アンジェス Research Memo(1):「コラテジェン」は米国での良好な治験結果を受け、上市に向けて一歩前進
アンジェス株式会社は、大阪大学発のバイオベンチャーとして、遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指しています。同社が開発中のHGF遺伝子治療製品「コラテジェン」は、米国での第2相臨床試験において良好な結果を示し、FDAからブレイクスルーセラピーに指定されました。これにより、2026~2027年にかけての上市が期待されています。さらに、アンジェスは遺伝性疾患のスクリーニング検査を行う「アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー」を開設、検査受託サービスを開始しました。また、早老症治療剤「ゾキンヴィ」の売上も2025年までに倍増が見込まれています。業績面では、検査事業の成長とともに営業損失の縮小が期待されていますが、資金調達が必要とされています。
アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。2020年に先進ゲノム編集技術の開発を行うEmendoBio Inc.(以下、Emendo)を子会社化したほか、2021年には国内で希少遺伝性疾患の新生児向けオプショナルスクリーニング検査※を行う衛生検査所「アンジェスクリニカルリサーチラボラトリー(以下、ACRL)」を開設し、検査受託サービスを開始した。
※ 公費負担ですべての新生児に実施しているマススクリーニング検査に含まれていない9疾患に対する有償検査サービスで、(一社)希少疾患の医療と研究を推進する会(以下、CReARID(クレアリッド))から受託して実施している。
1. 「コラテジェン」の動向
HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン」に関する米国での後期第2相臨床試験(下肢潰瘍を有する軽度から中等度の閉塞性動脈硬化症を対象)のトップラインデータが、2024年11月に開催された米国心臓病学会において治験担当医師から発表された。要旨は、治癒までの期間がプラセボ群に対して「コラテジェン」は大幅に短縮できたこと、治癒率もプラセボ群を有意に上回る結果が得られたことなどから、既存治療法の有望な代替手段となる可能性があると結論付けた。詳細内容については、有力学術誌での論文掲載を待って同社も発表する予定だ。今後の開発方針はFDAと協議のうえ決定することとなるが、同社は迅速承認を含め早期の承認を目指す意向であり、第3相臨床試験に進んだ場合も、良好な治験結果から症例数は後期第2相臨床試験と同程度の水準になる可能性があると弊社では見ている。2024年9月にはFDAよりブレイクスルーセラピー(画期的新薬)※に指定されたことで、各種手続きや審査等もスムーズに進む見通しで、順調に進めば2026〜2027年頃に上市される可能性がある。米国での対象患者数は数万人規模と見られ、1千億円超の売上ポテンシャルが期待されるだけに、今後の動向が注目される。
※ ブレイクスルーセラピー指定制度:重篤な疾患や生命を脅かす疾患に対する新規治療薬の開発と審査を迅速化することを目的にFDAが導入した制度で、臨床試験の結果などをもとに指定する。
2. ACRLの取り組み状況
新生児を対象とした希少遺伝性疾患の検査事業は順調に受託件数が増加しており、2024年12月期の売上高は前期比2.5倍増の2.9億円程度となる見通し。2025年12月期も受託契約自治体数の増加を背景にさらなる成長が見込まれており、能力増強により対応していく。また、確定診断※として用いられる遺伝学的検査も、早老症治療剤「ゾキンヴィ」の発売(2024年5月)に合わせて適応疾患を対象に開始したほか、拡大新生児スクリーニング検査の対象疾患についても受託を開始した。さらに、治療効果のモニタリングを行うためのバイオマーカー検査にも領域を拡大する予定で、希少遺伝性疾患検査に関するワンストップサービス体制を構築し、医療関係者や患者ニーズに応える方針だ。
※ スクリーニング検査の結果で疾患の疑いがある場合、また、発症した症状から該当の疾患である可能性がある場合に、その病気の原因となる遺伝子変異の有無を確認することで該当の疾患かどうかを確定させる検査(確定検査)。
3. 業績動向
2024年12月期第3四半期累計の業績は、事業収益が471百万円(前年同期比368百万円増)、営業損失が7,042百万円(同2,165百万円減)となった。事業収益は、検査事業の成長や「ゾキンヴィ」の販売開始、スウェーデンのAnocca AB(以下、Anocca)※からのライセンス契約一時金受領などが増加要因となった。営業損失の縮小は、Emendoの研究開発体制再編による研究開発費の減少(同1,910百万円減)が主因だ。2024年12月期の事業収益は600百万円(前期比447百万円増)、営業損失は8,450百万円(同3,517百万円減)を見込む。検査事業の拡大や「ゾキンヴィ」の売上計上等が増収要因となる。研究開発費の減少により営業損失は縮小する見込みだが、為替が想定(142円/米ドル)より円安で推移し外貨建てコストが嵩上げされていることから、損失額は計画よりもやや膨らむ可能性がある。なお、2024年9月末の現金及び預金は2,916百万円と資金調達が必要な状況にある。このため、同社は2024年9月に発行した第三者割当による第45回新株予約権の行使を進めることで、当面の事業活動資金を調達することにしている。
※ 2014年に設立されたバイオベンチャーで、科学者、エンジニア、ソフトウェア開発者を中心に従業員数は100名を超える。特定の抗原を認識するTCRを発現するT細胞を選別、培養する技術を保有しており、複数のがん標的に対するTCR-T細胞療法のライブラリーを持ち、40を超える製品候補を抱えている。
■Key Points
・米国心臓病学会で治験担当医師がHGF遺伝子治療用製品の良好な治験結果を発表
・早老症治療剤「ゾキンヴィ」の売上高は2025年12月期に2倍増となる見通し
・検査事業はスクリーニング検査から遺伝学的検査、バイオマーカー検査まで包括的に提供する体制の構築を進める
・Emendoの事業構造改革実施により2024年12月期の営業損失は縮小する見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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