シード Research Memo(1):大規模設備投資の影響もあり増収減益
シード株式会社は日本の主要コンタクトレンズメーカーで、主に視力補正用のコンタクトレンズを製造販売しています。2025年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比5.5%増の16,828百万円に達したものの、営業利益は33.1%減少しました。販売活動の抑制や機械トラブル、円安の影響が収益減少の一因です。しかし、新たな設備投資により生産力を強化しており、今後の業績改善が期待されています。2025年3月期全体では、売上高と営業利益の増加を予想し、高付加価値商品であるシリコーンハイドロゲルレンズや遠近両用コンタクトレンズの拡販と生産効率の向上に注力します。特に国内市場は、近視人口の増加や1日使い捨てレンズの需要拡大によって成長が予想されます。
1. 会社概要
シード<7743>は、日本のコンタクトレンズ市場における主要企業の1つであり、視力補正用コンタクトレンズの製造・販売を中心に事業を展開している。1957年の設立以来、高度な技術開発により高品質な製品を提供し、新たな視力補正ソリューションの創出に努めている。事業の中核は使い捨てコンタクトレンズであり、多様な消費者ニーズに対応している。同社の強みは「Made in Nippon」を掲げ、日本製品の高品質を維持しつつ、グローバルな技術を取り入れて高度な製造体制を確立している点にある。鴻巣研究所では基礎研究から製品開発、製造、販売まで一貫して自社で行うことで、品質向上と効率的な生産を実現し、安定した高品質の製品供給が可能となっている。現場力を重視し、QC活動を通じて生産現場での技術開発を推進することで、効率化や品質改善を達成している。
2. 業績動向
2025年3月期第2四半期累計の業績は、売上高16,828百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益874百万円(同33.1%減)、経常利益764百万円(同44.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益548百万円(同33.7%減)となった。売上高については、国内外のコンタクトレンズ需要は堅調に拡大しており、鴻巣研究所2号棟別館の竣工や4号棟の新規建設着手などの設備増設施策を進めたものの、生産能力の現状の上限制約による販売活動の抑制が見られた。営業利益については、生産数増加による売上高増加の寄与はあったものの、既存設備における一時的な機械トラブルによる一時的な原価率の上昇や、一部の輸入商品が円安の影響によって輸入価格が上昇したことが影響を及ぼした。2025年3月期は中期経営計画の初年度であるが、2号棟別館建設竣工、新本社竣工と移転、4号棟着工準備など、極めて大きな設備投資が重なり、第2四半期累計では前年同期比で減益となった。一方、設備投資計画に基づき、生産力の増強という課題に対してスピード感と確実性を持って取り組んでおり、第3四半期以降の挽回が大きく期待できると弊社では見ている。
3. 2025年3月期の業績予想
2025年3月期の業績予想は、売上高36,000百万円(前期比11.1%増)、営業利益2,200百万円(同7.3%増)、経常利益2,100百万円(同2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円(同28.7%減)としている。主力商品である国産の「シード1dayPureシリーズ」を中心に、シリコーンハイドロゲルレンズや特に市場での成長が見込まれる遠近両用コンタクトレンズなどの高付加価値商品の拡販に注力する。また、生産面では2024年3月期に行った生産設備の更新及びライン新規増設に加え、2025年3月期に稼働する2号棟別館により生産枚数を大幅に増加させ、逼迫した在庫状況を改善し、更なる原価率の低減に努める。国内のコンタクトレンズ市場は、近視人口の増加や1日使い捨てタイプへの移行、ミドルエイジ以降の遠近両用コンタクトレンズの需要拡大、そしてオルソケラトロジーレンズの普及が進むことで、今後も安定した成長が見込まれる。特に、近視人口の増加は世界的な課題として関心を集めており、この市場の更なる拡大が期待される。足元の事業環境も好調であり、通期の目標達成の可能性は高いと弊社では見ている。
■Key Points
・コンタクトレンズ業界のパイオニアとして、鴻巣研究所では基礎研究から販売までを自社で一貫して取り組み、高品質な製品の提供と技術革新の両立を実現
・2025年3月期第2四半期累計の業績は、大規模設備投資の影響もあり増収減益。設備投資計画は順調に進捗しており、生産力の増強による売上拡大を見込む
・2025年3月期の業績予想は、堅調な事業環境を背景に増収増益見込み。生産力の増強と高付加価値商品の拡販に注力
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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