ビーアンドピー Research Memo(1):シェア・機能・領域の3つの戦略とM&A実行で成長を加速
ビーアンドピーは、大阪市を拠点とする販促広告制作企業で、デジタル技術の活用による事業拡大を推進しています。同社は2024年10月期において、売上高3,536百万円、営業利益550百万円を達成し、3つの拡大戦略により成長を続けています。キーとなる戦略は、「シェア拡大」「機能拡大」「領域拡大」で、インクジェットプリントの成長やM&Aの実行により事業の幅を広げました。2025年10月期には、売上高4,300百万円、営業利益631百万円を目指し、デジタルクリエイトやプリントソリューションの強化、M&Aによる競争力向上への期待が寄せられています。また、2024年11月にM&Aで連結したイデイとのシナジー、及びデジタルサイネージ市場での新たな取り組みが成長を支える重要な要素となっています。さらに、中期経営計画ではDXや環境意識の高まりに対応し、持続可能な成長を目指しています。
ビーアンドピー<7804>は大阪府大阪市に本店を、東京都中央区に本社を置く、インクジェットプリントサービスに強みを持つ販促広告制作企業である。デジタル技術の進歩により紙媒体からデジタル媒体への転換が進み、広告や印刷の在り方も変化しているなか、「時流適合」を目指し、既存のインクジェットプリント事業にデジタルサイネージの販売やAR(拡張現実)を活用した販促などのデジタルクリエイトという新規事業を融合することによって、「リアル領域」と「デジタル領域」を融合させた付加価値の高い販促・マーケティングソリューションを提供する。また、オフセット印刷・シルクスクリーン印刷・オンデマンド印刷などの少品種多量生産やオーダーグッズ制作やEC販売も手掛け、販促に関するサービスをワンストップでサポートする体制を強化している。
1. 2024年10月期の業績概要
2024年10月期の業績は、売上高3,536百万円(前期比11.4%増)、営業利益550百万円(同21.7%増)、経常利益551百万円(同21.6%増)、当期純利益391百万円(同30.6%増)となった。売上高は過去最高を更新し、営業利益ほか各段階利益も大幅な増益となった。「シェア拡大」「機能拡大」「領域拡大」の3つの重点戦略を積極的に実行し、売上の過半を占めるインクジェットプリントが順調に推移するとともに、領域拡大を進めてきたデジタルクリエイト、プリントソリューション、オーダーグッズ制作などの新規事業が伸長した。営業人員増強などによる人件費増、2024年10月に決定した(株)イデイ(本社:大阪市)のM&A仲介手数料等により販管費が増加したが、増収と生産の効率化・スマートファクトリー化などにより吸収し、営業利益率は15.6%と前期を1.4ポイント上回った。また、株主還元策充実に向け株主優待制度を開始し、1株当たり配当金も期初計画を10.0円上方修正し、前期比17.0円増配の60.0円とした。
2. 2025年10月期の業績見通し
2025年10月期の連結業績は、売上高4,300百万円(前期比21.6%増)、営業利益631百万円(同14.6%増)、経常利益631百万円(同14.5%増)、親会社株式に帰属する当期純利益426百万円(同8.7%増)と増収増益を見込む(連結決算移行のため前期比増減率は参考値)。M&Aや業務提携の実行により3つの拡大戦略をさらに推し進め、売上高は過去最高を更新、営業利益は上場来最高益を更新する見通しだ。2024年11月にイデイをM&Aで連結子会社化したが、多くの顧客を抱え、同社にはないサービスを提供する広告代理店かつ広告・企画制作会社であるイデイとのシナジー効果は大きなものとなる。また、同年12月に業務提携したシンガポールZKDigimax Pte. Ltd(ゼットケーデジマックス)のデジタルサイネージ製品とAIカメラで把握した来店客の属性情報に対応した広告内容を配信するシステムの販売は、国内デジタルサイネージ市場での競争力を高めるであろう。そのほか、大阪・東京地区での営業人員強化によるインクジェットプリントのシェア拡大、プリントソリューションの営業体制強化、オーダーグッズ制作のIP(知的財産)ライセンスビジネスへの本格展開を目指したIPコンテンツ関連の生産体制強化などの取り組みを進め、前期の施策を成熟させ、次の飛躍に向けた足場の強化と成長準備を進める計画だ。1株当たり配当金は70.0円と2期で連続大幅な増配を見込む。
3. 中期経営計画
同社は2024年10月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画に取り組んでいる。デジタル印刷市場の拡大、社会のDXなどによる新テクノロジーの社会実装本格化、世界的な環境意識の高まりといった事業環境の変化を受け、高成長・高収益経営の実現に向けて「One&Only 唯一無二のアプローチで次の時代の競争優位性をつくる」ことを中期ビジョンとして掲げた。引き続き「シェア拡大」「機能拡大」「領域拡大」という3つの重点戦略を実行し、2026年10月期で売上高5,000百万円、営業利益750百万円、営業利益率15.0%、ROE10.0%以上、配当性向40.0%という数値目標の達成を目指す。具体的には、メーカーや広告主の顧客数を3年間で30%増加させ売上高の拡大を図りつつ、生産効率化、工程のDXに向けて3年間で250百万円の投資を計画している。また、新たに「お客さまのブランドストーリーを形にし、人々の生活をより楽しく、記憶に残るものにする」という企業パーパスを定め、プロフェッショナル人材の採用・育成、人事制度の整備や組織の活性化などのパーパス経営を実践するとともに、ダイバーシティ&インクルージョン、環境配慮型商品の拡販などのサステナビリティアクションを進めている。
■Key Points
・2024年10月期は「シェア拡大」「機能拡大」「領域拡大」戦略の着実な実行により増収増益
・2025年10月期も増収増益見込みで、M&Aの実行と3つの拡大戦略により成長を加速する
・2025年10月期は1株当たり配当金を10.0円増配し70.0円とし、2期連続大幅な増配を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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