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DDグループ Research Memo(10):ブランド強化や事業領域拡大で顧客接点を増やしLTVの最大化目指す(2)


DDグループは、2026年2月期の財務目標として、連結売上高400億円と連結営業利益率10%を掲げ、収益構造の変革に取り組んでいます。売上拡大と収益性向上を図るため、投資の選択と集中を行い、利益率15%以上の事業セグメントやストックビジネスの創出に注力しています。2024年2月期には財務体質の改善を実現し、次なる成長への準備を進めています。また、3年間で約180億円の投資原資を予定し、持続可能な成長を目指す中期計画を推進中です。非財務目標としては、女性管理職比率維持やCO2排出削減に努め、サステナビリティ推進委員会を設立しました。今後の成長に向けて、各種の外部リソースや地域連携の強化、グーグル・クラウドとの協業を通じたLTV最大化にも期待が寄せられています。優先株式の償還を見据えたBS改善が進めば、新たな成長ステージへと動き出すことが期待されます。

*14:10JST DDグループ Research Memo(10):ブランド強化や事業領域拡大で顧客接点を増やしLTVの最大化目指す(2) ■今後の成長戦略

3. 計数目標
(1) 財務目標
DDグループ<3073>の最終年度(2026年2月期)の財務目標として、連結売上高400億円、連結営業利益40億円(営業利益率10.0%)、ROE20%以上を掲げている※。特徴的なのは、投資の選択と集中による財務体質の強化を図りつつ、利益率15%以上の事業セグメント創出(例えば、空間活用ノウハウやIPコンテンツを生かしたサービス領域等)やストックビジネスの拡充(例えば、貸コンテナやシェアハウスなど不動産ビジネスなど)により、収益構造の変革に取り組む点であり、これまでの外食を中心とする利益率10%未満のビジネスモデルやフロービジネスからの脱却を目指す。1年目(2024年2月期)の進捗については、BSの改善(D/Eレシオ4.1倍→2.1倍)、PLの改善(営業利益率1.4%→8.7%)、FCF(資本効率)の改善(ROE 17.4%→46.6%)などで目覚ましい成果をあげることができた。

※ 2024年4月19日付け上方修正後の目標数値である。2024年2月期業績が計画を上回ったことを踏まえ、最終年度(2026年2月期)の連結営業利益目標を28億円(営業利益率7.0%)から40億円(同10.0%)、連結経常利益目標を27億円から39億円に上方修正した。

(2) キャッシュ・アロケーションの考え方
3年間の営業CFは合計約80億円を見込むとともに、手元資金(運転資金を除く)約100億円と合わせると約180億円の原資を想定している。そこから持続的な成長に向けた投資や、経営体質強化のための有利子負債の弁済にバランスよく配分するほか、中期経営計画の実現とともに株主還元も並行して検討する考えだ。1年目(2024年2月期)については、BSやPLの改善を優先してきたが、一定の目途がついたところで、M&Aを含む成長投資の再開に加え、株主還元も検討していくようだ。A種優先株式※に係る優先配当が普通株式配当の実現に向けてボトルネックになっているが、現在のキャッシュポジションを勘案すると今後A種優先株式の早期償還が進むことが期待される。これにより普通株式の復配への期待も高まるであろう。

※ 議決権がない代わりに、普通株式に優先して配当を受け取ることのできる株式のこと。同社は2022年1月にコロナ禍において財務の安全性を維持するため50億円を発行し、契約に基づき年間2億円の優先配当を行っている。

(3) 非財務目標
女性管理職比率は現状水準(24.2%)を維持する計画である。また、気候変動対応については、引き続きCO2排出削減などに取り組んでいく。2024年2月15日には、サステナビリティ推進委員会を設置し、環境や社会課題の解決、ガバナンス向上に向けた取り組みを推進する体制を整えた。今後、各マテリアリティの特定やその対応、TCFDに準拠した開示なども検討していく方針だ。

4. 中長期的な注目点
外食業界は市場の伸びが期待できないうえ、競争の激化や消費者嗜好の変化などに直面し、将来に向けた変革をどう進めるかが重要なテーマになってきたが、そこにコロナ禍の影響やニューノーマルが重なり、まさに転換期を迎えている。したがって、弊社では、この難局を乗り切るとともに、先を見据えた戦略をいち早く進めることが、今後の持続的成長に向けて最大のアドバンテージになるとの見方をしてきた。その点においては、経済活動の正常化とともに既存店が順調に回復し、次のステージに向けた体力づくりが進んでいることは一定の評価ができる一方、成長に向けた戦略的な動きについてはまだこれからという見立てもできるだろう。

弊社では、同社ならではの独自性の高いイノベーションを生み出し、環境変化をいかにプラスに転じるかが、同社の将来を見据えるうえで重要なポイントになると考えている。その意味で、他社保有IPコンテンツの活用ノウハウを有するエスエルディーや、湘南エリアで独自のホテル・不動産サービスを展開する湘南レーベルといった、特徴的な連結子会社との連携を含めた、新たな空間価値、付加価値の創出に期待したい。また、中期経営計画で掲げられた3軸のうち、新たなドライバーとなり得る「チャネル(エリア)」(展開領域の拡大)と「ライフスタイル(ステージ)」(拡張領域の推進)については、地方創生を目的とした各自治体や共創パートナーといった外部リソースとの連携がカギを握ると見ている。今後、成長投資が本格化し、具体的な進展や成果が形となれば、これまでとは違ったドライバーとしてスケールするポテンシャルを十分秘めているからだ。また、グーグル・クラウドとの連携についても、LTVの最大化に向けて、データ活用という新たな価値の創出に期待が持てる。1年半が経過し具体的な形が見えてきたところもあるが、本格的な動きはBSの改善に一定の目途がつく2026年2月期以降になると見ている。1つの判断基準として優先株式50億円の償還が見えてきたタイミングとする考え方もできるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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