ファインデクス Research Memo(6):2024年12月期は期初計画を据え置いて増収増益予想
ファインデクスは、2024年12月期の業績予想を発表し、売上高5,782百万円(前期比11.4%増)や営業利益1,574百万円(同5.2%増)など増収増益を予想しています。医療ビジネスの拡大と公共事業の成長が売上増に寄与する見通しです。同社は、中期計画「Vision for 2025」を進行中で、医療DX市場拡大を背景に成長を見込むとし、戦略としてクラウドサービスの拡大や医療情報プラットフォームの創設を推進しています。医療DXや次世代医療基盤法の進展が追い風とされ、電子カルテの普及や医療情報の標準化に対応して今後も医療・公共分野での事業を強化しています。
● 2024年12月期の業績予想
2024年12月期の連結業績予想は期初計画を据え置いて、売上高が前月期比11.4%増の5,782百万円、営業利益が同5.2%増の1,574百万円、経常利益が同4.2%増の1,591百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.6%増の1,097百万円を見込んでいる。利益面は戦略的な人的投資の継続により人件費が増加するため小幅増益にとどまるが、売上面は医療ビジネスの拡大や公共ビジネスの成長により2桁増収を見込む。なお従業員数については通期で20名増員を計画(第3四半期時点で17名増員)している。
通期予想に対する第3四半期までの進捗率は売上高が74.5%、営業利益が71.5%、経常利益が71.2%、親会社株主に帰属する当期純利益が75.8%とおおむね順調である。ヘルステックビジネスは販売戦略が遅れているが、医療ビジネスにおいて病院等への新規・追加導入が増加基調であること、公共ビジネスの成長が加速していること、第4四半期の構成比が高い特性があることなどを勘案すれば、通期ベースでも好業績が期待できると弊社では見ている。
■成長戦略
中期経営計画「Vision for 2025」
1. 中期経営計画「Vision for 2025」
同社は、企業理念である「価値ある技術創造で社会を豊かにする」の実現に向けた成長戦略として、中期経営計画「Vision for 2025」(2021年12月期~2025年12月期)を策定し、最終年度2025年12月期の経営目標数値(2023年2月13日付で修正値を公表)に売上高6,330百万円(医療ビジネス5,320百万円、公共ビジネス330百万円、ヘルステックビジネス680百万円)、経常利益2,100百万円、経常利益率33.2%、1株当たり配当金18.0円、配当性向31.2%を掲げている。
基本戦略としては、(1) 経営資源の集中(成長を支え続けられる医療システムビジネスの再構築、M&Aによる事業規模拡大、パートナーセールス部門の強化)、(2) 高度な研究開発の促進(研究開発型企業としてのアイデンティティ再定義、内部教育体制の充実・経営層も含めた流動的な人材配置、優秀な人材の確保と育成)、(3) サスティナブルな社会形成への貢献(気候変動を巡る国際的なイニシアティブへの賛同と対応、医療格差の是正や人々のウェルビーイング向上への寄与、ガバナンスの充実とダイバーシティ&インクルージョンの推進)を掲げている。
医療ビジネスは、大規模病院を中心に既存顧客へのクロスセルの徹底、パッケージ製品の代理店販売拡大によるさらなる高利益率化、医療DXを支える自社開発の次世代インフラ機能のマーケットへの浸透などを事業戦略として推進する。パートナーセールス部門の強化については、2025年までに大規模医療機関のシステム導入の20%を代理店に移管する方針である。公共ビジネスは、公文書管理・電子決裁システム「DocuMaker Office」をコア商材として、マーケットサイズの大きい独立行政法人、公社・公益法人、大規模自治体への拡販を推進する。ヘルステックビジネスは、国内では医療機器ディーラーへ視線分析型視野計「GAP」の技術的説明が可能な人材を育成・配置し、コンサルティングセールス体制の確立を推進する。海外ではEU、インド、ASEAN地域、米国の各リージョンでの販売体制を整備して「GAP」の拡販を推進する。
医療業界の動向に関する注目点としては、医療DXに向けて厚生労働省が進める「医療DX令和ビジョン2030」と、内閣府が進める「改正次世代医療基盤法」がある。
厚生労働省は2022年5月に掲げた「医療DX令和ビジョン2030」において、医療DXの実現に向けて「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化等」「診療報酬改定DX」の3つの取組を同時並行で進めることが重要であるとした。「全国医療情報プラットフォームの創設」は医療情報がやり取りされるインフラを構築し、特定健診、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療情報の共有・交換を可能にする。「電子カルテ情報の標準化等」は医療機関ごとに異なる電子カルテ情報の規格を標準化することで、医療機関等での閲覧が可能になるほか、国民はマイナポータル上で自身のデータを確認できる。厚生労働省は2030年の電子カルテ普及率100%の実現を目指している。「診療報酬改定DX」は、医療機関(病院、診療所、薬局、訪問看護ステーション)における負担の極小化を目指す取組である。診療報酬改定に関する作業を大幅に効率化することで医療機関のシステム改修コストを削減するほか、公費が生じる難病や障害における受給資格等に関する業務負担の軽減も目指す。
内閣府が進める「改正次世代医療基盤法」は医療情報を利用した研究開発を促進する法律で、2018年5月に施行された「次世代医療基盤法」が2024年4月に改正施行された。新たに「仮名加工医療情報」を作成・利用できる仕組みを創り、より有益なデータ提供が可能になるよう改正され、より希少な症例などのデータ提供が可能になった。さらに、患者本人の仮名加工の同意書の電子化が可能になったほか、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)、介護保険総合データベース(介護DB)、匿名診療等関連情報データベース(DPCDB)などの公的データベースと連結解析できる状態で研究者等に提供できるようになった。これまでは「次世代医療基盤法」の利用が進んでいなかったが、今回の改正によって利用が促進されるものと期待されている。
このように政府が進める医療DXは、電子カルテ標準化や医療情報共有化などを通じて医療費の適正化や医療アクセスの向上を目指すとともに、医療・介護分野での予約・診療・決済・服薬管理などにおける患者の利便性向上と事業者の管理業務効率化を目指している。そして今後、こうした医療DXの流れの加速が予想されることを背景に、同社は「Add on 収益」と「ターゲット拡大」の2つの方向性での成長戦略を推進する方針だ。「Add on 収益」は同社が強みを持つ大規模病院向けに、従来のオンプレミス製品をベースとして、クラウドサービス「PiCls」シリーズなどのアップセル・クロスセル戦略によって付加的な収益の積み上げを推進する。「ターゲット拡大」は、これまでメインターゲットとしていなかった中・小規模病院やクリニックなどの領域に、「DocuMaker Cloud」や「CocktailAI」等のクラウド製品の拡販を推進する。同社のビジネスモデル・事業戦略にとって医療DXの流れは追い風と弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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