識化合物の輸入販売が含まれる。

※ 放射性同位元素。放射線を出す性質のある元素で、化合物の追跡や分析に使用される。

ビジネスの流れとしては、顧客(製薬企業)の要望に応じて治験薬用原薬の開発から受注するケースと、上市済みの医薬品に対して製薬企業がコスト低減や調達リスクへの対応を図るため原薬の調達先を切り替える際に受注するケースがあるが、売上高の大半は後者のケースである。ここ最近は輸入原薬のコストが上昇するなかで、顧客からの開発依頼が増加傾向にある。なお、輸入については外貨建て取引となるが、為替変動が生じた際には多くの取引先とは一定の条件で価格調整を行う契約となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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