ダイキアクシス Research Memo(2):浄化槽・排水処理システムなど、水環境関連の社会課題解決に取り組む(1)
ダイキアクシスは、水関連事業を通じて環境問題の解決に取り組む企業です。65年以上にわたり、浄化槽や排水処理システムを提供し、特に新興国における水質改善の需要が高まっています。主力の環境機器関連事業は、売上の約50%を占め、SDGsの目標「安全な水とトイレを世界中に」に貢献しています。同社は再生可能エネルギー事業も展開し、東南アジアを中心に海外市場も開拓しています。また、経営体制を変更し、2024年には新社長が就任する予定です。スタンダード市場へ区分を変更し、さらなる成長を目指しています。
1. 会社概要
同社グループは、水回りの住宅関連商材の販売、浄化槽・排水処理システムの提供など、「水」に関連した事業を軸に、世界の環境を守り持続可能な社会と未来を創造する事業を複合的に展開している。
2023年に創業65周年を迎えた同社は、従来のコーポレートスローガンであった「PROTECT×CHANGE」を企業精神、「守るべきものは守り、変えるべきものは変える。」を企業姿勢として理念体系を整理した。同社グループの社会に対する存在意義(パーパス)である「世界の環境課題を技術とアイデアで解決し、世界の人々の生活を支える」の実践を通じて、「環境を守る。未来を変える。」という企業使命(ミッション)を達成していく考えだ。
特に主力の「環境機器関連事業」においては、国連サミットで採択された17の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。とりわけアジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態であり、同社の役割の重要性や事業機会はグローバルに広がっている。同社グループの強みは、中小規模の水処理事業において、設計・製造、販売・施工、メンテナンスの一貫体制や品質の高さにあり、まさに新興国においてその優位性が発揮される可能性は高く、成長戦略の一環として「環境機器関連事業」の海外展開に取り組んでいる。
2. 事業構成
創業初期からの事業である「住宅機器関連事業」及び「環境機器関連事業」のほか、2018年12月期よりセグメント化した「再生可能エネルギー関連事業」が3本柱となっている。そのうち、上水から下水(浄化槽、排水処理システム等)に及ぶ水処理事業を、国内・海外向けに展開する「環境機器関連事業」が売上高の約50%、調整前営業利益の約75%を占めている。
3. 沿革
1958年に愛媛県松山市にて創業し、2023年で創業65周年を迎えた。1964年に前身のダイキ(株)が設立され、同年にばっ気式浄化槽の生産を開始した。1978年からホームセンター事業に乗り出したダイキは、2003年に同業のホーマック(株)(現 DCM(株))、(株)カーマ(現 DCM)と業務提携をし、経営統合を決めた。2006年に現 DCMホールディングス<3050>が設立されたが、それに先立ってダイキはホームセンター以外の業務の受皿会社として同社を設立し、事業譲渡した。その後、MBO(マネジメント・バイアウト)によりダイキから独立したため同社とダイキとの資本関係はなくなったが、良好な取引関係は続いている。祖業である住宅機器の卸売から事業領域を拡大し、M&Aなども活用して「環境機器関連事業」「再生可能エネルギー関連事業」と経営の3本柱を築いた。成長市場と位置付けて注力している海外事業は、2013年にインドネシアの現地企業を買収することで東南アジア市場の橋頭堡を築いた。潜在市場規模の大きいインドには、2018年に子会社を設立した。
同社は2013年12月に東京証券取引所(以下、東証)市場第2部の化学セクターに新規上場し、2014年12月には第1部に指定替えとなった。2022年4月からの東証の市場新区分ではプライム市場に移行した。「環境機器関連事業」において海外展開を積極的に行っており、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けとされる市場区分を選択した。サステイナビリティ委員会の設置や統合報告書の発行も行った。しかし、流通株式の時価総額基準をクリアすることに関しては不確定要素が大きく、プライム市場の上場維持基準を満たしていないままプライム市場への上場を維持した場合に起こりうる経過措置終了後の上場廃止リスクをはじめ、経営環境や既存株主の利益を総合的に判断した結果、2023年5月にスタンダード市場への選択申請を行い、同年10月にスタンダード市場に市場区分が変更された。2024年1月には、2005年の設立以来、代表取締役社長を務めてきた大亀裕氏が代表取締役会長となり、代わって大亀裕貴氏が代表取締役社長に就任した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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