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坪田ラボ Research Memo(1):近視進行抑制デバイスの治験結果は2026年春頃に発表予定


*14:01JST 坪田ラボ Research Memo(1):近視進行抑制デバイスの治験結果は2026年春頃に発表予定 ■要約

坪田ラボ<4890>は、近視進行抑制や脳の活性化に対する効果が期待されるバイオレット光を用いた医療機器の開発並びに医薬品の開発を進める慶應義塾大学発のバイオベンチャーで、2022年6月に東京証券取引所(以下、東証)グロース市場に株式上場した。“VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする”をミッションとし、「近視、ドライアイ、老眼、脳疾患に画期的なイノベーションを起こす」を目標に掲げている。

1. 開発パイプラインの状況
近視領域の開発パイプラインとして、2022年より開始した学童を対象にした近視進行抑制デバイス「TLG-001」の検証的臨床試験の組み入れが2023年10月に完了した。2年間の経過観察後に試験結果をまとめ、2026年春頃に公表する予定だ。結果が良好であれば、販売承認申請を行うことになる。販売ライセンス供与先のジンズホールディングス<3046>が販売を行い、同社はロイヤリティ収入を得ることになる。また、近視進行を抑制する医薬品として開発を進めている「TLM-003」の第1相臨床試験が、ライセンス供与先のロート製薬<4527>で2023年11月より国内で開始されたほか、さらに、2024年3月には別の点眼薬に係る実施許諾契約も締結している。また、同社において「TLM-007」の特定臨床研究を2024年2月より開始した。脳疾患領域は住友ファーマ<4506>と共同研究契約を締結し、パーキンソン病、うつ病、軽度認知障害を対象に実施していた特定臨床研究が2024年春に完了し(軽度認知障害は経過観察中)、このうちパーキンソン病に関しては一部の症状で効果を示し、うつ病に関しては有効性を示す結果が得られたことから、引き続き臨床研究及び事業開発を進める方針であることを2024年7月9日付で発表した。また、新規パイプラインとして新たに網膜色素変性症(TLG-020)、月経不順(TLG-021)を対象にバイオレットライトを用いた開発が公的機関の助成金事業に採択され、特定臨床研究の準備を進めているほか、老齢犬の認知機能改善(TLG-019)を目的としたパイロット試験も開始するなどパイプラインの拡充に取り組んでいる。

2. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は売上高で前期比29.5%減の673百万円、営業損失で649百万円(前期は167百万円の利益)となった。売上高の大半は契約一時金及びマイルストーン収入で占められており、2024年3月期はマイルストーン収入が前期から減少した。一方、利益面では減収要因に加えて、「TLG-001」の臨床試験が予定よりも約1年長引いたことによるコスト超過分を契約損失引当金として328百万円計上したことが悪化要因となった。

3. 2025年3月期の業績見通しと今後の展開
2025年3月期の業績は売上高で前期比78.2%増の1,200百万円、営業利益で131百万円(前期は649百万円の損失)を見込む。主に海外でのライセンス契約締結を複数見込んでおり、ライセンス契約一時金の増加が増収要因となる。利益面では、増収効果や前期に計上した契約損失引当金がなくなることで黒字転換を見込んでいる。ただし、ライセンス契約の締結時期については流動的なため、業績見通しについて不確実性が残る点には留意する必要がある。同社では単年度の業績結果よりも、パイプラインの開発を着実に進め、論文化や特許取得等によりその価値を高めていくことが企業価値向上につながると考えており、今後も年間1~2件のペースでパイプラインを拡充する方針だ。なお、中期的な視点で見れば「TLG-001」の販売開始によりロイヤリティ収入の拡大が見込まれる2028年以降に、収益構造も契約一時金及びマイルストーン収入が大半を占める構造から、徐々にロイヤリティ収入の比率が上昇し、収益基盤の安定化が進むものと弊社では予想している。

■Key Points
・近視、ドライアイ、老眼領域の研究開発と商業化を目的に設立された大学発のバイオベンチャー
・近視進行抑制デバイスは2026年春に臨床試験の結果を発表予定
・2025年3月期は複数の導出による契約一時金の増加により増収増益を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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