室町ケミカル Research Memo(4):2025年5月期中間期の業績は原価率改善効果で増収増益に
室町ケミカルの2025年5月期中間期の業績は、原価率改善の効果により増収増益を達成しました。売上高は前年同期比1.8%増の2,965百万円、営業利益は34.0%増の154百万円、経常利益は55.4%増の171百万円、中間純利益は29.5%増の120百万円でした。医薬品事業では輸入原薬の競争激化により減収減益となったが、健康食品事業と化学品事業はそれぞれ増収や損益改善が進みました。特に健康食品事業は新規OEM案件の寄与で黒字転換し、化学品事業も売上が過去最高を更新しました。本社計画よりも多くの利益を上げた要因には、主要顧客の生産スケジュール変更や設備投資の遅れなどがあります。医薬品開発センターの移転により、新たなビジネス機会の創出も期待されています。
1. 2025年5月期中間期の業績概要
2025年5月期中間期の業績は売上高で前年同期比1.8%増の2,965百万円、営業利益で同34.0%増の154百万円、経常利益で同55.4%増の171百万円、中間純利益で同29.5%増の120百万円となった。中間期として売上高は2期ぶりの増収、各利益は3期ぶりの増益に転じた。期初会社計画に対しても売上高は概ね計画どおりに推移し、各利益については上振れて着地した。
売上高は医薬品事業で前年同期比172百万円の減収となったものの、健康食品事業が同144百万円、化学品事業が同80百万円の増収となり、全体では若干ながら増収となった。営業利益の増減要因については、増収効果で14百万円、工場稼働率の向上や販売価格の見直し、在庫増加などによる原価率の改善で47百万円の増加となり、人件費や開発部門経費など販管費の増加22百万円を吸収した。また、営業外収支が同21百万円改善したが、主に為替差益の増加11百万円や補助金収入の計上5百万円による。
会社計画比で営業利益が54百万円上振れた要因は、主要顧客の生産スケジュールの見直しを受けた一時的な製品在庫増加の影響や、設備投資のずれ込みにより減価償却費が計画を下回ったことなどである。
医薬品事業で減収減益、健康食品事業や化学品事業は損益改善が進む
2. 事業セグメント別動向
(1) 医薬品事業
医薬品事業の売上高は前年同期比11.3%減の1,352百万円、営業利益は同16.0%減の166百万円と2期連続で減収減益となった。
売上高の内訳を見ると、輸入原薬は複数の取扱品目で新規納入が始まったものの、競争激化による抗てんかん薬用原薬の落ち込みをカバーできず、前年同期比18.3%減の725百万円となった。抗てんかん薬用原薬については直近1~2年で複数の外資系メーカーが日本市場に参入し始めた影響が出ている。一方、自社製造品については主力製品の大口顧客の生産スケジュール変更により、納期が下期にずれ込み同1.9%減の551百万円となった。
売上総利益は前年同期比26百万円の減益となった。売上原価率は、納期変更に伴う製品在庫増の影響や工場稼働率の上昇、並びに輸入商品の販売価格見直しが進んだことにより改善したものの、売上減の影響をカバーしきれなかった。また、2024年5月に医薬品開発センターを移転したことに伴う、開発部門費用の増加も減益要因となった。
医薬品開発センターの移転先である「三井リンクラボ柏の葉」(千葉県柏市)は、近隣に国内有数のアカデミアや医療施設が拠点を置く立地特性を生かした「シーズ近接型」のラボ施設であり東大医学部の研究室も入居している。最先端の実験設備を共用できるほか、テナント内の企業同士や近隣のアカデミアの研究者との人材交流を図る機会も持てることから、共同研究案件など新たなビジネス機会の創出につながるものと期待される。
(2) 健康食品事業
健康食品事業の売上高は前年同期比38.2%増の523百万円、営業利益は5百万円(前年同期は27百万円の損失)と3期ぶりに黒字転換した。
増収要因の半分以上は、前第3四半期に販売を開始した通販会社向けの新規大型OEM案件の寄与による。利益面では、工場稼働率の向上と販売価格見直しによる原価率の改善効果が継続したことにより、売上総利益で同43百万円の増益となった。開発力強化に向け人員を拡充したことにより販管費が若干増加したものの、売上総利益の増加で吸収した。
(3) 化学品事業
化学品事業の売上高は前年同期比8.0%増の1,089百万円と過去最高を連続更新し、営業損失は17百万円(前年同期は55百万円の損失)と若干縮小した。
売上高の内訳を見ると、イオン交換樹脂・分離膜が仕入販売品を中心に販売が増加し前年同期比20.5%増の606百万円と大幅増となったほか、化学品受託加工が同4.9%増の274百万円、その他が同4.6%増の208百万円といずれも堅調に推移した。水処理装置の売上は無かったが当初計画どおりである。
利益面では、増収効果に加えて製造体制見直しの効果により原価率改善が進み、売上総利益が同44百万円の増益となった。また、販管費は高機能イオン交換樹脂の新市場開拓や、PFAS(有機フッ素化合物)問題などの新たな社会課題を見据えて開発・販売体制を拡充したこと、自社の技術をアピールするため展示会への出展や学会での講演・発表などを積極的に行ったことにより若干増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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