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藤商事 Research Memo(9):「アニメ」ジャンル中心に稼働力の高い新機種を継続開発しシェア拡大での成長目指す


*18:09JST 藤商事 Research Memo(9):「アニメ」ジャンル中心に稼働力の高い新機種を継続開発しシェア拡大での成長目指す ■今後の見通し

3. 重点施策
スマート遊技機の導入が始まり、市場の活性化が期待されるなか、藤商事<6257>は2023年3月期をリスタートの1年と位置付け、「稼働力の向上」を最重点課題として掲げ、新機種の開発に取り組んできた。2024年3月期はスマパチを除けば投入機種の稼働はほぼ期待どおりであり、「Lゴブリンスレイヤー」については期待以上の稼働が続くなど、今までの取り組みの成果が結果となって現れた1年だったと評価される。同社では今後も以下の取り組みを推進し、収益拡大を目指す方針だ。

(1) 開発戦略
同社は2019年より全国のパチンコホールを訪問して、競合メーカーの機種比較も含めて綿密な分析を行い、開発部門に市場のニーズや改善点などをフィードバックすることで、新機種の開発に取組んできた。改善項目は、音や映像の表現方法から玉の出方、ハンドルの形状に至るまですべて洗い出し、新機種の開発に反映させており、2021年3月期以降に投入した「とある」シリーズや、2023年3月期に投入された「Pサラリーマン金太郎」、「Lゴブリンスレイヤー」等のヒットにつながったと弊社では見ている。同社では、今後もトレンドの先端を行く新機種の開発や、顧客視点での魅力的な新機種を開発し続けることで業界シェアの拡大を目指していく戦略で、パチンコ遊技機では10%超、パチスロ遊技機では5%超を当面の目標に掲げている。

(2) 商品戦略
商品戦略としては従来の「ホラー」「時代劇」「萌え」ジャンルに加えて、「アニメ」ジャンルの育成に注力しており、IPの取得も積極的に進めている。「とある」シリーズや「ゴブリンスレイヤー」に続く新規タイトルの投入も進め主力機種に育成していく考えだ。コロナ禍以降、シニア世代の客足の戻りが鈍いなかで、若年世代をターゲットとした「アニメ」ジャンルを強化していく戦略は理に適っているものと考えられる。

(3) 原価低減施策
原価低減施策としては、リユース品の活用に加えて開発段階からの低減活動を進めている。具体的には設計の見直しによって、従来は機種ごとに異なっていた部材の共通化を可能な限り進め、部材コストを低減するほか、ソフトウェアの開発効率の向上にも取り組んでいる。リユース品の活用についても部材の回収率を高めていくほか、電源回路などユニット品も含めてすべての品目に対象を広げ、再利用できるかどうか検討を進めている。現状、リユース品の原価に占める比率は3~4%程度と見られるが、5%以上に高めていくことを目標としている。

(4) 人材戦略
同社は人材が企業の成長の源泉であるとの考えのもと、役職者の世代交代の推進により社内の活性化を図るとともに、若手社員が安心・わくわくして仕事に打ち込める環境を整備し、また長期的なキャリア形成意識の醸成により生涯現役で活躍し続ける人材の育成と多様な人生プランに合わせた働き方を支援すべく、2024年4月より新人事制度を導入した。

具体的には、新たに専門職を軸とした等級制度の導入とポストオフ制度(55歳役職定年)を導入したほか、自発的・挑戦的な取り組みに加え人材育成に対する取り組みも評価する、人を育てる評価制度を導入した。報酬制度については、給与のベースアップ(大卒初任給21万円→24万円)だけでなく、競争意欲を喚起する報酬制度を導入した。また、キャリアプラス制度(社内兼業)やキャリア研修の導入、セカンドライフ・キャリアの支援なども新たに導入した。これら新人事制度の導入により、人的資本が強化され社内の活性化と収益の成長につながるものと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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