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NANO MRNA Research Memo(1):IP創出企業へのビジネスモデル変換を目指す


*14:21JST NANO MRNA Research Memo(1):IP創出企業へのビジネスモデル変換を目指す ■要約

NANO MRNA<4571>は、1996年にナノキャリア株式会社として設立されたバイオベンチャーである。2023年1月26日、COVID-19ワクチンの成功により注目を集め、今後適応疾患の拡大が見込まれる「mRNA医薬」に特化したIP創出企業へのビジネスモデル転換を発表した。このビジネスモデルの転換に伴い、同年6月に社名を変更し、第2創業期としてメッセンジャーRNA(mRNA)を中心に据えた活動を開始した。

同社は2020年、mRNA医薬などの核酸医薬を手掛けるアキュルナ(株)を吸収合併したことを契機に、次世代医薬品の中核となる核酸医薬パイプラインを獲得した。特に、mRNA医薬は、ワクチン以外にも様々な疾患の治療薬として広く活用が可能であると考えられており、既に世界では開発競争がスタートしている。同社はアキュルナから引き継いだmRNA医薬開発の豊富な経験と実績を基盤に、国内パイオニアとして、mRNA医薬に特化した研究開発に重点を置き、パイプライン候補を創出、非臨床ステージでライセンスアウトする方針だ。

mRNA医薬の黎明期から成長期にあたるこのタイミングで、経験と実績を基に早期導出を目指すローリスクハイリターン型経営への転換を図る。既に、2023年11月には花王<4452>との包括共同研究契約の締結などを実行しており、同社の早期収益モデルへの改善に期待したい。

1. ビジネスモデルの変換
同社はアクセリードグループ企業との協業を強固にすることで創薬から事業開発までの一貫体制を構築し、効率的に複数のmRNA医薬の創薬及びIPの獲得を進め、質の高いパイプライン候補を臨床ステージに入る前に製薬企業にライセンスアウトを行うビジネスモデルへと転換した。

製薬企業各社はmRNA医薬の医薬に関心はありつつも、知見・ノウハウの積み上げがなく、同社が製薬企業の求めるmRNA医薬のパイプライン候補を生みだし、mRNA医薬のIPを創出するIP Generator企業となり、製薬企業との連携を図っていく。つまり、mRNA医薬に関する様々な技術・ノウハウを高度に駆使する“プラットフォーマー”として大きく変貌した。

同社は、様々なmRNA及びDDS技術※やアセットを取り込み、開発パイプライン毎に最適な技術・ノウハウを集約し、変幻自在な研究開発スタンスをとることを標榜している。この自在なスタンスは、同社に様々な彩を添え、業界では新しい経営スタイルとして、“カメレオン型”の事業経営として注目されそうだ。

※DDS(Drug Delivery System)技術:薬剤を体内で特定の部位に効率的に届け、その有効性や安全性をより向上させる事を目的とした技術


2. 最近の提携動向
同社は2023年11月、花王とmRNA医薬に関する包括共同研究契約を締結した。花王は自社で開発した免疫制御技術をmRNA医薬として生かすパートナーとして同社に注目し、mRNA医薬で世界の患者へ貢献したいという両社の思いが合致した。共同研究では、アレルギー疾患をはじめとした領域で画期的なmRNA 医薬の創出に向けた研究開発を進めている。

3. mRNA医薬の開発パイプラインの進捗状況(今期から情報開示)
mRNA医薬分野の開発は5件(前期)から2件増えて7件のパイプラインとなった。その中でも、RUNX1 mRNA(変形性膝関節症治療薬)の医師主導第I相臨床試験開始に向けた非臨床試験が最終段階に入っている。免疫寛容誘導ワクチン(花王との共同研究)、感染症予防ワクチン(SCARDA)はパートナーとの共同開発品として、早期のIP導出の期待がかかる。一方、非mRNA医薬分野では乳がん(PRDM14 siRNA)の治験が進んでおり、 TUG1 ASOの医師主導治験も再発膠芽腫患者を対象に2024年2月から開始された。

■Key Points
・mRNA医薬のIPを創出するIP Generator企業へビジネスモデルを変換
・花王とのアレルギー疾患向け新規 mRNA 医薬に関する包括共同研究契約を締結
・RUNX1 mRNA(変形性膝関節症治療薬)は2023年度中の 医師主導第I相臨床試験開始(予定)

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)

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