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大幸薬品 Research Memo(1):2023年12月期は、医薬品事業が牽引し増収


*17:31JST 大幸薬品 Research Memo(1):2023年12月期は、医薬品事業が牽引し増収 ■業績動向

大幸薬品<4574>は、「正露丸」「セイロガン糖衣A」を中心とする医薬品事業と、ウイルス除去・除菌・消臭製品「クレベリン」シリーズを中心とした感染管理事業を展開している。

2023年12月期通期は、売上高が6,120百万円(前期比21.4%増)、営業損失が1,005百万円(前期は3,079百万円の損失)、経常損失が1,248百万円(同3,352百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が3,611百万円(同4,895百万円の損失)となり、3期連続の赤字計上となったものの、大幅な業績の改善が見られた。

売上高に関しては、医薬品事業(国内、海外)が5,185百万円(前期比43.1%増)、感染管理事業が929百万円(同34.0%減)と医薬品事業が増収を牽引した。そのうち国内医薬品事業の売上高は、堅調な需要と他社製品の欠品の影響もあり、3,336百万円(同32.0%増)と大幅増収となった。主力製品である「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」が供給力の強化を背景に伸びたのに加え、リニューアルした「正露丸クイックC」が大きく成長した。国内止瀉薬市場は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以前を上回る水準に回復しており、安定供給体制が整えば成長が可能な状況にある。同社のシェアは48.6%(2023年10月~12月)と供給力の向上に伴いシェア回復傾向にあり、過去3年間でも高い水準にある。海外医薬品事業の売上高は1,849百万円(同68.5%増)と大幅に増加した。主力地域(中国、香港、台湾)での需要は旺盛であり、流通在庫は品薄となっている。遅れていた供給を一部再開したことや、香港、中国向けの価格改定(値上げ)の影響などが増収の要因である。感染管理事業の売上高は、2023年秋・冬商戦における除菌市場の低迷の影響もあり減収となった。新CM「事実、クレベリン。」篇を放映するも、需要の喚起に至らなかった。

売上総利益は、医薬品事業の増収のほか、感染管理事業で前期の棚卸資産廃棄損や措置命令に伴う返品等の影響が改善したことにより増益となった。販管費に関しては、構造改革が進捗し、運送費(在庫保管料含む、同226百万円減)、人件費(前期比249百万円減)、その他経費(同272百万円減)等が減少し、販管費全体で同574百万円の減少となった。結果として、営業損失は同2,073百万円縮小し、1,005百万円の損失計上となった。セグメント利益では医薬品事業が1,212百万円の利益(前期は297百万円の利益)、感染管理事業は1,192百万円の損失(同2,179百万円の損失)だった。なお、当期純損失に関しては、投資有価証券売却益(221百万円)などの特別利益があったものの、減損損失(2,502百万円)などを計上した影響が含まれる。減損損失に関しては、在庫等の資産の圧縮は2022年12月期にほぼ終え、全社共通の固定資産の圧縮を2023年12月期に行った形である。営業キャッシュ・フローで見ると300百万円のプラス(特殊要因である課徴金の支払を除く)に転じている。弊社では、稼ぐ力が復活しつつあり、構造改革の効果で経営のスリム化がほぼ完了した決算として、前向きに捉えている。

財務基盤に関しては、安全性が高いと評価できる。流動比率299.0%(2023年12月期末)は安全性の目安となる200%を超えており、自己資本比率51.0%(同)も高い水準である。有利子負債(3,205百万円)は、現金及び預金(5,484百万円)と比較しても抑制されている。金融機関とのコミットメントライン契約により、追加の調達余力も確保している。新株予約権の行使(21.7億円、2024年1月行使完了)、保有資産の売却(11.9億円)、有利子負債の削減(5.5億円削減)、固定資産の減損(25.0億円)などが進捗し財務基盤の強化が進捗した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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